【ナルホド・ザ・中学受験算数Vol.5】2つの条件で数字が入れ替わった整数問題
こんにちは。中学受験算数プロ指導者のさんじゅつまんです。
夏休みに入り、中学受験の塾では忙しい夏期講習の毎日ではないかと思います。受験勉強の充実に向けて、長い夏休みは影響大かと思います。暑さに負けない体調管理を怠りなく、実りある夏休みを過ごしてくださいね。
さて、今回はナルホド・ザ・中学受験算数の5回目をお届けします。この算数配信は毎回週の初めくらいを予定しています。中学受験の出題内容の中から、できるだけ象徴的かつ実戦的な問題を選んでいますので、必ずどこかでお役に立つことがあると思います。コンパクトでわかりやすい説明を心がけていますので、ぜひ本配信の末永いご購読をよろしくお願いいたします。
【ナルホド・ザ・中学受験算数Vol.5】
今回は2つの条件で数字が入れ替わっているユニークな整数問題です。
[問題]9を加えると12で割り切れ、12を加えると9で割り切れる整数があります。このような整数のうち、小さい方から3番目の整数はいくつですか?
[考え方]写真も参考になさってください。求める整数をPとします。Pに9を加えると12の倍数になりますが、その後さらに12を加えても12の倍数のはずです。12の倍数に12を加えても12の倍数であることに変わりはないですよね。同様に、Pに12を加えると9の倍数になりますが、その後さらに9を加えても9の倍数です。これら二つのことを合わせて考えると、Pは21を加えることで12と9のどちらでも割り切れることがわかります。つまりP+21=(9と12の公倍数)です。
公倍数とは「最小公倍数の倍数」だから、12と9の公倍数は36の倍数のことで、求める整数Pは36の倍数から21を引いた整数となります。もっとも小さい該当数は36-21=15ですが、問題には小さい方から3番目という条件があるから、3番目の公倍数108(=36×3)から21を引いて87が正解となります。
[解答]87
[さんじゅつまんコメント]この問題は一度経験しておかないと、所見ではなかなか対応が難しいのではないかと思います。個性的で楽しい解法なので、ぜひどこかで見かけたときには手際よく処理してほしいと思います。
[本問のお宝エッセンス]★入れ替わった2つの数の公倍数から、2つの数の和を引くと求めたい整数が現れます。
【著者プロフィール】さんじゅつまん(歌丸優一)
1965年東京都渋谷区生まれ。付属高〈学院〉経由の早稲田マン。名門進学塾学習指導会、四谷大塚を経て現在はフリー算数指導者、算数作家。生徒の心に染み込ませるユニークな算数トークに定評がある。
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