――普段どのような活動をされているのでしょうか？

田中さん　まず日本古来の正式な礼法に武術の身体操法を加味した礼儀作法から始まり、剣術、居合術、抜刀術、杖術、槍術、薙刀術、柔術、拳法、弓術を中心に稽古を行っています。月に一度、本部から田中伸彦 宗家師範に来ていただき、直接指導をしてもらっています。また、当サークルには「座学」もあり、時折、田中伸彦 宗家師範が武術の歴史、伝承される精神や哲学といった武道精神である「武士道」の歴史や意味に関して教授してくださいます。

大学には幕末の思想家「吉田松陰」の像があり、吉田松陰などが唱え、教えた「武士の精神」に由来する言葉から名前が付いた建物もあります。これには何か「縁」を感じるところです。

――この活動の魅力を教えてください。

田中さん　当サークルの魅力は、稽古の始めに学ぶ、日本古来の正式な礼法に武術の身体操法を加味した礼儀作法の立ち方、座り方、歩き方が茶道や華道にも通ずるところです。これはスポーツの運動部における礼儀ではなく、正式な礼儀作法ですので、社会人としての礼儀やマナーにそのまま通じるものです。社会に出てから学ぶのではなく、先に学ぶことができるのは魅力です。

――確かに正しい礼儀作法を知ることができるのは良いですね。

田中さん　また、武士道における仁、義、礼、智、信 という、武士道にとって重要な「五常の徳」という教え(道)があります。これは、人としてのものの考え方、理想です。『社会に貢献できる人間になるように』と、常に田中伸彦 宗家師範が指導してくださいます。

武士道の哲学や精神は、礼儀作法などに代表されるように日本の文化や伝統に大きく影響を与えたものです。これらは精神だけでなく家屋や美術などの伝統工芸などにも色濃く影響を与えています。「日本刀」一つを取ってみても、刀匠をはじめ、柄(つか)師、鞘(さや)師、鍔(つば)師、塗師(漆塗り)、組紐師、金具師など、七人以上の伝統工芸の職人によって作られる日本伝統工芸の粋を集めたものです。これらを学ぶだけでも、私たち伝統文化都市である京都の芸術大学に学ぶ者にとっては非常に勉強になります。

――女性の場合は、護身術として役立ちそうです。

田中さん　普段学んでいる全ての武術が護身術として役に立ちます。また、600年以上継承された古武道独自の動き(身体操法)は無駄のない合理的な動き方で、全てのスポーツに応用可能で、これも魅力です。こういった、古武道で学ぶ全てのことが、伝統文化やスポーツの世界、社会にまでつながっていると気付くたびに、勉強になります。

――今後の展望などはありますか？

田中さん　「サムライジャパン」のように「サムライ」という言葉がよく何かに対して使われますが、具体的にサムライとは何かを知っている人はほとんどいません。日本のサムライを外国人になんと説明するのでしょうか。説明できる人は少ないと思います。いにしえより宗家の家に代々伝承されてきた武家の伝統と文化、そして今は失われた日本人の古来からの精神と文化を学び、それを外国の方を含む多くの人に、もっと知ってもらいたいと思います。

――2020年の東京オリンピックなどで日本文化もあらためて注目されていますし、良いアピールができるといいですね。ありがとうございました！

田中さんが語られたように、私たち日本人のほとんどは、侍などの「日本の古来からの伝統文化」をしっかりと説明できるほど理解していないでしょう。「玄流 活殺術」を学ぶことで、そうした知られざる日本文化だけでなく、礼儀作法や護身術なども習得できるとのことです。興味のある人は、一度どういったものなのか見学してみるのもいいかもしれませんね。

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●活殺術 玄流 ホームページ
http://www.eonet.ne.jp/~genryu-seisikan/

写真提供：京都造形芸術大学 古武道 玄流 活殺術サークル

(中田ボンベ＠ｄｃｐ)