圧倒的なスケールで江戸を満喫! 大学生からのアートのはじめかた「江戸東京博物館」編 2ページ目

編集部:すい

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スタジオジブリ・鈴木敏夫氏を虜にした幽霊画


現在、常設展示室5階の企画展示室では企画展「伊藤晴雨 幽霊画展」が開催中です。この幽霊画展を、学芸員の小林愛恵さんの案内で回りました。

伊藤晴雨は明治から昭和の時代に活躍した、「責め絵」というちょっと特殊なジャンルの絵で知られる画家です。それ以外の絵も多く残しているのですが、責め絵の印象が非常に強いため埋もれてしまっていました。

その埋もれてしまっていた仕事の一つが「幽霊画」だったのですね。
そうなんです。今回展示されている幽霊画は東京・谷中にある全生庵(ぜんしょうあん)というお寺に寄贈された絵で、元は落語家・五代目柳家小さん師匠の手元に残されていたことから「五代目柳家小さんコレクション」とも呼ばれています。

なぜ伊藤晴雨の幽霊画の展示を行うことになったのでしょうか?
実はスタジオジブリのプロデューサー・鈴木敏夫氏が、たまたま全生庵を訪れた際に晴雨の幽霊画を見て、個性的な絵と筆さばきに魅了されたそうです。そこで「ぜひ晴雨の幽霊画を見たい」ということで展覧会の提案をいただきました。晴雨の幽霊画が今回のように一堂に会するのは非常に珍しいため、多くの方から好評をいただいています。
 皿屋敷のお菊
 (全生庵所蔵)

 猫の怪談
 (全生庵所蔵)

幽霊画は柳家小さん師匠のコレクションを19幅展示しています。描かれているのは、「皿屋敷のお菊」をはじめ、歌舞伎や落語でおなじみの怪談の一場面です。舞台芸術や演芸界と関わりが深かった晴雨だからこその絵だと言えます。

一般的な怖い幽霊画ではなく、どこかおもしろい、かわいらしい雰囲気の幽霊ばかりというのが特徴的ですね。

晴雨は雑誌の挿絵や印刷物のデザイン、また江戸の時代考証や風俗研究も行っており、それに基づくスケッチをまとめた出版物なども出しています。今回は幽霊画展ではありますが、そうした晴雨の仕事も多く展示しています。


絵は今の漫画の絵と変わらないタッチで描かれているんですね。
晴雨の絵は独学なのですが、非常にスケッチがうまく、また構成力が高いため、さらさらっと描いた絵が非常に上手だったといわれています。実際に絵を見てみると、バランスの悪いところがなく、さすがだなぁと思ってしまいますよ。




   酉の市帰り
 (江戸東京博物館所蔵)


これは「酉の市帰り」と名付けられた手ぬぐいの日本画です。立体的といいますか、まるでドローンを使って空中から撮影したような不思議なアングルで描かれています。

日本画ではあまり見ないようなアングルですね。

こうした人に真似できない日本画を描くことができるのも晴雨の特徴だと言えます。


特設コーナー「幽霊が美しい―スタジオジブリ鈴木敏夫の眼―」

ここは柳家小さんコレクションの複製画を、鈴木敏夫プロデューサーによるコメントを添えて展示しているスペースです。このスペースのどこかに、鈴木氏が描いた「まっくろくろすけ」がいますよ。


あ、あれだ!

本当だ、まっくろくろすけだ(笑)



子どもも楽しめる仕掛けがあるのはいいですね!

堅苦しさを感じず、気楽に楽しめる歴史博物館

――江戸と東京の歴史と文化を学べる江戸東京博物館でしたが、いかがでしたか?


広さにも驚きましたし、中村座など巨大な復元展示物があることにも驚きました!
江戸時代の人たちの暮らしぶりなど、歴史の授業だけではわからないことをたくさん学べたのがおもしろかったです! お寿司を食べたり、生活レベルが意外と高いことは興味深かったですね。

たしかに、実際に当時の人たちが使っていたものを持ってみて、体感することができるのは楽しいし、魅力的だと思いました。


――展示されている模型なども細部まで作りこまれていて興味深かったですね。


江戸の町が再現された模型は、双眼鏡で見ると、人形がそれぞれ何か食べていたりケンカしていたり、眺めているだけでおもしろかったです!

美術品を鑑賞するぞ! という堅苦しさを感じなかったので、気軽に楽しめるというか、どんな年齢の人でも楽しめそうだな、と思いました。

江戸から東京の移り変わりを学べるので、東京に住んでいる人だとよりおもしろいとも思いましたね。


――海外の人にも人気の施設ですし、大学生の人は留学生の友人たちを連れてきてもよさそうですね。


絶対に楽しめると思います! 私もぜひ外国人の友人を連れて来たいです!


――お二人とも、本日はありがとうございました!

遊び心にあふれた模型展示物や、実際に体験できる展示物、また巨大な「魅せる」復元展示物など、美術に興味がなくても楽しみながら歴史と文化を学べる江戸東京博物館。館内にはレストランや和風カフェも充実しているので、展示を楽しんだ後はゆっくりとお茶をするのもいいでしょう。また、ミュージアムショップには個性的なグッズが数多く並び、特に公式キャラクター「ギボちゃん」のグッズはかわいらしく女性に人気です。普段とは違ったテイストのデートとしても楽しめるスポットではないでしょうか。

今まで行ったことがない人はもちろん、行ったことがある人でも行くたびに違った楽しみ方ができそうです。ぜひ江戸東京博物館で、江戸と東京の歴史や文化をじっくりと学んでみてはいかがですか?

●東京都江戸東京博物館


高床式倉庫をイメージしたユニークな外観

開館時間:9:30~17:30(土曜日は9:30~19:30)
休館日:毎週月曜日(月曜が祝日または振替休日の場合はその翌日)、年末年始
常設展観覧料:一般600円(480円)、大学生(専修・各種専門学校含む)480円(380円)、中・高校生・65歳以上300円(240円)
※( )内は20名以上の団体時の料金、また小学生以下および都内在住・在学の中学生は無料、特別展は別途観覧料が必要になります
http://www.edo-tokyo-museum.or.jp/

●伊藤晴雨 幽霊画展

開催期間:2016年08月11日(木)~09月25日(日)
観覧料金:常設展観覧料でご覧になれます。

●夏の夜間開館実施中!

平成28年9月9日と9月10日(土)は、常設展が21時(入場は20時30分)まで開館します。ぜひこの機会に、江戸東京博物館の展示物をゆっくりご覧になってください。

「東京の美術館・博物館をもっと楽しみたい!」という方には、「 東京・ミュージアム ぐるっとパス2016」の活用がおすすめ。これは一冊2,000円で、江戸東京博物館や江東区深川江戸資料館など都内79の美術館や博物館等の入場券、割引券がセットになったお得なチケットブックです。これを機に、都内の美術館・博物館をとことん楽しんでみてはいかがでしょうか。

東京のアート情報はコチラで検索!
https://tokyoartnavi.jp/

(中田ボンベ@dcp)

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