知らずに使ってない? 「イノベーション」の正しい意味・定義についてまとめてみた!【学生記者】

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みなさん、こんにちは。京大ビジネスサークルTPECです。今回は4回生のTIが担当します。前回の記事(https://gakumado.mynavi.jp/gmd/articles/36970)で、私たちがどのようなサークルか把握していただけたでしょうか…… (そんな記事知らないって……涙)?
気を取り直して、みなさんは「イノベーション」という言葉を聞いたことはありますか?現在その定義は非常に曖昧で、文献によって技術革新と定義したり、その技術を実用化するところまでを定義したりしており、混乱してしまいます……。そこでこの記事では、イノベーションの定義について整理・洗練したいと思います(ちょっと長いですが5分、いや3分でいいのでお付き合いください)。

●さまざまな定義の紹介

まず「イノベーション」という言葉を使用し始めたのは経済学者として知られるシュンペーター(Schumpeter)です。彼は著書『経済発展の理論』で、経済の循環とそれを打ち破るものとしての新結合(new combination)について論じており、「発展の形態と内容は新結合の遂行という定義によって与えられる」と述べています。彼の議論における「新結合」とは、今までの経済循環、すなわち「慣行の軌道」に対して、それらとは全く異なる方法でさまざまな要素(諸力)を結合させるというものです。要するに「にゅーこんびねーしょん」ですね。

その他にもたくさん定義があるので以下に示しました。

○「イノベーション(英: innovation)とは、物事の「新結合」「新機軸」「新しい切り口」「新しい捉え方」「新しい活用法」(を創造する行為)のこと。一般には新しい技術の発明を指すと誤解されているが、それだけでなく新しいアイディアから社会的意義のある新たな価値を創造し、社会的に大きな変化をもたらす自発的な人・組織・社会の幅広い変革を意味する。つまり、それまでのモノ・仕組みなどに対して全く新しい技術や考え方を取り入れて新たな価値を生み出して社会的に大きな変化を起こすことを指す。」(Wikipedia)

○ 「科学的発見や技術的発明を洞察力と融合し発展させ、新たな社会的価値や経済的価値を生み出す革新」(文部科学省『第3期科学技術基本計画』)

○ 「この本で扱うイノベーションとは、直接的には「技術」の革新を意味する。しかし、その「技術」は製品などのハードだけでなく、ソフト・サービス・技能・アイディアなどを包含する幅広い概念」(『イノベーション戦略の論理』)

○ 「単に新しい技術や製品をさす言葉ではなく、その結果、 新しい価値が生まれ、社会や暮らしによい変化をもたらすことを意味します。」(P&G)

○ 「昨日までとは違う行動によって、成果を生むこと」(『イノベーションは日々の仕事のなかに』)

○ 「これまでにない価値の創出につながる新しい変化」「人間の知覚や行動、習慣、価値観を揺さぶり、画期的かつ不可逆な変化を生み出す営み」(東大i.school)

●前半の定義をまとめると……

だいたい「革新的な技術とそれを活用するアイディアを組み合わせることで新たな価値を生み出し、社会を変革すること」といった感じでしょうか。シュンペーターは「たとえば駅馬車から汽車への変化のように、純粋に経済的なものでありながら、連続的にはおこなわれず、その枠や慣行の軌道そのものを変更し、「循環」からは理解できないような他の種類の変動を経験する」と述べています。「純粋に経済的」というのは、自然環境・経済政策の変更や戦争などによる、外部環境の変化に起因しない、経済の内部から起こる変化という意味です。そして連続的変化ではなく、「ジャンプ」によって発展が実現されます。このような「新結合」は従来の経済を根底から覆す非常に大きな変化であり、そう簡単には起こらないですよね……。

●破壊的イノベーション

また「イノベーションのジレンマ(Innovator's Dilemma)」で有名なハーバード大学のクリステンセン教授は、シュンペーターのようなイノベーションを「破壊的イノベーション(Disruptive Innovation)」と呼び、現在の延長上にある改善を「持続的イノベーション」と呼んで区別しています。破壊的イノベーションとは、従来製品や技術の価値を破壊する可能性のある、まったく新しい価値を生み出すことです。

●後半の定義をまとめると……

技術にこだわらず「従来とは異なる行動によって、今ある循環を揺さぶり、変化をもたらすこと」、というより広い定義となっていますね。

ちなみに最後に取り上げた東大i.schoolがまとめた文献では、従来のイノベーションに対して「価値創造が目的であるのに、価値創造の手段である技術開発が目的となっている」という問題点を指摘し、「人のライフスタイルや価値観の変化を誘導する」ことを目的として「人間中心のイノベーション」というコンセプトを掲げています。簡単に言えば、今まで常識とされ、誰も疑いを持たなかったことに対して、多様かつ新たな見方や解決策を提供することです。

このようなイノベーションの例を挙げるとすれば、近年UberやAirbnbなどのサービスで有名になったシェアリング・エコノミーや、少し古いですがウーマンリブなど女性の社会進出があるでしょうか。前者は従来の「私有」という考え方にこだわらずに多くの人で利益を分け合おうとするものであり、後者は専業主婦や家庭に属するものとしての女性の固定観念を払拭し、女性に新たな機会を与えたという点でイノベーションだと言えます。

・Uber
https://www.uber.com/

・Airbnb
https://www.airbnb.jp/

●まとめー「技術イノベーション」と「コンセプトイノベーション」

以上のように「イノベーション」と一口に言っても、大きく分けて2つの考え方があるようです。そこで私は前者のシュムペーターのような定義を「技術イノベーション(technology innovation)」、後者のより広い定義を「コンセプトイノベーション(concept innovation)」と名付け、区別したいと思います。別の区別としては、技術イノベーションが経済を通して社会変革を目指すのに対して、コンセプトイノベーションは経済を必ずしも必要とはせず、直接的に社会を改善するものである、とも言えるでしょう。

技術イノベーションは従来の経済を根底から覆すような変化なので大学生には難しそうですが、コンセプトイノベーションであれば、現在当たり前だとされている考え方や価値観を覆すだけで実現されるので、多くの人が少しは経験したことがあるもの(例:いつもと違う道を通って通学するとか……?)であり、もう少しハードルの低いものとなると思います。

私が所属する京大ビジネスサークルTPEC(http://tpeckyoto.wix.com/tpec)でも、日々の活動を通して、現在当たり前になっている前提を揺さぶり、社会をより良くするようなアイディアについて、議論が重ねられています。

文・京大ビジネスサークルTPEC

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