選考にはどこまで影響するの? 企業がインターンシップを実施する目的とは 2ページ目
目的2:早い時点で接点を持つことで、志望企業の候補にしてもらう
次に大切なのは、自分たちの会社を、就職活動時に応募する志望先のひとつに選んでもらうことです。世の中にはおよそ300万もの会社があるといわれ、新卒採用をしている会社も1万社以上あるとされています。その中で、あなたはいくつの会社名を挙げられるでしょうか。企業は一人でも多くの就活生にエントリーしてもらいたいと思っていますが、就活生がエントリーする企業は平均で70社程度に限られます。このため、就職活動が本格的に始まる前の段階で学生との接点を持ち、就職活動が本格的に始まったときに「インターンでお世話になった○○社があったな」と応募してもらうことは企業にとって重要なことなのです。
目的3:口コミでたくさんの学生に知ってもらう
「目的2」で説明したように、企業にとって魅力的な学生と接点を持ち、本選考に参加してもらうことは大切です。さらに、「類は友を呼ぶ」という言葉どおり、ある企業と相性のいい学生の周囲には、似たような仲間がいることが多いというのも人事担当者はよく知っています。そこで、インターンシップをきっかけに早い時点で相性の良い学生に出会えたら、その学生の周囲にいる人たちにもぜひ自分たちの会社のことを知ってもらいたいということを企業側は考えます。そのために、会社によっては、過去のインターンシップ参加者の紹介があれば優先的にインターンシップに参加できるようになっていたり、非公式な懇親会などを開催したりしています。
まとめると、参加した学生の志望度をあげることや自分たちの会社を知ってもらうことがインターンシップを実施する企業の主な目的だということです。インターンシップに参加できなかったからといって選考に大きく不利になるということは考えにくいので、安心してください。実際、インターンシップにかなり積極的なある企業でも、内定者の内訳でインターンシップ参加者とそうでない人の割合はおよそ半数ずつだったといいます。
企業側の意図を理解すると、「とりあえずインターンシップに参加しておかないと本選考で不利になるのでは」という考え方や、インターン期間中に必要以上に自分をよく印象付けようとして一喜一憂することには、あまり意味がないと感じられるのではないでしょうか。「選考にプラスになるかも……」という期待はひとまず置いておき、与えられる課題や出会う人々を通じて、インターンシップを充実した体験にすることに集中しましょう。
そして、いい体験ができたり素敵な企業に出会えたりしたら、周囲の友人にも教えてあげると、企業側にも友人にも喜ばれると思います。そうやっていい情報を発信していると、自然とあなたのもとにはいい情報が集まってくるようになりますよ。
文●井上真里(就活モード:http://www.syukatsu-mode.jp/)
キャリアアドバイザー。東証一部上場の住宅メーカー・IT企業で中途・新卒採用に携わる。これまでにのべ6,000名以上にセミナーやプレゼンテーションを行い、2,000名以上の面接を担当。現在は自身が講師をつとめる就活スクール「就活モード」を中心に活動。全国の高校生・大学生を対象に面接トレーニング、キャリアのマンツーマン指導やセミナーを多数開催している。