消防団に入団するため、東京消防庁に乗り込んでみた件。
どうも、ワタナベです。きょうは東京消防庁にやってきました。なんでも大学生も消防団に入れるとか。モテたくて、人の役に立ちたくて話を聞きに来ました。たぶんバッキバキの筋肉集団だと思うので、普段から筋トレしてますアピールすれば入団できるはず。では、さっそく行ってみましょう!
「失礼しマッスル!」
「…6587回!…6588回!」
「……なにしてんの」
「いつもの筋トレなんで気にしないでください。… 6589回!」
「あっ、そう……。まぁ、立ち話もなんだから、どうぞ。」
「ありがとうございマッスル!」
「…くっ!」
「大丈夫!?」
「 消防団に入るため、いつも1万回を超えるトレーニングをしてきた(つもりの)ツケが…こんなところで……!消防団に入るための筋トレしてきたのに……!!」
「消防団に入るためにやってきマッスルなのに!!」
「いや……。へんな小芝居しなくても入団できるよ」
「……へ?」
で、消防団ってなんですか?
■消防団について教えてくれた人
東京消防庁 防災部消防団課 団務係主任
消防司令補 小寺さん
現役・消防士。今は、特別区の消防団の広報や消防団員募集の広報担当するひと。消防団と野球をこよなく愛する。
「さっそくですが、大学生でも消防団に入れるって聞いたんですけど」
「はい、大歓迎です」
「そもそもなんですが、消防団ってなんですか?」
「東京消防庁に来てなかなか挑戦的な質問ですね。簡単にいうと、消防士は常勤。消防団員は非常勤です」
「というと?」
「消防士は常に火災や災害に備えて活動していますが、消防団員は普段、自分の仕事や家事などをしていて、災害などが起こった時に出場します。だから、ふだんは社会人や主婦をしているんです」
「いつものしがないサラリーマンは仮の姿。しかし火災が起こるとスーツを脱ぎ捨て、防火服に着替え、さっそうと登場する的な?」
「まぁ、そんなところです。商店街の魚屋さんや畑仕事をしているおじさん、そしてコンビニでバイトする大学生も、実は消防団員だったりします」
「そのギャップ、モテ要素のひとつかも。ところで、消防団ってボランティアなんですか?」
「いいえ、消防団員はれっきとした公務員です。ただし、非常勤、特別職の地方公務員となります。消防団員として守るべき法律や条例もちゃんと定められているんですよ」
「在学中でも公務員になれるんだ、知らなかった。さっき主婦の方も消防団員って言われましたけれども」
「はい。今、特別区では約14,000人の消防団員がいます。うち約2,400人ほどが女性消防団員です。ちなみに女子大生もいますよ」
「その話、詳しく聞かせてもらおうか」
「例えば、彼女」
「彼女は現役大学生でありながら、学生消防団員として活躍しています」
「こちらが制服姿」
「私の恋の炎は、彼女に消火していただきたい」
「こちらが消防団員募集シーン」
「ぜひとも募集されたいですね」
「決して男性だけの集団ではなく、"地域の役に立ちたい"という方が、男女関係なく活躍しているのが消防団なのです」
「 お父さん! ぜひ私を彼女と同じ消防団に!!」
「誰がお父さんや。そういう動機は認めません」
入団の試練……!?
