大山さんの「ガクチカ（学生時代一番力を入れたこと）」は？

▲学生時代の大山さん

大学時代に一番力を入れていたことは「バレーボールサークル」です。もともと別のバレーボールサークルに入ろうと思っていたのですが、そこは活動内容がゆるく、私はもう少し真剣にやりたいと思っていて、同じような考えの子たちと一緒に新しくサークルを立ち上げることになりました。ただ、真剣にやろうと立ち上げたものの、いざ活動を始めてみるとそのさじ加減が難しくて苦労しました。

私は「技術があってこそ楽しめる」と考えていたので、最初はメンバーを上達させたいという一心で厳しく取り組んでいました。しかし、そういった練習はやっぱりつらくなってしまい参加率低下にも繋がってしまうので、途中からはとにかくほめるようなやり方に切り替えました。やっぱり自発的に上達したいという気持ちやサークルに来たいという思いが芽生えることが第一ですからね。こうした「メンバーをサークルにコミットさせていくこと」が一番大変でした。

仕事で役立っている大学時代の経験は？

サークルでは私がキャプテンだったので、周りに厳しい指導を課すだけでなく、自分自身も頑張らないとみんなが付いてきてくれません。きついときは自分の背中を見て頑張ってもらえるよう、どんなことでも自分が率先して動くなど、自分に厳しく取り組みました。そのときの、自分が動くことで周囲の信頼を得た経験は、今の仕事に活かせていることです。

厳しい練習を課す中で、あるメンバーに「サークルに来るのが楽しくない」と言われたことがあったんです。そのときは少々いらだちを覚えたのですが、よく考えると「来たくなくなるような練習では駄目だ……」と思い、そこからほめていくやり方に切り替えました。そうすると練習はつらいながらも、みんなが積極的に参加してくれるようになり、活動も広がっていきました。当時の私は一つのことしか見えていなかったのですが、そんなときほど、周りのアドバイスを素直に受け入れることが大事なのだと学びました。これは今でも気をつけていることですね。

また、学生時代に、授業の一環として、中国に14日間行った経験も仕事に活かされています。それが私にとって初めての海外だったのですが、渡航前は周囲から中国に関するネガティブな情報が多く、どうなんだろうと思ってはいたものの、実際はポジティブなことも多く、そのときに「先入観だけで物事を考えてはいけない」と学びました。これは旅行業を行う上で、非常に大事なことですから、学生のうちに学べてよかったです。

就活前にやっておいたほうがいいことは？

とりあえず何でもいいから「一生懸命やってほしい」です。ゼミでもバイトでもサークルでも、どんなことでもいいのですが、自分の中で「やりきった」と思える経験を積んでほしいです。私も面接官を担当したことがあるのですが、そうした何かに一生懸命取り組んだ経験のある人って、見ていて自信があるんですよね。自信があるのとないのとでは、印象も会社に入ってからのパフォーマンスも大きく違います。私は「一生懸命になる」というのは１つの能力だと思っているので、学生時代にその能力を育ててほしいです。

旅行者の要望が細分化していることを受け、今後非常に伸びる可能性があるという、着地型事業の分野に取り組む大山さん。ただ、着地型事業に取り組み始めた当時は、苦労したことも多かったようです。それでも諦めることなく前向きに取り組み、新入社員と共に大きな成功を残せたのは、サークル時代に培った自分に厳しく取り組むことでの信頼作りや、モチベーション管理の経験があるからこそと言えますね。大山さんのアドバイスにあるように、どんなことでも一生懸命取り組めば力になりますから、その意識をもって大学生活を送ってみてはいかがでしょうか？

文：中田ボンベ＠ｄｃｐ
写真：佐藤登志雄
取材協力：JTBグループ