お酒が飲めないのは、社会人として不利?

2015/06/16

社会人ライフ

私はお酒が飲めません。音楽業界で内定を頂いている企業があるのですが、営業、宣伝などの部署では頻繁にお付き合いがあるようです。飲めないなりに色々と考えて「乾杯の時には飲めなくてもグラスに口だけはつける」「飲めなくても、会話を楽しみ、積極的な姿勢をみせる」といったことは最低限心掛けるつもりでいます。

ただ、1つ心配なことがあります。仕事とお酒の場というつながりは切っても切り離せないと思うのですが、お酒が飲めないことで、社内での立場が悪くなったりしませんか。つまり、営業や宣伝という職種から暗に外されたり、「酒が飲めないから使えない」などと見られることはないですか。樽木さんは今までに全くお酒を飲めない部下をお持ちになったことはありますか。

今まで、自分と同じ立場の人に出会ったことがなく本当に心配です。



★楢木さんからのアドバイス

お酒を飲めない人は部下に限らず何人も知っています。私は酒好きなのでホントのところは分かりませんが、お酒が飲めなくて困り果てていた人はいなかったようです。でも新人時代の同期社員で酒が飲めないことを気にしていた人はいましたね。多分、飲めない人は飲めないことを気に病むことからスタートして、しばらくたつとそれぞれの流儀を身に着けていくようです。そこにもいささかの苦労はあるのだと思いますが、飲める人間の方は、ご本人が苦労しているほどには気にかけていません。

尊敬する先輩のTさんは人間関係濃厚な大阪支店長時代、酒が飲めないことでいくつもエピソードを作りました。私もその場面をハッキリ目撃したことがあります。

Tさんはお客さまを招いたり招かれたりして酒の席に出ることが多いのですが、ビールは絶対ダメなので日本酒をお猪口に注いでもらって乾杯をします。そして上唇が酒に濡れた程度のところで、もう杯は持ちません。ところがそれだけで見る見るうちに顔面と目の中まで真っ赤になってきて、話をしているうちにトロ目の半眼になり、10分もしないうちに眠ってしまいます。たいてい30分くらい眠ったところで突然会話に加わります。その一連のシーンは一度見たらもう一度見たくなり、見た人間が大げさに吹聴することも手伝って、お客さまはもとよりまったく商売に関係ない人まで一度はTさんと飲みたいと画策していました。飲めないことも芸の内なのですね。Tさんが日経新書で採用関係の本を出版したときには、Tさんを囲んで、囲んだ人間だけが大いに酒を飲んだものでした。

2分法は人間の特長を掴む上で面白い方法です。しょう油顔・ソース顔、ドモる人・ドモらない人、ケチ・太っ腹、気配りある人・気づかない人、飲める人・飲めない人。この2分法で不利な立場に立ってもドローに持ち込んだり有利に展開する手はたくさんあります。ドモりぐせのあるトップセールスパーソンを知っていますし、子どもの頃から声が小さいといわれ続けて営業本部長になった同期の人間もいます。お客さまもホトホト困り抜いて、彼が話し始めるとみんなで一斉に頭を前に突き出すのだと言います。

そのよう逆転を狙わずに、2分法の不利を甘んじて受け容れてもどうということはありません。勝負のポイントはそこだけではないですから。機会あるごとに「酒は飲めない」とアピールすることをお勧めします。アピールの機会をたくさん作るために飲む席にたくさん出るようにしたらどうでしょうか。飲めないことはだれも気にしませんが、名前を間違えられて気にする人はいるかも知れません。私の名前も樽木(タルキ)ではなく楢木(ナラキ)と書いて欲しいなあ。



■回答:楢木 望(ならき のぞむ)

1948年東京生まれ、千葉大学教育学部卒業。1971年リクルート入社。「月刊就職ジャーナル」編集長など歴任。1985年にライフマネジメント研究所設立。採用・教育・就職コンサルタント。ニューズレター「採用と人材の手帖」発行人。「内定者のための学習メールマガジン」開発。メールマガジン「キャリア・キッチン」発行。http://www.lmi-tokyo.com


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