「…っふ!…くっ!」
「なにやってんの?」
「いやね…、さっきの女子大生とお付き…ではなく、消防団っていいなと思って。でも、やっぱり入団するには筋肉ムッキムキじゃないと入団できないでしょ?」
「その心意気は素晴らしいですが、入れますよ」
「……えっ?」
「マッチョじゃなくても入団できます」
「マジっすか?」
「はい」
「じゃあ、誰でも入れるんですか?」
「入団資格があります。18才以上の健康な方であれば男女は不問。いま住んでるところか、通学や通勤している学校・会社がある地域を管轄する消防団に入団できます」
「試験は?」
「ないです」
「体力テストは?」
「ないです。ただ健康診断がありますね」
「面接は?」
「あります。面接は意欲重視。やる気がある方なら大歓迎です。実際70歳の消防団員もいるんですよ」
「70歳!」
「活動は力仕事だけじゃないですからね。本職のスキルを生かして、特殊技能団員として活躍する方もいます」
「特殊技能団員!? また海外の刑事ドラマのようなキーワードが」
「いえいえ。特殊技能団員とは、もともと仕事などでもっている資格を消防団活動に有効に活用して活動している消防団員の方のことです。例えば、重機を扱える免許をもっている消防団員の方であれば、震災時に重機を使ってがれきを除去し救助活動などを実施します」
「へー。それってある意味、消防士じゃない消防団員だからこそできる活動ですね」
「そのとおりです。活動を通して新しい資格や免許を取得した学生消防団員の方もいるんですよ」
「ここはオレに任せろ!って言えるの憧れるわー」
「消防団員は、消防士の補助やサポートではありません。むしろ欠かせないパートナー。どちらがかけてもダメなんです」
「消防士のパートナー。いい響きだ!」
消防団の価値は。
「そもそもの話なんですけど」
「はい」
「消防士がいるのに、なんで消防団員が必要なんですか? 消防士を増やせばいいじゃん」
「理由はいくつかあります。先ほどお話した、消防団員と消防士が協力するからこそ迅速な活動ができる話につながる内容でもあります」
「ほうほう」
「【消防力】をご存じでしょうか」
「わたしの消防力は53万です」
「戦闘力ではありません。消防士と消防団員が協力して総合的な力を発揮できるものです。消防を取り巻く社会情勢の変化を踏まえ、住民の生命・身体・財産を守るため【消防力】を着実に充実強化していく必要があります。そのため消防署が、地域に密着した消防団と連携することで、地域の実情に即した活動が可能となり、【消防力】を高めていっているのです。
「それで、消防団員が必要だと」
「そのとおりです。消防団員は、自分が住んでいる町や通勤・通学先の地域にある消防団に所属することになります。地元のことは地元の人に聞くのが一番。一刻一秒を争う状況のなか、町の詳細情報を知っている消防団員は地域防災力の要なのです」
「あそこに住んでるおじいちゃんは足が悪いとか、裏道があるとかの情報って、緊急時には大事っぽいもんね」
「町の状況は常に変わります。最新の情報や現地をよく知る生の声を災害活動にいかすためにも、消防団は非常に大切な存在なんです」
消防団員的ライフスタイル。
「じゃあ消防団って、具体的に何してるんですか?」
「大きく分けると二つあります。災害時と平常時の活動ですね」
「災害時でいうと、やっぱり火事が起こったとき?」
「消火活動もそのひとつです。消防署と協力して、地域と住民を守るのが消防団の大きな役割です。でも、それだけじゃありません。大規模震災などの災害時にも、救出救助、応急救護などさまざまな活動をしています」
「火事とか地震とかって、突然起こるじゃないですか。それって、学校や会社にいるとき急に呼び出されるわけですよね」
「そうですね。災害が発生した場合は、電話やメールで消防団員に連絡します」
「じゃあ、たとえ試験のときでも仕方がないですね! 緊急時ですから! これは仕方がない!」
「いやその時は本業の勉学に集中してください」
「あっ、はい。……あたり前かもしれませんが、消火活動って危険な任務ですよね?」
「まったく危険がないとは言い切れません。逃げる人々とは逆方向に進むわけですからね。ただし、安全管理を前提とした活動をおこないます」
「それは安心かも。じゃあ逆に普段の活動はなにやってるの?」
「こちらは水防訓練の様子です。ほかに消火や救助、応急救護などの訓練をおこなっています。あとは、火災予防や防災意識の向上などを目的とした広報活動です。例えばAEDの使い方なんかを中学生に教えています」
