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大学生の購買行動とSNSの影響を深掘りしたワークショップレポート
第3回目のテーマは「大学生×サブスクリプション

【若年層のサブスク】動画はコンテンツ、音楽は視聴スタイルで利用サービスが分散する傾向

スマホで手軽に多様なコンテンツが楽しめる昨今。NetflixやAmazonプライムビデオなどの動画配信サービス、またAppleMusicやLine Musicに代表される音楽配信サービスのサブスクリプション(定額料金を支払うと、月ごとや年単位など指定期間内で使い放題になるビジネス方式)も充実しています。通信制限を気にせずに動画や音楽を楽しめるキャリアの料金プランも続々登場し、ユーザーの通信環境もどんどん快適になっています。

そこで、若年層が日々どんな風に動画や音楽を楽しんでいるのか、株式会社ビデオリサーチ ひと研究所の若手研究チーム「わかものラボ」と共同で、サブスクリプションの加入状況や楽しみ方を、大学生を中心にヒアリングしました。

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<目次>
■調査について
■動画サブスクリプションの加入傾向
■音楽サブスクリプションの加入傾向
■音楽と動画の加入形態の違い
■若者向け施策に有効なポイント
■無料コンテンツと広告のあり方

調査の概要

■調査について
調査日:2019年3月18日(月)
実施方法:大学生〜社会人15人(5人×3組)でのグループワーク
[第1部]各班にファシリテーターを1名配置し、サブスクリプションの加入動機と利用実態をヒアリング
[第2部]若年層に有効なマーケティング施策を考えるグループワーク

■調査対象者プロフィールと加入状況

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[第1部]
■動画サブスクリプションの加入傾向

ヒアリング参加者においては驚異の加入率100%!
コンテンツ重視で視聴するが、月額以外の追加課金はストレスを感じることも

調査に参加してくれた15名全員がサブスクリプションに加入していました。一人暮らし、実家暮らしに関わらず加入している結果を見ると、動画サブスクリプションの若者への浸透度の高さがうかがえます。オリジナルコンテンツに力を入れているNetflixは、洋画や海外ドラマ好きな人に加えて、「オリジナルコンテンツが見たくて加入した」という声も多数! 自分の趣味や興味を満たしてくれる番組にはお金を惜しまず、専門チャンネルに加入している人も。その一方で、ほぼ全員が加入していたAmazonプライムビデオは、動画というより「通販の送料無料やお急ぎ便(当日もしくは翌日に配達)のプライム会員特典が魅力で加入した」というケースが多く、動画コンテンツは“加入したら付いてくるおまけ”感覚で捉えているようです。

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各サービスの加入動機

<Netflix>
・友達にアニメを勧められて。(女性・22歳・実家暮らし)
・レンタルするより安いから。コメディアンの舞台動画の配信もあり、リアルタイムのアメリカの笑いがわかる。翻訳版の配信が早くてよい。(男性・25歳・一人暮らし)
・家族とアカウントを共有。見たいコンテンツがあったのがきっかけで加入し、映画中心で視聴。通勤時間が長いのでダウンロードして見ている。(男性・23歳・実家暮らし)
映画と海外ドラマが好きなので加入した。(男性・21歳・一人暮らし)
・姉とアカウントを共有(月額費は自分が全額負担)。海外ドラマが好きなので加入。昔はTSUTAYAで借りていたが、シーズンが長いとたくさん借りなければならなかったのでサブスクリプションの方が便利だった。オリジナル作品も面白そうだなと思った。Amazonプライムビデオと違って、すべて月額内で見られるのでストレスを感じない。(男性・21歳・一人暮らし)
・弟とアカウントを共有。「ブレイキング・バッド」が見たくて加入。Huluと同時加入している時期もあったが、Huluはコンテンツの配信が遅かったのでNetflix一本に。オリジナルコンテンツのレベルが高い。(男性・25歳・一人暮らし)
「ウォーキング・デッド」や「あいのり」などのオリジナルコンテンツが見たくて。(男性・25歳・一人暮らし)
アニメが見たかったから。(男性・21歳・実家暮らし)

