私たちが普段食べている食品から、LNGなどのエネルギー資源まで、幅広い商品やサービスを取り扱う総合商社。海外では「Sogo Shosha」と呼ばれるなど、日本独自の業態と言われています。今回はそんな総合商社のひとつである三菱商事において、農薬・ファインケミカル分野で活躍している先輩社員、増田智彰さんにお話を伺いました。

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今のお仕事はどんな内容？

現在私が所属するバイオ・ファインケミカル部では、大きく分けて医薬品・農薬・化粧品関連の3つの領域の事業を手掛けています。その中でも私は農薬を中心とした高付加価値な化学品の製造を手掛けるチームで、中国での農薬原料製造事業を担当しています。中国に農薬の原料を作っている三菱商事の合弁会社があるのですが、その会社の経営管理を手伝いながら、そこの工場で作った製品を日欧米で販売する仕事をしています。

一番印象に残っている仕事は？

三年目の半ば頃、中国に駐在に出て、同国の市場調査や、先にお話しした現地の農薬原料製造会社の運営に携わりました。

中国は農薬を作るために必要な原料がほとんど揃っているのですが、供給する会社の数が非常に多く、その中で特に競争力のある会社を発掘していく必要があります。現地ではとにかく全国各地、沢山の会社を訪問しながら、良いパートナーを見つけ新しいビジネスに繋げていきました。また、駐在期間の終盤は現地の製造会社で、販売・購買・財務を統括するポジションで仕事をしていました。

我々とは違う文化を持った国の人と交渉しながら会社を運営していくためには、仕事の進め方や考え方、業界慣習など、異なる部分をしっかり認識して、いい関係を築いていくことが必要です。例えば、中国には化学品の取り扱いに関連するさまざまな法規制があるのですが、他国に比べ規制が変わりやすい上に、施行までの経過措置が短い傾向があります。即座に対処出来るように、公表されている法規制だけを見るのではなく、中国の動きをしっかりと理解し、現地のパートナーと連携して先々の動向を読むようにしました。我々はオーナー企業と付き合っているケースが多いので、「これをやろう」と提案したことが、即決されて実行に移されることが多く、事業環境や業界の変化に対する機敏な対応力に中国の魅力を感じましたね。

また、入社数年目ながら取締役会への参加など製造会社の事業経営に携わることができたことで、全体を俯瞰しながら営業活動や新規事業構想に取り組めるようになりました。ここで得た視点は自分にとって大きな財産となっています。

中国での経験に限らず、若手でも裁量権を持って仕事を進めていけることは、今も働く上でのやりがいになっています。三菱商事はひとつの会社でありながら、部署によって全く違うことをやっている会社。扱う製品によって動かす金額の規模や商売をするエリアも異なり、資源分野など、部署によっては１千億円単位の大規模な投資をしているところもあります。それに比べたら私が動かしている金額は小さいかもしれませんが、そのぶん自分のアイデアを具現化して新しいビジネスを作ることができるのはおもしろいですね。

今の会社を選んだ理由は？

グローバルに活躍できる事業であることと、ビジネスモデルや製品の型が決まっていないからこそ、新しいビジネスにチャレンジできる環境があると考えました。どの会社と組んでどういう製品を扱うか、どの会社に投資してどういう事業を作るか、ある意味アイデア次第でなんでも取り組めて、おもしろいだろうなと思ったからです。

数ある商社の中でも三菱商事を選んだのは、OB訪問やインターンで社員の方に会った際に、それぞれの方が非常に生き生きしていて、入社したら楽しく仕事ができそうだと感じたからです。商社の中でも一番自分に社風が合いそうだと思いました。