「100万人に一人の逸材になれ」―奈良市立一条高校校長、藤原和博が大学生に伝えたいこと 4ページ目
――そんな波乱万丈なキャリアを踏まえ、学生時代は将来のためにどう立ち回るのが正解なのか、最後にアドバイスをいただけないでしょうか。
藤原 大学時代は将来のためのベストチョイスは何かと悩みがちですが、自分自身の体験を踏まえて言うと、ある程度絞れたら、あとは時の運に任せたほうがいい。どれだけ考えたところで、何がベストかなんて、わかるはずがないんです。自分も変化するし、相手の会社も変化するから。だから、自分のやりたいことをある程度絞り込んだら、まずはその世界に飛び込んでしまうことが一番。現場でなければわからないことのほうが多いし、自分を最も成長させてくれるのも現場なんです。どんな現場を選んだとしても、それを10年後にベストチョイスだったと思えるようにがんばればいいんです。ようは「覚悟」の問題。
そして願わくば、自分ならではの"希少性"を大切に育んでほしい。まわりと同じ方向へ進むのではなく、我が道を行ければ、自分のレア度を上げられます。それが自分自身の付加価値になる。私自身、会社で40歳までに「営業」と「マネジメント」を学びましたが、それだけだとどれだけがんばっても1万人に1人の人材にしかなれなかったでしょう。
しかし、「営業」×「マネジメント」に3つ目の軸として「教育」を掛け合わせたので100万人に1人の希少性ある人材になれたと思います。そう考えて民間人校長の道を模索したんです。みなさんも、100万人に1人の希少性を目指して欲しい。オリンピックのメダリスト級の希少性であり、1世代に1人しかいないユニークさで生きるということです。
学生時代というのは、そんな自分にしかない「希少性」を見つけるために試行錯誤する時間になるといいですね。いっぱい恥をかいていいから、チャレンジしてみてください。
(了)
藤原和博(ふじわら かずひろ)
1955年、東京都出身。東京大学経済学部卒業後、株式会社リクルート入社。東京営業統括部長、新規事業担当部長などを歴任後、93年よりヨーロッパ駐在、1996年同社フェローとなる。2003年より5年間、都内では義務教育初の民間校長として杉並区立和田中学校校長を務めた。今春より奈良市立一条高校の校長に就任。著書は『人生の教科書[よのなかのルール]』『藤原先生、これからの働き方について教えてください。』など累計133万部。