 Amazonプライムビデオ>
・家族とアカウントを共有。プライムビデオはほとんど見ない。映画レンタルに定額料金外でお金がかかるものもあり、見たいものが有料の場合ストレスを感じる。(男性・21歳・一人暮らし)
兄が契約したのがきっかけ。兄が家を出た今でも、まだアカウントが残っているので共用している。(男性・23歳・実家暮らし)
父が契約したのを機に、アカウントを共有するように。(女性・21歳・一人暮らし)
Amazon Studentで安く入れたので、延長でそのまま利用。家族で1つのアカウントを共有している。通販利用がメインで、動画は付いてくるから見ている。大きい画面で見たいときはHDMIでテレビにつなぐことも。(女性・23歳・一人暮らし)
大学の前でクーポンを配っていたのがきっかけで加入。洋画もドラマも見るが、契約の理由は通販と動画の半々くらい。今後Amazon Studentの金額から上がるなら使わなそう。(女性・21歳・実家暮らし)
「バチェラー」「ドキュメンタル」が見たくて。(男性・25歳・一人暮らし)
・洋画にハマってDVDを借りていたが、プライムビデオで見られることを知り、友人にも勧められたから。(女性・21歳・一人暮らし)

<その他:見たいコンテンツを求めて使い分ける>
・Huluアニメが見たくて。(ただしHuluはコンテンツ量が少なかったり、デバイス間の共有ができないなど不便な点があるのでやめるかも)(男性・21歳・一人暮らし)
・Huluタブレットにアプリが入っており、姉と共用している。限定配信コンテンツなどがある時に視聴。(女性・19歳・実家暮らし)
・DMM:見たい舞台があったのがきっかけで利用。月額ではなく、1本ずつ購入している。舞台を観に行った時に、DMMでの配信があることを知った。(女性・23歳・一人暮らし)
・YouTubeスーパーチャットで投げ銭をしている。VTuberに課金。(女性・23歳・一人暮らし)
・テレ東ビジネスオンデマンド再生スピードが変えられたり、チャプターが付いているのが使いやすくて課金している。「ワールドビジネスサテライト」や「モーニングサテライト」を観ている。(男性・25歳・一人暮らし)
・ニコニコ動画好きなアーティストがチャンネルを開設したので。ライブの先行予約もでき、ファンクラブのような一面もある。アーティストがいる限りは課金を続ける。(女性・23歳・実家暮らし)
・JRA-VAN競馬が好きで、自分で馬券を買うようになってから使うようになった。(男性・28歳・一人暮らし)

■音楽サブスクリプションの加入傾向

ヒアリング参加者の音楽サブスクの加入率は50:50!
作業用BGMは無料で、流行曲や音楽好きはサブスク&CDで楽しむ

動画とは対照的に、サブスクリプションへの加入者と非加入者が大きく分かれた音楽。好きな音楽ジャンルや楽しみ方のスタイル・こだわりが人それぞれ違うため、CD購入・レンタル・サブスクリプションのそれぞれの利用方法も分散しているようです。好きなアーティストに対する“支援”として課金している心理もあり、使いやすさだけでは加入の理由にはならないようです。

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各サービスの加入動機

<Apple Music>
・自分のスマホのプレイリストの中にApple MusicのものとCDから取り込んだものが混ざっているので、契約を切ると作ったプレイリストが崩れてしまう。現状を維持するために契約を続けている。(男性・25歳・一人暮らし)
・作業用のBGMや、移動中、一人で歩いているときに聴いている。特定の歌手の音楽だけを探したいので、ランダムになってしまう音楽サービスは嫌。曲単位ではなく歌手全体で聴きたいので、iTunesではなくApple Musicを使っている。特定の歌手の音楽聴き放題のサービスであれば月1500円くらいは出せる。(女性・22歳・実家暮らし)
3ヶ月無料トライアル後、使い勝手がよかったのでそのまま契約している。邦楽も多いのがよいところだが、iTunesにある曲が全てストリーミングできるわけではないのが玉に瑕。(21歳・男性・一人暮らし)
・音楽が好きでCDをレンタルしてスマホに入れていたが、Apple Musicを使って便利さに気づいた。家にCDが500枚くらいあったが、Apple Musicを使うようになって物理的にもすっきりした。(25歳・男性・一人暮らし)

<LINE MUSIC>
・2年ほど前から課金して使っている。CDを借りることが減ったので、元が取れている感覚ありCDを買う時は、アーティストに対する投資の気持ちがある。(男性・23歳・実家暮らし)
・TSUTAYAでCDを借りるより安い。サービスの開始が早く、高校3年生の時から使っているので、そのまま継続している。朝の電車やジョギング中に聞く。流行の曲だけ楽しめればよい。(男性・21歳・一人暮らし)

