【連載】 『あの人の学生時代。』 ♯2:お笑い芸人トレンディエンジェル斎藤司 3ページ目
消去法で決めた「芸人」の道
―その方法論として何をやるか、となったときに、いろんなジャンルがある中で、お笑いを選んだのはなぜですか?
それは本当にシンプルな理由で、昔学校で「おもしろい」って言われてたとか、その程度のことなんです。だからちょっとナメてましたね。「おもしろいって言われてたし、イケるんじゃないか」みたいな。あと他の俳優とか歌とかアイドルは、やっぱある程度才能とスピードが大事じゃないですか、年齢とか。でも芸人って、それを全部超越できるというか、関係ないんで。そういうところでも敷居の低さはありましたね。だから消去法です。
―大学時代に、人生の転機みたいなものはありましたか?
商学部の後ろにTMC(東京メディアシティ)があるんですよ。「裏にスタジオあるらしいぜ」みたいなことを聞いて「ちょっと見に行こう!」ってスタジオの前まで行ったりして。そしたら浜田雅功さんとか香取慎吾さんとかが出てきて。そのときに、TMCの前で俳優志望の子に出会ったんですよ。で、仲よくなったらその子が「一緒に芸人になろうぜ」って言ってきて。「え?」って思ったんですけど、そのときテレビの世界をリアルに感じたっていうか、「ホントに浜ちゃんっているんだ」とか、「テレビの世界ってキラキラしてていいな」とか、「楽そうでいいな」って(笑)。それは結構きっかけというか、大きかったです。商学部の後ろにTMCがあったっていうのは。そのことで、「芸人」っていう職業が自分の選択肢に入ってきたっていうのはあります。
―特別にお笑いが好きだったわけではないんですね〜。
普通ですね。もちろんごっつ(『ダウンタウンのごっつええ感じ』)とか好きで見てましたけど、めちゃくちゃ好きってほどでもなかったです。
―もし今大学時代に戻れるとしたら、やりたいことというか、やり残したことはありますか?
もっと目標を持って、いろいろやればよかったなと思いますね。もっといろんなものを吸収すればよかったなと思います。もっとアートな世界をインプットしたかったな、とか。あとはやっぱシンプルに、ちゃんと勉強しとけばよかったなと思いました。新聞をもっとちゃんと読んで、もっと社会の流れに興味を持ててたらよかったのになって。
最後に今の大学生に「これだけはやっておけ!」というメッセージをお願いすると「とにかくインプット!」と書いてくれた斎藤さん。せっかく時間がたくさんあったのに、あまりいろんなものを吸収できなかったという自身の思いをメッセージにしてくれました。
先日発売された初のライブDVD『TRENDY ANGEL WORLD TOUR "JAPeeeeeN!!"』は、コントあり、歌ありの今のトレンディエンジェルがたっぷり堪能できる作品となっていますが、大学時代にはすでに今やっている歌ネタのレパートリーそのまんまをやっていたんだそう。そんな、意図せずして大学時代に芸を磨いていた斎藤さんでした。
(プロフィール)
さいとう・つかさ●1979年2月15日生まれ。神奈川県出身。AB型。2004年、たかしとトレンディエンジェルを結成。ボケ担当。コンビ2人とも若ハゲという自らの容姿を生かしたネタで人気を博し、2014年THE MANZAI優勝、2015年M-1グランプリでは敗者復活枠からの優勝を果たし、人気を不動のものとした。ジャニーズ事務所に履歴書を送ったことがあるほどの男性アイドル好きで、現在も歌モノのネタを得意としており、歌唱力にも定評がある。初のライブDVD『TRENDY ANGEL WORLD TOUR "JAPeeeeeN!!"』(よしもとアール・アンド・シー)が好評発売中。
『TRENDY ANGEL WORLD TOUR "JAPeeeeeN!!"』
¥3000+税 発売中 (よしもとアール・アンド・シー)
文・写真:落合由希