コミュニケーションインストラクター・山田ズーニーが教える「進路を切り開く考え方」

2015/06/18

対人マナー

付き合い・人間関係

内定・内定辞退

社会とどうつながるか

私は、大学を出るとき、就職先がありませんでした。アルバイトからはじめて、出版社で日給のアシスタントをし、そして登用試験を受けて、やっと正社員になりました。卒業から3年たっていました。

いまから思うと、あのころは、「自分が社会にエントリーする」とはどういうことか、よく分かっていなかったと思います。いまは、よく分かります。

「社会」は、人・モノ・金・サービスがぐるぐると激しく循環している大海原のようなところです。商品もサービスも、そこに込められた人の想いも、いったんお金に置き換えられて社会を巡ります。まるで地球という生き物の血管を利益という血がめぐるように。

「社会にエントリーする」とは、自分から社会に対して何か貢献をして、その対価である報酬を得て、自分と社会を"へその緒"でつなぐ行為です。

でも、大学を出たてで、社会に貢献しろといっても、なかなか難しいことです。
そこで、多くの人が選ぶのが「就職」ではなく、「就社」です。

「会社」とは、大海原で航海している「船」のようなものです。この乗組員になることで、間接的に社会に出ていく行為、これが「就社」です。

私も、3年がかりでやっと大企業に「就社」をしました。そして38歳のとき、志があって会社を辞めました。個人で仕事をやっていこうと思ったのですが、いったん会社の外に出た私は、社会の外に出ていました。

私は直接、社会と"へその緒"を結んではいなかったのだと、そのとき初めて気が付きました。会社を経由して社会とつながっていた。だから、会社を辞めたら社会とのつながりが断たれてしまい、再びどうやってエントリーしていいか、分からなくなってしまいました。それから5年、もがき苦しんだ果てに、私は、今度はフリーランスとして再び社会に入っていくことができました。いま私は、個人として社会に、「教育」の仕事で貢献し、社会からは報酬を得ることができます。自分の手に職をつけ、自分と社会を直接"へその緒"を結ぶ行為、これが「就職」です。

将来の仕事を考えることは、自分の「次なる居場所」の設計図を引くような行為です。中学から高校へ、そして大学と、試験にパスすれば居場所が与えられてきました。そこでは受け身で勉強していてもよかった。しかし、社会に出るとそうはいきません。自ら貢献して、お金がもらえるレベルまで、人を歓ばしたり、人の役に立つことが必要です。就社を選べば、船を経由して"へその緒"から栄養を得ることになりますから、会社が大きいか小さいかよりも、船の行き先、つまり、だれをどんなふうにして、どのくらい歓ばせる仕事なのかがポイントになります。

まずは、こういう構造を知っておき、その上で自分がどんなふうに社会とつながって、生きていくのがいいのかを、ちょっと考えてみてください。せっぱつまったときこそ、広く長い目で自分の将来を見ることで、ゆとりが生まれます。個人としてでも、会社を経由してでもいい、いろいろなやり方があり、正解はありません。「自分はどんなふうに社会とつながると自分らしいか? 自由か?」。

私自身、大学を出てもなかなか社会にはいっていけなかったので、焦る気持ちはよく分かります。

でも、"へその緒"からは、報酬つまりお金だけでなく、情報や、社会からの感謝や信頼、もっと言えば「社会から愛」のようなものも入ってきます。どんな"へその緒=仕事"でつながるかは大切に考えてほしい。現実の中で理想が崩れることがあっても、ささやかでもいい、自分の次なる居場所の設計図に、何かたった一つでも、自分の想いを込めることをあきらめないでほしいと願います。

次のページ「これがわたしの決断」といえるまで考えぬく

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