<Spotify・Google Play Music>
・Spotify:使い勝手のよさでApple MusicをやめてSpotifyに絞った。使い勝手をどんどん改良していくところが高評価。邦楽も少しずつ増えているので不満はなく、レコメンドで新人アーティストを知るきっかけにもなっている。(男性・23歳・実家暮らし)
・Google Play Music:家族プランで利用(父が支払いしている)。洋楽が豊富なのがよい。(女性・21歳・一人暮らし)

<加入していない人の声>
・聴きたいものはYouTubeで聞けるから必要ない。気になったものは1曲だけ買ったり、CDを買ったり借りたりすればよい。普段からあまり音楽を聴かないし、気分に合わせて聴く習慣もない。好きなアーティストにだけお金を使いたい。(女性・23歳・一人暮らし)
・音楽を聴くのは寝る前だけ。聴く機会が少ないので有料のサブスクリプションには入らない。作業中はradiko(無料版)でラジオを聴く。特定の歌手が好きなわけではないので、流行している曲だけ聞ければよい。(女性・21歳・実家暮らし)
・Spotify(無料版)と、radikoを使用している。音楽にお金をかけたくないし、特定の好きなアーティストもいない。音が欲しい時はラジオを聴いてしまう。(男性・23歳・実家暮らし)
YouTubeのミュージックビデオで満足してしまう。気になった曲は購入する(Apple Musicに加入しているがほぼ使っていない。解約も面倒でそのまま)。(女性・19歳・実家暮らし) 

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■音楽と動画の加入形態の違い

動画アカウントは家族と共有、音楽は個人で

動画サブスクリプションのアカウントは、一人暮らしであっても家族と共有している人が多く、金銭面での負担軽減や共通の話題づくりにも一役買っていそうです。もちろんアカウントを共有していると家族に視聴履歴が見られてしまうため、抵抗感のある人は個人で契約をしていました。
一方、音楽サブスクリプションを家族と共用している人は少数派。各サービスから家族との共有プランも出ているものの、家族同士の音楽の趣味の違いや、学割の方が月額料金が安いなどの要因で家族プランに移行しないのではないかと推測できます。

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加入動機は“コスト削減”も大きな要因に

動画の場合、話題になっているコンテンツをまずはYouTubeで検索→見つからなければサブスクリプションサービスで見られるか検索→あれば加入、というステップがみられました。見たいコンテンツが無料で見られない場合は、違法サイトを漁ったり諦めたりするのではなく、きちんとお金を払って見る、という意識が定着しているようです。そもそも、無料のサービスで探すのが面倒になってサブスクリプションに加入した、という時間的コスト削減が目的の人もいました。

音楽の場合も、動画と同じく「好きなアーティストの楽曲をいちいち探すのが面倒」という参加者のコメントにもあるように、無料版で発生する時間的コストや、CD購入までの物理的コスト、保管コストを削減することができる点がサブスクリプションの大きな魅力と捉えられていました。

音楽や動画どちらかの分野で一度サブスクリプションの利便性を味わってしまうと、他の分野のサブスクリプションへの加入ハードルもぐっと下がっている印象があります。 

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[第2部]

■若年層に有効なマーケティング施策とは(ワークショップ)

加入している人としていない人が分かれた音楽サブスクリプション。どうしたらもっと若年層の加入が増えるかをグループワークで考えてもらい、出たアイデアや意見をまとめました。

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音楽の趣味嗜好の細分化に合わせて、サービスも細分化するべき、という声がある一方、現在のシステムは難しいのでもっと簡単な料金プランや制度にして欲しい、という意見も。スマホの料金プランのように、「よく聴く人」「あまり聴かない人」で分けてしまうのも手かもしれません。

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■若年層向け施策に有効なポイント

【1】「元が取れた!」と感じられるのが大事
加入する際の金銭ハードルを超えるポイントは、従来レンタルを担ってきたTSUTAYAやGEOなどの存在です。「レンタルするより安い」という声もあったように、金銭感覚のベースにあるのはこれまでレンタルショップに掛けていた金額。DVDやCDを購入するより安いのはもちろん「これだけ見てもまだ実店舗でレンタルするより安い!しかも返す手間もない!」と思えれば、月額費に対するネガティブな感情は少なくなります。