「AEDの存在は知ってるけど、正しく行えるかと言われるとあまり自信ないかも……」
「実際、消防団員である文系学生が、大学の懇親会のときに倒れた方をAEDで助けることができたという事例もあります。いざというとき正しい処置ができるように訓練を続けることが大切ですね。あと、
イベントもけっこうあります」
「イベント?」
「えぇ。例えば消防団始式(はじめしき)、5,6月には消防操法大会があります」
「始式? 操法大会?」
「始式は年始におこなう仕事はじめの行事ですね。操法大会は、可搬ポンプを使って水槽から給水し放水、撤収するまでの消防活動の基本を競う大会です」
「ん? 大会ということは競技なんですか?」
「はい。いかに早く、規律良く、指揮者の指示のもと安全にポンプ操法ができるかを競い合います」
「へぇー! もしかして全国大会とかあるんですか?」
「えぇ、隔年で全国大会もあります。周囲と競い合うことでモチベーションを高め、技能や防災意識を高めたいという意図もあるんです。あと、モチベーションという意味では、頑張って活動を続けた消防団員は、表彰を受けることができます」
「表彰?」
「はい。活動内容に応じて、消防団長をはじめ、区長や消防総監から表彰されます」
「すげー!」
守りたい町や人を、守れる力。
「本業はあるとはいえ、消防団って公務員なわけですよね?」
「そうですね」
「ということは、お給料はどうなってるんでしょうか」
「給料はありません」
「えー」
「ただ、年額報酬と費用弁償があります」
「費用弁償ってなんですか?」
「費用弁償とは、災害や訓練に出場したときに支給されるものです」
「その言葉を待っていた!」
「特別区では、団員の年額報酬は42,500円。1回出場するごとに3,500円支給されます。団長になると年額報酬は113,000円になります」
「入団意欲が高まります」
「東京消防庁としても大学生の消防団員募集を積極的におこなっていて。2015年には
『
特別区学生消防団活動認証制度 』もはじまりました」
「なんですか、それ?」
「ひらたくいえば、消防団活動を行った功績を東京消防庁が認証しましたよっていう証しです。これ、履歴書にも記入できます」
「つまり、就活でもアピールできる要素になると?」
「はい、就職活動の支援を通して、学生の消防団への入団促進を目的とした制度ですからね。積極的に活用してほしいと思っています」
「これはいい情報を聞いた! ……でもまぁ、社会人の方はお給料ももらっているわけじゃないですか。それなのにどうして消防団員になろうと思ったんですかね?」
「入団理由としては『地域を守りたい』という意見が最も多いですね。ある意味当然かもしれません。多額とよべる報酬をもらえるわけじゃなく、災害現場の最前線で活動する。気持ちがなければ続けるのはむずかしいです。でも、頑張ったぶんだけ多くの方を救えるし、感謝の言葉ももらえる。活動の功労・功績に応じて表彰だってされる。あえていうなら、自分は誰かの役に立っているという誇りと自信を得られるからです」
「筋肉はなくても、強い気持ちがあれば入団できると? 私も先ほどの現役女子大生の消防団員に会えると?」
「会えるかどうかはわかりませんが……。誰かが急に倒れたとき、周囲の人はただただパニックを起こしてしまうことが多いです。しかし、消防団員として訓練を受けていたり、救命の知識があれば、真っ先に動けるはず。助けられる命があるのです。いざというとき頼れる知識や技能を身に付けるという点でも、とても良い経験になるはずです。体力に自信がなくても消防団にはなれますので、学生さんにも気軽に話を聞きに来てほしいですね」
まとめ!
謎のベールに包まれた消防団員。その正体は、 ピンチになると現れる正義の味方だった。正直、最初は「どうせボランティア的な活動なんでしょ?」と思ってた。けど、全然違った。消防士のパートナーとして災害活動に欠かせない存在だし、非常勤公務員として報酬もある。誰かの命の危機に、手を差し伸べられるのが消防団員。役に立つ機会は来ないほうがいいけれど、いざというとき動ける自分でいることは、自信になるはず。少しでも興味のある人は、ぜひ下記サイトもチェックしてください!
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