レポートで引用を使うときの書き方は? 課題提出の際に欠かせない基礎知識

学生の窓口編集部

お気に入り!

あとで読む


大学生のみなさんの中には、レポート課題に追われている人がいらっしゃるかもしれません。レポートを作成する際に、他人の著作から文章の一部などを「引用」することがありますね。この引用にはルールがあります。今回は「引用の仕方、その場合の書き方」についてご紹介します。

▼こちらもチェック!
レポートの書き方まとめ! 基本の書式・構成や高評価をもらえるまとめ方とは?

「引用」とは何?

レポートや論文における「引用」とは「自分の説のために、他人の説を引いてくること」という意味で用いられます。

いつの時代も、学問とは先人たちの研究成果の上に成り立っているものです。後に続く研究者は、先人たちの研究成果について「Aは~のように述べているが」「Bの実験によると~という結果で」と引用しながら自分の説を展開します。

レポートにおいても同様で、まずは先人たちの研究成果を引用して述べた上で、自分の考えを述べていくことになります。

「引用」と似ている「出典」「参考文献」の意味

引用と似たシーンで用いられる言葉に「出典」「参考文献」などがあります。

●引用
⇒自分の説のために、他人の説を引いてくること

●出典
⇒故事や引用などの出どころとなる文献

●参考文献
⇒レポートや論文を書くにあたって、よそから引用したり内容を参考にしたりした文献

それぞれ意味が似ていますが、「引用」は「引いてくる」「よそから抜き出して持ってくる」というニュアンス。

「出典」と「参考文献」はほぼ同じような意味ですが、「出典」は「出る」という漢字が使われているとおり「出どころはどこか」を強調したいときに使われることが多いです。

なぜ引用部分を区別するのか

自分のレポートにおいて他人の主張・成果などを記述する際には、必ず「引用」という形をとるとともに引用部分を区別して、出典を全て明示する必要があります。その理由は以下の通り。

1.自分の意見・業績・表現でない(他人のものである)ことを明らかにする
2.読者が、引用元である原典に当たれるようにする

レポートで一番大事なのは、書き手独自の意見・主張、つまりオリジナリティー。その大事な点が他人の著作などからの引用であれば、これはオリジナリティーがない、レポートに価値がないということになります。この価値判断のためにも、どこが引用で、どこが引用でないのか、読み手にすぐ分かるようにしておかないといけないのです。

また、他人の著作物にある内容をあたかも自分の意見のように書いていたら、これは盗用=著作権侵害になります。逆に、書き手にとってみれば、引用を明らかにすることで、自分自身を盗用問題から守ることができるのです。

引用の種類「直接引用」と「間接引用」

実は、引用には大きく分けて「直接引用」と「間接引用」の2種類があります。

直接引用とは

直接引用とは、他者の文章から一字一句変えずにそのまま抜粋して持ってくることを指します。

まさに私たちが「引用」と聞いてイメージするのが、この直接引用ではないでしょうか。

間接引用とは

間接引用とは、他者の文章の趣旨はそのままに、自分なりに要約して記述することを指します。

そのままそっくり引用する訳ではないので、「参照する」と表現することもあります。例えば「Aは実験により◯◯という新しい成分を発見した」のように、要点のみを伝えたいときに間接引用が用いられることが多いです。

レポートで引用する際の書き方【基本ルール】

レポートで引用する際の書き方について、基本ルールを見ていきましょう。

直接引用の書き方ルール

直接引用は、ここからここまでが引用であると分かりやすく書くのがポイントです。

引用部分が分かるように区別する

●「カギカッコ」で囲む
⇒引用部分が比較的短い場合には「」で囲んで文章中に入れ込んでいきます。最もオーソドックスな方法なので、まずはここから覚えておくといいでしょう。末尾に振ってある番号については後述します。

<例>
「〜は必ず指導することが大切」であると述べている1)。

●インデント(字下げ)で区別する
⇒引用部分が長めのときには、改行+インデントで独立させて記載します。

<例>
水泳学習については、
(改行)
  水遊びや水泳は命に関わることから〜
  例え水泳場の確保が困難であっても〜
  必ず指導することが大切である。1)
(改行)
と重要視されている。