【2】音楽を利用するシーンから逆算して考える
第2部のマーケティング施策で出た「レンタカーを借りると音楽サブスクリプションが使えるようになる」というアイデアのように、若年層がいつも音楽や動画コンテンツに触れているシーンから逆算してサービスにつなげる方法にも可能性があります。音楽であれば、気に入ったアーティストの楽曲を聴きたいというニーズがあることから、例えばライブや音楽フェスなどのイベントと音楽アプリを連動させるなど、親和性の高いものと連動させることで、イベントの予習や復習に使うなど、加入する動機を作ることができます。動画サブスクリプションでは、すでに加入しているユーザーが、おすすめのコンテンツを1話無料で未加入の友人に視聴させることができる、など「共有の話題を持ちたい」というニーズを掴んだ施策も効果的だと考えられます。

【3】アーティストを応援できる仕組みをつくる
アーティストを支援する気持ちでCDを買う、という行動から分かる通り、好きな人や好きなものにはしっかりとお金をかけるのも若年層の特徴です。一部AWAなどが行なっていますが、月額は抑えつつも好きなアーティストの曲だけ聴き放題になるプランの実施や、視聴することがきちんとアーティストのために還元されることをPRすることで、これまでリーチできなかった層に訴求することができそうです。

■無料コンテンツと広告のあり方

サブスクリプションと並行して、YouTubeなどの無料で楽しめる媒体を活用している人も多くいたので、広告について感じていることをヒアリングしてみました。
結果は、「嫌ではあるが、無料で楽しんでいるのだから仕方がない」という声が多数。コンテンツはもともとお金がかかるものであり、無料で提供されているものは何かしらの理由がある(=広告)という仕組みを理解して使用していることがわかりました。ただし今回のヒアリングでは、必ずしも広告をきちんと見ているわけではないという意見も目立ち、広告をより見てもらうための工夫が今後の課題となりそうです。

<広告に対する意見>
ニコニコ動画は広告の音量が大きくなるのが嫌。課金で広告の除去ができるならするが、課金方法は求める内容によって段階式にして欲しい。(女性・23歳・一人暮らし)
・YouTube動画の前に出てくるアンケートは適当に回答して飛ばしてしまう。提供動画が嫌。(女性・21歳・実家暮らし)
・YouTubeプレミアムの広告スキップ機能は魅力的だが、月額が高すぎて契約できない。広告で興味を引かれることはない。(男性・23歳・実家暮らし)
動画広告を読み込むための通信料がかかることが気になる。広告なしで快適に使うためなら、広告のない有料アプリを使っても構わない。(男性・23歳・実家暮らし)
YouTube広告は自分に関係のない広告が流れてくるので、早く終わって欲しいと思いながら待つ。(女性・19歳・実家暮らし)
・広告はない方が嬉しい。全部見なくてはいけない広告(途中でスキップができないもの)は特に嫌。動画を見ている最中のミッドロール広告も嫌だが、プレミアムを契約するほどではない。広告を避けることは有料アプリを使う理由にはならない。(男性・21歳・一人暮らし)
・なぜ無料なのかを考えれば、無料サービスに広告が入るのは仕方ないと思う。有料版に広告が入るのは許せない。

広告なしのYouTube Premiumは月に1,180円(学生は680円)とサブスクリプションの中でも高めな印象。広告なしの他にオフライン再生などのサービスがありますが、若年層は移動中に動画を見ていることが少なく、メリットが感じられないようです。「広告が流れている時間=視聴者にとっては暇」であることを逆手にとり、動画に挟む広告をシリーズ物にしたり、ドラマ形式で続きが気になるような仕掛けにしたりなど、見せ方を工夫することで好感度が上がる可能性もあります。

 

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writer:根岸明子
株式会社SONICJAMにて、コピーライター、デジタル施策のプランナーとして活動しています。
SNSのライティングを担当することもあり、ターゲットに刺さるポイントを日々模索中。

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調査実施・分析:株式会社ビデオリサーチ ひと研究所
株式会社ビデオリサーチの生活者に関するシンクタンク。
現代の生活者のリアルを追求し、生活者を理解するための新しい切り口の開発や
届きやすいコミュニケーションを研究し、
あらゆる企業のマーケティング課題の解決をお手伝いしています。

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編集・分析:株式会社マイナビ 学生の窓口事業部 北村宏子