【インタビュー】「よくサボり、思いきり遊んだ」作家・林真理子の大学時代と、今の大学生世代に思うこと

編集部:はまみ

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オトナと子どもの狭間にいる「大学生」という時期。大学時代に学んだことや感じたこと、得た人脈は、社会人として一人前になった後の生活にも大きく影響しますよね。
今回は2015年9月7日に出版された新刊『マイ・ストーリー 私の物語』発売に際して、作家の林真理子さんに今の大学生世代について思うことや、ご自身の大学生活についてインタビューを行いました。林さんの大学生時代のエピソードは今の20代・大学生世代に通ずるところも……?!

■「本」にはネット上での自己表現にない満足感がある
——最新作は「自費出版」がテーマの小説ですね。

このテーマに取り組むことは4年ほど前から構想していました。仕事の都合が合わず時期をずらしているうちに、本当に自費出版ブームが来てしまい、偶然のことに私も驚きました。今、団塊の世代が定年に入るタイミングで、やりたいことの上位に入るのが自費出版です。自分の人生を本にしたいという「自己顕示欲」といいますか、情熱をもっとよく知りたいと思ったのがきっかけです。私は、そういった欲を持つことは悪いことではないと考えていますが、なぜ自分でお金を出してまで自分のことを書きたい人が多いのか……ずっと気になっていました。

——自費出版するのは、やはり高齢の方が多いようですね。
そうですね。ただ、若い人もネットで自己表現していますし、誰もがやりたいことなのだと思います。ただ、特に年輩の方は本を信用していますから、やはり紙で書きたいという方が多いんですよね。また、ネットだけで満足できるかと言えばそうではない面もあって、ブログの人気者って最後は出版に至るじゃないですか? やはり「著者」になるためには、行き着くところは本なんですよね。

■大学生や若者の文章表現力を、プロの作家から見ると…?
——自費出版する高齢者とSNSで自己表現する若者たちで、文章の表現力に差はあるのでしょうか?
正しくは私もわかりませんが、本になったものを読んだ限りでは、若い方は文章がちょっと短いかな……と思いますね。私のようにプロで文章を書いていると、どうしても「もうちょっと起承転結をつけなきゃ」と思うことは多いです。でも、一瞬のひらめきや言葉の反射神経みたいなものを感じるとすごく面白いですよ。ある社会現象にみんなが一斉に反応し、その中から新しい言葉が生み出されたりするのは若い世代ならではですね。

——若者や大学生に、文章の表現力自体がないわけではないのですね?
私の周りに大学生があまりいないので、あくまでブログで人気が出た学生や若い人の本を読んだ程度の意見にはなります。それにしても、ネットでは文章がぶつ切りな人でも、本になるとびっくりするほど上手くなっていることがあります。これだけ世の中が変わっているので、私は「本を読まないからダメだ」なんて思わないし、スマホでいろいろできるならそれでいいと思います。ただ、スマホやLINEに慣れ過ぎると、文章はどんどん短く途切れていく傾向があると感じますね。

■本を読む女子はちょっと魅力がある
——本を読まなくても、文章の表現力ってつくのですか?

先日、今年の直木賞を受賞した東山彰良さんに聞いたら、本をあまり読まなかったと言うので、「ひぇ〜」と思いました。謙遜して言われたのかもしれませんけれど……。私たちは文章を書いて食べていますから、やっぱり若い方には「本を読んでください」と心から思います。でも、これは好きじゃない人に向かっては言えないです。ちなみにうちの娘も全然読まなくて、「本はウザいから嫌い」とはっきり言いますよ(笑)。ただ、最近は電車に乗っていて、朝10時を過ぎるとだんだん若い女性の文庫率が増えてくるんですよね。夕方になるとさらに増えているので、これはうれしい傾向だなぁと思って見ています。

——たしかに、文庫本を読む女の子は魅力があります。
高校時代ならちょっと暗いイメージかもしれませんが、大学生なら、特に女の子は「あの娘、本をたくさん読んでいていいよね」みたいな評価も出てきますね。だから、「本を読んでいる人ってちょっとかっこいい&かわいい」に賭けてみるのもアリ(笑)。「話してみると結構本読んでいてびっくり!」「本を読んでいる子はやっぱり違うな……。」って思われたら、ちょっと嬉しいですよね。別に難しい古典を読む必要もなく、同世代のイキのいい面白いものを書く作家がどんどん出てきているので、必ず気に入る作家が見つかると思いますよ。

■本をたくさん読むと、「世界一周しました」よりも差別化できる
——本を読むことが良い印象につながるわけですね?

電車の中でスマホをやっていると、うつむき加減で顔も暗くなりますが、本を読んでいるとやや顎が上がって、かわいいんですよ(笑)。これはちょっとおすすめです。あと、就職活動でも小論文やエントリーシートなど、びっしり書くじゃないですか? あれも文章力があるのとないのとでは全然違うし、得することも少しはあります。

——なるほど、読書はなかなか実践的なんですね。
色々な方から就職活動の話を聞く機会があるのですが、エントリーシートが、みなさん金太郎飴みたいに同じらしいですね。「寝袋持って海外行きました」って、そういうのがすごく多くて、逆に差別化できていない。あんなにぎっしり書くのはかわいそうだな……って思う反面、あれを埋めるための経験なのか、自分が心からしたかったことだったのか、ちょっとわからないですよね。でも今なら、「趣味は読書です」と堂々と言えたら、それこそ差別化をはかれますよ。

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