●斜体で区別する
⇒インデントではなく斜体にして、本文と区別する方法もあります。斜体の場合もインデントと同様、改行してブロックを独立させるようにしましょう。

引用元の文言を一字一句変えない

直接引用の場合、文言を一字一句変えないのがルール。恣意(しい)的な引用を防ぎ、原典の意見・業績・表現を第三者が曲げないためです。

ただし、引用が複数の文章にわたり、途中の一文を省きたい場合には「~(中略)~。」とすることもできます。

間接引用の書き方ルール

間接引用に関しては、直接引用ほど細かなルールはありません。ですが、原典で書かれていた趣旨を変えないよう、正確に記述することが求められます。

<例>
水泳学習については、水泳が命に関わるものであることから必ず学校で指導することが求められている1)。

さて、ここまでの記載例には文末に1)といった番号が振られていました。これは、本文の後にまとめる「参考文献」欄との関連づけに使われるものです。関連づけの方法は大きく2パターンあります。次から詳しく見ていきましょう。

文中での引用と最後の参考文献欄との関連づけ

本文と参考文献欄との関連づけには、大きく2つの方法があります。

バンクーバー方式

先ほどのように、レポートの本文での引用箇所に番号を振っていく方式です。引用箇所の末尾に、 1)2)と順番に番号をつけておきます。参考文献欄では、この順番どおりに記載すればOK。

ちなみに、本記事では1)2)と大きさが文章と同じですが、実際はフォントを小さく、上付きで振っていくのが一般的です。

ハーバード方式

こちらは番号を振るのではなく、(著者名.発行年)の2点をカッコ書きで記載します。あるいは(著者名.発行年.p.123)と引用したページまで記載する例も多く見られます。

<例>
「〜は必ず指導することが大切」であると述べている(平野.2021.p.3)。

なお、ハーバード方式で記載した場合、参考文献欄の順番は著者の五十音順あるいはアルファベット順に並べます。同じ著者で複数の文献がある場合には、古い方から先に記載します。

▼こちらもチェック!
レポートの参考文献の書き方は?電子書籍やネット記事を参考にする場合のルールも解説

レポートで引用する際の注意点

レポートで引用する際に気をつけたい注意点を2つ挙げておきます。

引用ばかり多くなりすぎない

レポートでは「文献を読んでまとめる」といった作業が多くなるため、文献からの引用がどうしても多くなりがちです。

ですが、レポートで大切なのは調べた事実を根拠として、どのような結論を導き出すかということ。結論に至るまでの過程ではあなた自身の考察もしっかり入れ込む必要があります。引用はあくまで「根拠」なので、引用ばかりが主役になってしまうことのないようにしましょう。

出典を参考文献欄に全て明示する

レポート作成にあたって引用した文献については直接引用・間接引用を問わず、全て参考文献欄に明示しなければなりません。
(脚注と参考文献で分ける書き方もあります。)

レポートではそれほど文献数も多くありませんが、卒論など論文のボリュームが大きくなると、その分文献数も多くなりやすいです。読んでいて気になるところは早めに抜き出しておく、文献情報をまとめておくなど、今のうちから効率的な書き方を練習しておくと後々役立つはずですよ。

ネットからの引用は?ケース別書き方の例

引用の基本ルールが分かったところで、もう少し書き方のバリエーションを見ていきましょう。

書籍からの引用の書き方例

<レポート内本文>
ジェレミー・シーゲルは、この日本の問題について「こう確信している。日本の高い貯蓄率は経済成長にほとんど貢献していない 」と述べている1)。

<参考文献>
1)ジェレミー・シーゲル,瑞穂のりこ訳.株式投資の未来 永続する会社が本当の利益をもたらす. 第10版,日経BP社,2017年,226p.

