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【マインクラフトの通貨をリアルのごみで増やす?!】コカ・コーラの紙製ボトルやグリコ・17アイスの棒を箸にするなど、有名企業が取り組むユニークなサステナブル事例を紹介  #Rethinkとは?

更新:2023/01/13

社会人ライフ

多くの企業がサステナブルな社会を目指し、取り組みを始めていますが、その方法は実にさまざま。私たちがよく知る企業も、ユニークな方法で事業やプロジェクトを展開しています。

そこで今回は、国内外のサステナビリティに関する情報配信メディア「IDEAS FOR GOOD」に掲載されている中から、有名企業のSDGs事例を中心に紹介します!

企業向けのプラットフォーム「IDEAS FOR GOOD Business Design Lab」のチーフデザイナーを務める宮木志穂さんにお話を聞きました。

【レジ袋に書かれているのは、〇〇の恥ずかしい言葉?!】日常生活で活きる、資源を無駄にしないSDGsの海外事例4選  #Rethinkとは?

PROFILE

宮木 志穂 (みやぎしほ)

ハーチ株式会社 IDEAS FOR GOOD Business Design Lab開発責任者

◉―― 1994年東京生まれ。大学在学中に東北ボランティア、イギリス留学を経験。社会を良くするアイデアを発信する自社メディア「IDEAS FOR GOOD」の編集者兼ライターを経て、2020年3月に企業向けのプラットフォーム「IDEAS FOR GOOD Business Design Lab」を立ち上げる。現在は、開発責任者として企業の サステナブル・トランスフォーメーションの支援を行う。

【事例1】自宅のごみをマイクラでの通貨に?!ゲーム×リアルの融合作戦

まず宮木さんが紹介してくれたのは、マイクロソフトが提供する人気ゲーム「マインクラフト」が行うサステナブルなキャンペーンです。

マインクラフトは、ユーザーが鉄や金といった資源を採掘して街づくりを楽しむゲーム。そんなマインクラフトが、自宅に眠っているスマホやタブレット、パソコンなどをリサイクルするようゲームの中で呼びかけるキャンペーンをスタートしました。このキャンペーンはノルウェーの家電量販店「エレクショップ」と連携して実施されました。

不要になった電子機器をショップに持っていくと、実際にゲーム上で使える通貨『マインコイン』に交換することができ、それを使ってアイテムを購入したり、ゲーム内で『ワールド』を作成したりできます。これは一種のゲーミフィケーション(ゲームを本来の目的としない事柄にゲーム要素を応用すること)で、ゲームを通してサステナビリティに取り組む人を増やすことを目指しています。

この取り組みは、今注目される有用資源“都市鉱山”の問題を考えるきっかけになると、宮木さんはいいます。

都市鉱山とは、使えなくなったスマホやパソコンなどの電子機器に含まれている金や銀、銅、レアメタルのこと。これを回収(採掘)して再利用すれば、新たに地中から採掘する天然資源の量を抑制できます。

この取り組みはゲームの中で行う資源採掘を、リアルな世界で都市鉱山から採掘できるようにしている点が面白いなと思います。」

→【日本の都市鉱山の埋蔵量は世界の天然鉱山を凌ぐ?!】携帯やPCから採れる金のグラム数って?

【事例2】CO2から作るロレアルのシャンプーボトルって?

日本でも広く知られるフランスの化粧品大手「ロレアル」も、画期的な商品を発表しています。

「カーボンリサイクルに取り組む企業は世界中で増えています。そんななか、ロレアルはアメリカやフランスの企業との共同開発でCO2を原料とするプラスチック製のシャンプーボトルを発表しました。出してしまったCO2を削減するには、森林を再生させることが思い浮かびがちですが、大気中のCO2を再び地中に埋め直したり、CO2をプロダクトに作り替えるといった技術が出てきています。CO2をプロダクトにするのは高い技術力がないと難しいこと。それを消費財に落とし込み、一般消費者に使えるようにするという取り組みは、すごく先進的だなと思います。」

ロレアルは2024年までに、CO2を原料とする容器をシャンプーとコンディショナー用ボトルに採用する予定です。ただし宮木さんは、本当の意味でのCO2削減のためには、もう一歩進んだ取り組みが必要だといいます。

CO2をプロダクトにするということは、できるだけ新しい石油資源を使わないようにするという点で、とてもいい取り組みだと思います。この商品が早々と役目を終えて再び燃やされてCO2に戻ってしまうのではなく、長く使い続ける仕組みにも注目していきたいですね。」

→ロレアルと共同開発した米LanzaTechの実践するCO2をボトル化する驚きの工程って?

【事例3】オランダの観光名所はプラスチックの釣りを楽しむツアー?!

