小説家になるにはどうすればいい? 在学中にデビューを果たした小嶋陽太郎さんに聞いてみた 2ページ目

編集部:いとり

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■小説家になるには「自分には何があるだろう?」「自分にしかないものは何だろう?」を考えること!


――気持ちの上で大事なことはありますか?

小嶋さん そうですね、これはあくまでも個人的な意見ですが、「自分なりの感覚や言葉を持っている人間であること」「その人に固有のパーソナルなものがあるか」というのが大事だと思います。普段から自分の思考と言葉をもって生きることを意識したいなと自分には言いきかせています。自分なりの思考とか言語感覚が小説では武器になると思うので。むしろ、そういうものは小説に限らず、生きている限りどんな場面でも大事だと思いますし。

――なるほど。平たく言うと「個性」でしょうか。

小嶋さん あとは……人と無意味に群れないことでしょうか。お互いを高め合うような関係だったらいいんですけど、そうじゃないならその付き合いをしている間に小説を書いた方がいいと思います。小説は一人で黙々と書くものなので。何かと同化して安心したりするのは避けるべきというか。例えば集団に属することによって自分の思考や感覚や言語が削がれてしまうようなことは、誰しもに起こり得るので。集団に属しても、根本的なところでぶれない自分を持っていれば全然大丈夫だとは思いますが。

――孤独な作業ですものね。

小嶋さん それと「小説家になりたい」というのはあまり人に言わない方がいいんじゃないかなと思います。口に出して言うとその分エネルギーがなくなってしまう気がします。信頼している人に決意を語る場合などは別だと思いますが、むやみに言わないほうがいいです。僕は、趣味で書き始めたときは「小説家になるわー」と冗談で言っていたんですが、就活シーズンになって真面目に書き出したときにはそういう冗談は言わない、というか、言えなくなりました。あくまで自分の場合はそうだった、ということなんですが。

――人間本気になったらその決意は言わなくなる、ということでしょうか。

小嶋さん これは自分が常々意識しないといけないと思っていることでもあるのですが、小説を書くときにも、それ以外の局面でも、自分の思考、自分の感覚、自分自身が本来持っているものを意識して、それを見失わないことが大事だと思います。繰り返しになるんですが!

――ありがとうございました。

今回の取材には、作家・小嶋陽太郎をボイルドエッグズ新人賞で見いだした作家エージェント・村上達朗さんも同席していらっしゃったのですが、村上さんからは「小説家は『小説家という職業』なんですね。1作書いてデビューしただけでは小説家とは言えず、何作も書き続けることができて『小説家』になれるんだと思います。小説家になりたい人にはぜひその点も意識していただきたいです」との指摘がありました。こちらもまた「小説家になりたい」と思う人が留意しておかないといけないポイントでしょう。

●『ぼくのとなりにきみ』
小嶋陽太郎さんの新刊です。本作は『朝日中高生新聞』連載を加筆・改題し単行本化したもの。小嶋さんご自身にこの小説について伺ったところ「10代の子が読んでも分かるなぁと思ってもらえると思いますし、大人が読んでもこういう時代があったなぁ、と思ってもらえると思います。若い人たち向けに見えるかもしれませんが、大人が読んでも楽しめる作品になっていると思いますので、ぜひ読んでください」とのことでした。

小嶋陽太郎(こじま・ようたろう)
1991年長野県松本市生まれ。信州大学人文学部在学中、2014年『気障でけっこうです』(KADOKAWA)で第16回ボイルドエッグズ新人賞を受賞しデビュー。端正な筆致と軽やかな感性で注目を集める新進気鋭の作家。

(文・高橋モータース@dcp)

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