【国際通貨基金の先輩社員】IMFアジア太平洋地域事務所 次長:柏瀬健一郎さん 2ページ目

編集部:すい

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学生時代編頑張る姿を見てくれている人が、世の中には必ずいる

柏瀬さんの「ガクチカ(学生時代一番力を入れたこと)」は?

インタビビュー中の柏瀬さん2

大学時代は、とにかく勉強しかしていませんでしたね。休暇中は自然豊かなオレゴンでアウトドアを楽しみましたが、学期に入ると朝から晩まで一日中、寝る間も惜しんで勉強をしました。留学に際して親から4年の期限を区切られていたので、まず1年間語学学校へ通い、その後懸命に勉強して大学を3年で卒業しました。

国際機関で働くためには修士号以上が必要ですので、専門分野以外に、「数学」と「英語」を勉強することも大切です。数学は、人文科学系以外のすべての学問の基礎であり、できるかできないかで大学院での命運を分けます。あとは、やっぱり語学。「自分の考えを表現できる」ことが、周りの人に理解してもらうために大切ですので、アウトプットを重点的に学ぶ必要があります。かくいう私も、大学の授業ではとても苦労しました。先生は黒板に何も書かず、基本的に早口で話し続けるだけでしたので、講義ノートを取ることが大変で悪夢の中にいるようでしたね(笑)。

仕事で役立っている大学時代の経験は?

私は、人生の節目には、必ず私の背中を押してくれる人が一人現れてくれていました。例えば、仕事熱心だった私の母は、ことあるごとに「自分のやりたいことをやりなさい」とサポートしてくれたし、中学生のときはある先生に「日本を外から見ることが大切だ」と何度も言われ、おぼろげに留学を考えるようになりました。そして、高校でも大学でも大学院でも、私を励まし、助けてくれる先生が必ず一人いたのです。

お伝えしたいのは、私は優秀な学生でもなく、きわめて普通の学生だったということです。大学では一生懸命勉強しましたが、その勉強が本当に自分の夢につながるのかいつも不安でした。周りに国際機関で働く人もおらず、全てが手探りの中、「本当にこれでいいのだろうか?」と思って日々を過ごしていたのです。

私は、何事も「終わりよければ全てよし」ではなく、プロセスが重要だと考えています。なぜなら、結果がよくても、プロセスがよくなければその後が続かないからです。逆に言えば、結果があまりよくなくても、プロセスにおいて頑張ったと思えたらその後に続きます。そして、そんな頑張る姿を見てくれている人が世の中には必ず存在する、そのことを私は学生時代を通じて強く感じました。これは仕事でも同じで、いくら結果を出しても、プロセスにおいてチームがギクシャクしていれば、もうその先はありません。結果よりも、プロセスを重視する経験が仕事に役立っていると感じます。

就活前にやっておいたほうがいいことは?

インタビビュー中の柏瀬さん3

就職においては、ネットワークやコネクションが大切だと言われます。ただ、繰り返しになりますが、世の中には「頑張るあなた」を必ず応援してくれる人がいるので、無理をしてネットワーク作りに勤しむ必要はないと思います。それよりも、「自分が一番やりたいこと」「心の中で信じること」「自分らしくいられること」を探し、それができる就職先を見つけることが大切です。

それは大企業であろうと中小企業であろうと、有名であろうとなかろうと全く関係ありません。仕事はステータスではないのです。まっとうなコミュニケーションの場では、「どこの大学を出ましたか?」などと、人を学力などで判断はしません。そんなことよりも、その人が何を信じ、どのように物事を捉え、何をしようとしているかが問われるのです。つまり、自分がやりたいことを突き詰める中で、自然と信頼関係やネットワークが築き上げられていくのだと思います。

私は一度IMFを辞めています。理由は、プロパー職員(終身雇用)になったときに、あらためて「自分が人生において何をしたいか」を考え、そこに至るまでに自分を励ましてくれた人がたくさんいたことを思い、私も誰かにとってそのような存在でありたいと考えたからです。そこで、大学の先生になるために、33歳から博士課程で学び直しました。しかし、卒業と世界金融危機が重なり、教職募集がなくなるという想定外の事態に陥ったので、結局先生になることは叶わなかったのですが、私は何歳であろうと、人は自分らしくいられる仕事を探し続ける旅ができると思っています。

――では、学生が夢を叶えるためにはどうすればよいですか?

人生はマラソンのようなもの。経験したことのない長いレースをどのように走り抜けるか。そんな長いスパンで、「どういう人生を歩みたいのか」を決め、そのために「今何をすればいいのか」を考えることが大切です。長いスパンの目標があれば、たとえいっとき希望する就職先を得られなくても、その思いがブレることはないはずです。 「本当に頑張っていれば、必ず見てくれる人がいる」。私はこのことを、全ての学生たちに、特に"普通"または"自分に自信がない"と思っている学生たちにこそお伝えしたいと思います。私自身もそのように応援され、励まされ、背中を押されて、ようやくここまで生きてきたからです。

自分が本当にやりたいことを探し、どんどん大きな夢を見てください。世界にはたくさんの機会があり、「夢は叶う」ことを一人でも多くの学生にお伝えしたいです。今IMFに所属し、このようなメッセージをお伝えできる機会をいただけるとは考えもしませんでした。もし、これを読んで少しでも励まされる方がいたとすれば、私の夢は叶ったのかもしれません。

「夢は必ず叶う」。そう熱く語ってくれた柏瀬さん。自分が本当にやりたいことを考え、そのために大学時代に一生懸命に勉強された柏瀬さんですが、「私を見てくれた人たちがいなければ、今の私は絶対に存在しません」と断言されていました。 将来、国際機関で働きたい人や大学院への進学を考えている人はもちろんのこと、まだ「自分が本当にやりたいこと」を探している途上の人にも、ヒントになる考え方がたくさんあったのではないでしょうか。

DATA

趣味:サキスフォン、和太鼓、ヨット(日本に来てから夢中になっているもの)
特技:クッキング
就活で受けた企業数:ボストンキャリアフォーラムで5~6社
志望していた業界:金融系、半導体の会社
現在の会社への志望理由:学問を直接生かせるから
今の会社の魅力:責任ややりがい、影響力が大きいこと。好きなことをしながら多くの人と出会えること。

文:辻本圭介
写真:ブリッジ
取材協力:国際通貨基金

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