【連載】 『あの人の学生時代。』 ♯1:ライフネット生命 代表取締役社長 岩瀬大輔

編集部:はまみ
2016/12/22
仕事を知る
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著名な方々に大学時代について伺うとともに、今の現役大学生に熱いエールを送ってもらおうという本連載。今回は、ライフネット生命保険株式会社の代表取締役社長・岩瀬大輔氏にご登場いただきました。東大法学部卒、しかも在学中に司法試験に合格し、ボストン・コンサルティング・グループでキャリアをスタートさせた後、ハーバード・ビジネス・スクールに留学……、という、どこまでも華麗な経歴の岩瀬社長は果たしてどんな大学生活を送っていたのでしょうか!?

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「弁護士になる」と決めてからは、ひたすら司法試験の勉強をしていました



―大学時代はどんな学生だったんですか?

学生時代は時間を3つに割って行動していましたね。ひとつはアルバイト。大学1、2年は塾の講師を、3、4年は司法試験塾で働いていました。2つ目は司法試験の勉強、3つ目はサークル活動でジャズ研究会に所属し楽器を演奏していました。だいたいこの3つで僕の大学時代は説明がつきます。

―「3つに割る」って、システマティックにしていたのですか?

いや、そんなことはなくて、アルバイトもサークルも「時間」が決まっていますよね。だから、それ以外の時間を使って司法試験に向けた勉強をしていました。運よく3年生の秋に司法試験のほとんどの科目に受かったので、それからは、伊藤真先生の司法試験塾(伊藤塾)で週5日ぐらいアルバイトして、教材製作をはじめ、いろいろな企画に携わらせてもらいました。

―勉強にアルバイトにサークルにと大忙しだったと思うのですが、ちなみに、キャンパスライフ、とくに恋愛の方はどうだったんでしょうか?

1、2年生の時にクラスメイトと付き合って、3、4年生の時にサークルの後輩の女の子と付き合っていました。いろいろなことがありましたが、まとめるとそんな感じです(笑)。



―将来についてはどんなふうに描いていたんですか?

ある意味何も考えてなかったというか……、そもそも高校3年生のときに、先生に「岩瀬は弁護士に向いていると思う」って言われたのが弁護士を目指すきっかけだったのですが、「弁護士になるんだ」と決めてからは、ただそれを信じ込んでいたんです。だから、大学時代はひたすら司法試験に合格することだけを考えていました。ただ、大学4年に上がる春休みに転機がありました。大学3年時に司法試験の論文まで受かって、あとは口述試験を残すのみだったので、春休みにボストン・コンサルティング・グループにインターンとして参加しました。これが、想像していた以上に面白かった。弁護士以外の道については考えたこともなかったのですが、「こんなに面白い世界があるんだ!」と。その後、すぐに司法試験は合格したのですが、インターンを終えた翌日に同社から内定の連絡がきまして……。それで、弁護士になるかボストン・コンサルに入るかずいぶん悩んだあげく、コンサルタントの道に進もうと決断をしました。インターンに行くまでは99.9%弁護士になろうと思っていたので、さすがにこの決断は迷いましたね。


転機となったのは「ロールモデル」となった先輩の存在

―決断の決め手はなんだったのですか?

単純に、そこで働いている諸先輩方がすごくカッコよかったんです。自分が「こうなりたい」「こういう人たちと働きたい」って思える人がたくさんいて。みなさん頭が切れるし、面倒見もよくて。何よりとても楽しそうに仕事をしていた。そのような人たちと出会ったのは初めの経験でした。

コンサル業界は、当時はまだメジャーな業界ではなかったこともあってか、尖った人が多く集まっていて、ロールモデルとなるような先輩たちがたくさんいたんです。だから、最後まで悩み抜いたあげく、ボストン・コンサルに行くことを決めたのは、諸先輩方のおかげとも言えると思います。

―大学時代の経験が、今の仕事に活きていると思うことはありますか?

法律の勉強は今の仕事にすごく活きていますね。保険業は法律と密接した業界ですから。例えば、「こういう場合に保険金をお支払いします」とお客さまと契約を交わすのが保険業の根幹です。そういう意味では、大学時代に学んだことはとても役立っています。

司法試験の勉強自体も支えになっています。それは、司法試験を受けましょう! という話ではなく、「深く学問をする」という行為自体です。学生時代は分厚い本を擦り切れるまで読んで、とにかく法律を勉強しました。何かを知的に深く追求することができるのは、社会人になってからではなかなかできないし、考える訓練や礎になった気がしています。

それ以外にも、大学時代の経験が役に立っている例として、今でも痛烈に覚えているいくつかの「言葉」があります。先程のインターンに行くときの話ですが、東大に教えにきていたアメリカ人の先生に「自分は弁護士になるから、企業に就職するつもりはないので、軽い気持ちでインターンに参加してくる」と伝えたところ、真顔で「絶対に決めつけたり、自分で自分の可能性を制約したりするようなことはするな。人生なにが起こるかわからないから、常にオープンな気持ちでいなさい」と言われ、この言葉は今も強く心に残り、活きています。

