住宅手当が支給されると思ったら…

2015/06/12

給料・年収

現在内定を頂いている企業には通勤に2時間要します。寮はありませんが、募集要項の待遇・手当て欄に『住宅手当』が記載されていたので就職すると同時に一人暮らしを始め住宅手当を支給してもらえると思い、選考を受け内定を頂いたのですが、その後「基本的に住宅手当は転勤者の単身生計者に支給されるものであり私には支給されない、一人暮らしをするのであれば給料(初任給は基本給19万円+地域手当(大阪)1万円、2年目以降は前記に+営業手当て2万円)でやりくりしなければならない」ということを知りました。

このような状況は意外なことではなく「通勤に2時間もかかるのに、住宅手当を支給されないなんておかしい、一人暮らしをするのであれば完全自活なんて厳し過ぎる」と思う私は甘いのでしょうか。ちなみに一人暮らしをした場合、普通に食べていくには何ら問題はありませんが、将来の結婚や様々なことに向けての貯金ができないと思い非常に不安です。


★楢木さんからのアドバイス

あなたの考えが甘いと言うより、会社の考え方が「甘くなくなった」と捉えた方が良いと思います。

これまで日本企業の給与は、多くの「手当て」によって成り立っていました。その中には「会社都合の手当て」があります。たとえば転勤にまつわる費用や職種による過負荷に対応して手当てを払おうというものです。

これに対して「本人の事情を肩代わりした手当て」があります。通勤手当は、本人がどこに住んでいるかの事情によって変わります。家族手当、出産手当、住宅手当などもすべて、会社の都合ではなく本人の事情によるものです。

このような手当ては「仕事の成果」とも関係がありません。そこで「本人事情の手当て」はなるべく廃止していこう、というのが産業界の大きな流れです。その方が不公平がないという考えや本人事情手当ては成果主義に馴染まないという理由と、本人の事情まで会社が面倒見る余裕がなくなったことが重なっているような気がします。

会社だけではありません。国も地方自治体も、本人の事情に対する配慮の度合いを薄めてきました。程度の差はあれその傾向は続くでしょう。つまり、自分の努力や心がけとは関係のないところで、大きな存在(会社や国)が恩恵を与えてくれることは期待しない生き方が必要になったということだと思います。

自立とはなかなか寒々しい面がありますが、社会人になるスタートのところでこの問題にぶつかったことを幸いだと考え、自立の気概とプログラムを手にされることを祈っています。



■回答:楢木 望(ならき のぞむ)

1948年東京生まれ、千葉大学教育学部卒業。1971年リクルート入社。「月刊就職ジャーナル」編集長など歴任。1985年にライフマネジメント研究所設立。採用・教育・就職コンサルタント。ニューズレター「採用と人材の手帖」発行人。「内定者のための学習メールマガジン」開発。メールマガジン「キャリア・キッチン」発行。http://www.lmi-tokyo.com


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