【ナルホド・ザ・中学受験算数Vol.6】求めてはいけない積
こんにちは。中学受験算数プロ指導者のさんじゅつまんです。
八月になり、今年も猛暑が激しくなっています。自分は暑いのが苦手でつい冷房に頼りがちなのですが、人工的な涼しさはかえって体調を崩す原因になるから困ったものです。みなさんも栄養補給、水分補給、疲れがとれる睡眠時間に留意なさり、猛暑の夏を乗り切ってくださいね。
さて、今回のナルホド・ザ・中学受験算数は連載6回目です。毎回中学受験に役立ちそうな内容をコンパクトにわかりやすく解説しているつもりですが、ここまで読んでいただいた感想はいかがでしょうか。
もしよければみなさんの感想をお聞きしたいと思っています。今後とも本配信の末永いご購読をよろしくお願いいたします。
【ナルホド・ザ・中学受験算数Vol.6】
今回は「求めてはいけない積」と題しました。膨大な大きさの積を具体的に計算するのではなく、かけ算されている1つ1つの整数を素因数に分解することがポイントになる整数問題です。
[問題]整数を1から50まですべてかけた積をPとします。この整数Pは、一の位から数えて何個の0が並んでいる整数ですか?
[考え方]具体的に整数Pを求めるのは無謀です。不可能ではないと思いますが相当ムダな計算になってしまうでしょう。一の位から並ぶ0の個数は、たとえば【300=3×10×10→一の位から並ぶ0の個数は2個】のように、いくつの10がかけ算されているかによります。さらに10という整数は2×5と素因数分解できるから、いまの式は【300=3×(2×5)×(2×5)】のように書き直すことができ、つまり、この問題ではかけ算されている1から50までの整数を素因数に分解したとき、素数5が何個含まれているかを調べれば、それが解答になります。1から50までの整数の中に、5の倍数は50÷5=10個あります。→素数5は10個(ア) また、25(=5×5)の倍数は素数の5を2個含むから、この分を別途追加する必要があります。1から50までの整数の中で25の倍数は50÷25=2個です。→この2個を別途追加(イ) (ア)(イ)を加えて、1から50までの整数の中には全部で12個の素数5があり、これがこの問題で求める一の位から並ぶ0の個数です。
[解答]12個
[さんじゅつまんコメント]10を作るには素数5の他に素数2も必要ですが、1から50までの整数を構成する素数として、2の個数は明らかに5の個数より多いから、2の個数は考えずに5の個数だけを考えればよいことになります。(2が余っていても5が足りなければ10は作れないから)
[本問のお宝エッセンス]一の位から並ぶ0の個数は、かけ算されているすべての整数において素数5の個数を調べればよい。
【著者プロフィール】さんじゅつまん(歌丸優一)
1965年東京都渋谷区生まれ。付属高〈学院〉経由の早稲田マン。名門進学塾学習指導会、四谷大塚を経て現在はフリー算数指導者、算数作家。生徒の心に染み込ませるユニークな算数トークに定評がある。
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