本文中での人名は、特に敬称をつけずに記載します。

参考文献欄の書き方は上記のようにピリオドやコンマで区切る方法のほか、『』や()で区切る方法などさまざまあります。順番もさまざまですが、一番大切な「著作権者(著者)」が一番前に来るのが一般的です。大切なのは、1つのレポート内で形式を統一させることです。

▼こちらもチェック!
レポートの参考文献の書き方は?電子書籍やネット記事を参考にする場合のルールも解説

ネット記事からの引用の書き方例

出版された書籍からだけでなく、ネットの文章から引用したい時もありますよね。 ネット上には、責任の所在が明らかでない記事などもありますので、できるだけ信頼性の高いサイトから引用するようにしましょう。具体的には企業の公式サイトや官公庁のサイト、執筆者が明らかになっているサイトなどがおすすめ。

ネットの文章から引用する際の書き方例をご紹介します。

<レポート内本文>
「我が国におけるDXは、他の先進国と比較してまだまだ遅れている」ことが指摘されている2)。

「我が国におけるDXは、他の先進国と比較してまだまだ遅れている」ことが指摘されている(国土交通省.2021)。

<参考文献>
国土交通省.“第4節 デジタルトランスフォーメーション(DX)の遅れと成長の停滞”.国土交通白書 2021.https://www.mlit.go.jp/hakusyo... ,(参照2022-06-01).

Webサイトから情報を取得するケースはこれから増えることが考えられますので、参考文献の基本の書き方もご紹介しておきます。

著者名.“webページの題名”.webサイト名.更新日付.入手先URL,(参照した日).
※更新日付は省略可

Webサイトからの引用のポイントとしては「参照した日」の記載が必要です。ネットの情報は簡単に修正・削除することが可能なため、いつの時点の情報なのかを明らかにしておきましょう。

電子書籍からの引用も可能?

電子書籍は紙媒体と違って、閲覧している端末によってページNoが変わったり、そもそもの内容が書き換えられたりといった可変性があります。そのため、書籍に関してはやはり紙媒体を推奨している教員が多いようです。電子書籍は図書館に行っても入手できない(=教員が確認できない)というのも問題の1つになっています。

とはいえ紙媒体とページNoが一致している電子書籍も存在しますし、教員の判断によっては電子書籍でもOKということもありますので、まずは教員に相談してみることをおすすめします。

引用や参考文献の書き方の一例をご紹介しておきます。

<文中での引用例>
(著者.出版年.第一章,2項,2段落)
※ページNo.が端末によって変わってしまうような場合は、このように場所を特定させる。

<参考文献欄の例>
ジェレミー・シーゲル,瑞穂のりこ訳.株式投資の未来 永続する会社が本当の利益をもたらす. 第10版,日経BP社,2017年,226p.,Kindle版

このように電子版であることが分かるように記載します。

ただし、これはあくまで一例。新しい「電子書籍」という媒体からの引用方法はまだ確立されていない面もあるため、できれば担当教員の判断を仰ぐ方が確実です。

まとめ

今回は、レポートにおける引用の書き方について解説しました。引用文献を明示する際は、最も大切な「著作者」を一番に記載しますが、その他の項目の順番については色々な書き方が存在するようです。いずれにしても必要な項目をきちんと列記し、レポート内で統一しておくことが大切。担当の先生に高評価されるレポートに仕上げましょう!

関連記事

「入学・新生活」カテゴリの別のテーマの記事を見る

おすすめの記事

編集部ピックアップ

学生の窓口会員になってきっかけを探そう!

  • 会員限定の
    コンテンツやイベント

  • 会員限定の
    セミナー開催

  • QUOカードPayが
    貯まる

  • 抽選で豪華賞品が
    当たる

一歩を踏み出せば世界が変わる無料会員登録

あなたのきっかけを探そう

気になる #キーワード をタッチ

テーマから探そう

あなたへのきっかけが詰まった、6つのトビラ

会員登録でマイナビ学生の窓口をもっと楽しく!

閉じる
マイナビ学生の窓口に会員登録(無料)すると、
お気に入り機能などを利用してもっと便利にご活用いただけます!
  • 抽選で豪華賞品が
    当たる

  • 会員限定の
    学割でお買い物

  • 会員限定の
    セミナー開催