プラスチックをリサイクルするという視点では、オランダのスタートアップ企業「Plastic Whale」による取り組みも、注目を集めています。それが「Plastic Fishing(プラスチック釣り)」ツアーという体験型のクルーズツアーです。

オランダでは、運河に落ちているプラスチックを魚のように釣り上げて楽しむツアーが開催されています。オランダでは観光名所になっていて、人気のあまり予約が取れないくらいなんですよ。」

このツアーは、運河に捨てられたペットボトルやお菓子のパッケージなどのゴミを、海洋に流出する前に釣り上げてしまおうというもの。有料ツアーで参加費は約3500円ほど。一般的なアムステルダムの運河クルーズツアーの2倍近い価格設定であるにもかかわらず、毎回のように満員になるほど人気となっているそうです。

ただプラスチックを釣り上げるだけでなく、回収したゴミを家具や雑貨にリサイクルする仕組みになっている点も素晴らしいと思います。

→運河で拾われたプラスチックの生まれ変わった姿が美しすぎる!

【事例4】コカ・コーラがプラスチック削減のために紙製ボトルを製作

飲料メーカーが揃って紙製ボトルの開発を進める中、飲料世界大手コカ・コーラ社も新たな取り組みをスタートさせました。

コカ・コーラ社は、パートナー会社である紙ボトル製造開発会社をはじめ3社と共同し、紙製ボトルのプロトタイプを製作。2030年までに、販売するすべてのボトルと缶を収集してリサイクルすることや、プラスチック原料のバージン包装材の使用を大幅に削減すること、100%リサイクル可能な包装材のみを使用することを目標に掲げています。

紙製ボトルを作っただけでも『いい取り組みだね』と言われるかもしれません。しかし、その紙製ボトルの『耐久性は大丈夫なのか』『保存期間はプラスチックと同じくらいなのか』などまでしっかり見ていくことで、コカ・コーラの取り組みを正当に評価できるんじゃないかと考えています。プラスチックにはプラスチックの利点があります。それを無視して、紙製に替えても、それで耐久性が落ちてしまっては『やっぱりプラスチック製がいい』という結論になりかねない。それでは本末転倒になってしまいますよね。」

→コカ・コーラの紙ボトルの詳細をもっと知りたい!

【事例5】「17アイスの棒を箸に!!」グリコが提案するプラスチックとの上手な付き合い方

宮木さん曰く、プラスチック使わないようにするだけではなく、プラスチックとのうまく付き合う方法を見つめなおすことでサステナビリティに繋げることができるといいます。

グリコの17アイスの自販機の事例がまさにそう。17アイスって持ち手の部分がプラスチックになっていますよね。17アイスが売っている自販機の横には回収箱があることが多く、食べ終わったらプラスチックの持ち手をそこに捨てられるようになっています。ただ回収箱には、お弁当のゴミなどが捨てられてしまうことも多いんですよ。」

そんな経緯もあり、グリコは、青稜中学高等学校に17アイスの自販機を設置する際に、17アイスの棒をアップサイクルして箸にしたり、プラスチックの利点と適切な分別について講義を行ったりして、SDGsへの理解を深めてもらうように努めました。プラスチックが悪いわけではなくて、私たちがその使い方を間違えているのが問題。プラスチックで作られたものであっても、長く使い続けたり、ちゃんと回収してリサイクル100%を目指したりすればいいのです。そうした工夫をすれば、他の素材に変えることによって耐久性が落ちて食品ロスが増える等のことを考えると、プラスチックを使った方がいいという選択もあると思います。」

→青稜中学高等学校で実際に実施された取り組み&プラスチックのオリジナル箸を見てみる!

「この世にゴミは存在しないし、不要な人間もいない」の意味とは

最後に宮木さんは、ある環境活動家の言葉を引用して、若者たちにメッセージを送ります。

「環境活動家のDiavidSuzukiさんが『ゴミというものは自然界に存在しない』言っているのですが、本当にその通りだなと思っています。ものが不適切なところに放置されていたり廃棄されていたりして、人間があまり触れたくない状態になってしまうと、ゴミというように定義されてしまうんですね。だけど適切な場所に置くことによって、地球上にはゴミというものは存在しなくなります。 CO2も同じで、大気中に出てしまったら厄介者ですが、 地中にあれば、植物たちの栄養素になる。適切なところに適切なものを置くという、ただそれだけなんです。」

この言葉は人間にも当てはまるといいます。

人間も『使えない人』というのは存在しなくて、地球上の中では誰もが必要な存在なんです。ただその人が活躍できない場所にいるから、できない人といわれてしまうだけ。生ゴミも肥料という資源になるように、自分の短所だと思っている部分は、他の誰かにとっては長所にもなり得ます。フレッシャーズ世代には、挫折を味わうこともあると思います。でも地球上の一つの要素として、自分が絶対なくてはならない存在で、どこかに活躍できる場所があるという思いを持ち続けていってください。


文:安藤茉耶
編集:学生の窓口編集部
取材協力:ハーチ株式会社  「IDEAS FOR GOOD Business Design Lab」
出典・引用:
【事例1】
・引用:NORD DDB Oslo 公式youtube
【事例2】
・引用:L'OREAL GROUP 公式サイト
【事例3】
・参照サイト:Plastic Whale 公式サイト
【事例4】
・参照サイト:Coca-Cola Europe 公式サイト

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