また、当時は伊藤塾の伊藤先生の授業を毎日聞いていたのですが、伊藤先生は法律論以外にもいろいろな話を教えてくれました。「ノブレスオブリージュ」という言葉があります。「恵まれているものの義務」というような意味です。要するに、恵まれている人は世の中のために恩返しする義務がある、と。「みなさんはこうやって法律を学べるという恵まれた立場にいるのですから、いい法律家になって、必ず社会のためになることをしなさい」と伊藤先生から指導してもらったことを強く覚えています。

結局、人生に影響を与えるのは、本を読むか、旅をするか、人との出会いだと思うのですが、僕の場合は圧倒的に人との出会いで人生が変わってきているので、いろいろな人に会って話を聞くことが大事だと感じています。


アメリカでの経験が、弁護士以外の道もあるって改めて思わせてくれた。

―勉強以外にも役に立ったことはありましたか?

ジャズはやっておいてよかったですね。大学生の時はまだそんなに弾けなかったので、一日中ピアノを弾いている日なんかもあって。そんなに時間を費やすって、大人になるとできませんよね。でもそのおかげで、僕は今ジャズピアノが弾けます。ジャズのいいところは、いきなり飛び込みで知らない人とも演奏できるところです。だから、ジャズをきっかけに人と出会ったり、人との繋がりが深くなったりするのです。実は仕事にも役立っていて。すごく大事なとき……、たとえばライフネット生命に出資をしてもらうときは、会社や個人のすべてを知ってもらうことが大事なので、お客さまをジャズの弾けるレストランに連れて行って、食後に「僕が1曲ピアノを弾きます」と言って、ジャズを聞いてもらったりします。そうやって演奏を聞いてもらうことで、お互いの理解を深め合い、仲よくなれることもあります。

―本当に充実した大学生活だったんですね。

でも、これも不思議なもので、「もっといろんなことをやればよかった」と思うこともありますね。旅行もたいしてしなかったし、サークルに入ってなかったので、楽しい合宿みたいなのもなかった。

ジャズ研究会でも合宿はありましたが、学年3人ずつぐらいしかいなかったので、ただ楽器を弾いて、あとはずっと漫画を読んでいるといった、いわばオタクサークル状態……(笑)。みんなでドライブして海に行くとか、そういう青春っぽい華やかなサークル活動もやってなかったし、海外留学もしてない。だから、大学時代にいろいろなことにチャレンジしたという気は全くなくて、むしろすごく限られたことしかやってない大学生活だったと感じています。でもまぁ、やり残していることがあるぐらいが人生いいのかなとも思ったりもします。今思うと、広く浅くよりも、狭く深く過ごした大学生活は、それなりによかったのかもしれませんね。

―大学時代の一番のトピックというか、印象深い出来事といえば何を思い出しますか?

4年生になる前の春休みにアメリカを訪問しました。伊藤塾が連れて行ってくれたのですが、日本が裁判員制度を導入するための準備で、刑事弁護の専門家の先生方がアメリカに視察に行くことになったので同行させてもらったのですが、これは大変貴重な経験でした。裁判所に行ったり、ハーバード・ロー・スクールに行ったり、日本では考えられない衝撃的なことが色々発見できたのです。特に、卒業しても弁護士にならない人がアメリカには結構いたことは衝撃でした。

―ハーバード・ロー・スクールを出たのに!?

はい。卒業後に、ゴールドマン・サックスや、マッキンゼー(・アンド・カンパニー)などに入社していたのです。「4年間大学へ行って、さらにハーバード・ロー・スクールに3年間も通ったのに、弁護士にならないの? もったいないのでは?」と聞くと、「いやいや、イケてる人はこっちだぜ」といったトーンだったのです。その生きざまに驚いて。当時の日本の常識からしたら考えられないことでしたが、その体験が、弁護士以外の道もあるんだ、ということを改めて思わせてくれましたね。

そんな岩瀬さんが今の大学生へ贈ってくれたメッセージは「深く深く掘り下げる。」大学時代にしかできない「何かを深く掘り下げる」という経験が、この先の人生の礎となるに違いない、という岩瀬さんの思いが詰まった一言です。その「何か」がまだないという人は、大学生の間にいろんなものを見て、試して、自分の好きなものやビビッとくるものを探してみてくださいね!


(プロフィール)
いわせ・だいすけ●1976年3月17日生まれ。埼玉県出身。ライフネット生命保険株式会社代表取締役社長。1998年、東京大学法学部を卒業後、ボストン・コンサルティング・グループ、リップルウッド・ジャパン(現RHJインターナショナル)を経てハーバード・ビジネス・スクールに留学。日本人では4人目となる上位5%の成績で卒業(ベイカー・スカラー)する。主な著書に『生命保険のカラクリ』(文芸春秋)、『132億円集めたビジネスプラン』(PHP研究所)、『ネットで生保を売ろう!』(文藝春秋) 、『入社1年目の教科書』(ダイヤモンド社)、『がん保険のカラクリ』(文春新書)などがある。

文:落合由希 写真:柏井彰太

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