AIエンジニアとインフルエンサーというパラレルキャリアを築いてきたTOMOKINさんに、生き方の選択肢を広げる視点の変え方について話をうかがいました。
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PROFILE
◉――1988年生まれ。関西学院大学法学部卒業後、大手企業に就職し、IT部門でエンジニアとして働く。ヒューマンビートボックスのパフォーマンスを公開していたYouTubeが炎上したことをきっかけに、2014年頃からYouTuberとしても本格始動。ITエンジニアとYouTuberというパラレルキャリアをスタートさせる。
◉――エンジニアとしては海外駐在を経験し、アメリカ滞在中にTEDトークにも出演。現在はAIエンジニア、インフルエンサー、パフォーマーとして活動。YouTubeのチャンネル登録者数は34万人、TikTokのフォロワーは53万人。メディアを通してキャリアやエンターテイメントを伝えている。
▼Rethink INDEX
1.未経験から始まったITエンジニアというキャリア
2.炎上を利用する“逆転の発想”で人気YouTuberに!
3.限界は新たな世界を広げるきっかけ
4.キャリアの繋がりを見つけることで、いい相乗効果に
5.まずは小さいことからやってみること
僕がヒューマンビートボックスに出逢ったのは大学生の頃。4年間、音楽サークル漬けの毎日を過ごしました。そんな学生時代だったので、ネットを見る以外はほとんどパソコンに触れることはなく、タイピングもひらがなで一文字ずつ入力するような状態でした。しかも所属していたのは文系の法学部。就職のときにITの道に進みたいと考えていたわけではありませんでしたが、配属されたのがIT部門だったため、成り行きでエンジニアのキャリアを歩み始めました。
パソコンの知識がほとんどなかったので、就職した当初はとにかく大変でしたね。新入社員はプログラミング研修を受けるのですが、僕は「エクセルって何?」という状態。入社後一ヶ月くらいで会社を辞めたいと本気で思っていました。それでも辞めなかったのは、新しい会社に就職したとしても、いずれまた嫌だと思うことがあるとわかっていたから。その時にまた会社を辞めても、ただ転職を繰り返すだけになってしまうので、それよりはこの会社で頑張ってみようと思いました。
もちろん、就職したときから「パラレルキャリアを築こう」と思っていたわけではありません。僕がYouTubeをやろうと思ったのは、社会人3年目くらいの頃。ちょうど仕事に慣れてきて、単調でつまらないなと感じていたんです。仕事以外で何か挑戦したいと思っていて、それならYouTubeがいいんじゃないかと。その頃僕に起きた、ある事件もYouTuberというキャリアを歩むきっかけになりました。
大学の学園祭でヒューマンビートボックスのパフォーマンスを披露したときの動画をYouTubeで公開していたのですが、それが炎上したんです。僕は学生時代からTOMOKINというニックネームで呼ばれていて、YouTubeのアカウント名もこの名前にしていたんです。それが、当時ヒューマンビートボックスで大流行していたヒカキンさんの名前に似ていると話題になりまして……。「何パクってるんだよ」というコメントがたくさん来ましたね。学生の頃からTOMOKINでやっているんだけどなぁと思いつつも、これだけ注目が集まっているタイミングでYouTubeに動画を投稿したら、目立つんじゃないかと思ったんです。
炎上やアンチのコメントがくるのは、注目されている証拠。誰にも注目されていない状態というのは、そもそも炎上もコメントもこないですからね。注目の矛先が自分に向いていて、かついいコンテンツを提供することができたら、絶対に人の評価は変わるはず。そう考えて、YouTubeを始めることにしました。
YouTubeを始めた当初は、ヒューマンビートボックスのテクニックの解説を動画にして公開していました。
視聴者からの反応もよく、1〜2年でチャンネル登録者数が3万人くらいまで伸びたのですが、そこで壁にぶち当たりました。登録者数が頭打ちになってしまったんです。ヒューマンビートボックスの動画だけではコンテンツに限界があったんですよね。チャンネル登録者数を増やすには、もっとコンテンツの幅を広げる必要があると思いました。その頃YouTubeで流行っていたのが、英語を使った動画やエンターテインメント要素のある動画だったので、それをやってみようと。英語に興味もあったので、英会話の動画や英語のコントをアップし始めました。それからどんどんジャンルを増やしていき、今では本職であるITの動画にまで分野を広げています。
ちょうどその頃、本職でも英語に携わる契機が訪れました。社内でアメリカ駐在の人員募集をしていたので、とりあえず手を挙げてみたら選ばれたんです。英語は全然話せなかったのですが(笑)。英語はアメリカに行くことになってから日本で勉強しました。僕が英語の教材として使っていたのが、TEDトークというさまざまな分野に関する講演が無料で見れるサービスです。利用するうちにTEDトークってどんな人が話しているのだろうと気になってきて、調べてみると企業の社長や公募で選ばれた人だとわかったんです。もしかしたら、僕もアメリカに駐在している間に出演チャンスがあるかもしれないと思い、FacebookでTEDトークのスタッフ10名くらいに「出演したい」とメッセージを送りました。運よく返事が来て面接の末に合格。アメリカ滞在中にTEDトークに出演するという目標を叶えることができました。
パラレルキャリアは、それぞれにいい影響を及ぼしています。YouTubeでは、視聴者にプレゼンテーションをする機会がとても多いのですが、本職のITエンジニアでも、お客さんに話をしたり説明したりするので、プレゼンテーション能力を役立てられます。また、YouTubeでは、本職のスキルを活かして制作したIT動画が100万回以上再生されたこともあります。YouTubeと本職、相乗効果でどちらもよりよい仕事ができるのです。
例えば、今の仕事が面白くないと感じているならば、ぜひ自分が少しでも興味があることを始めてみてください。僕の場合はYouTubeでしたが、本職と興味があることの繋がる部分を探してみると、必ず何かしら見つかるはず。基本的に繋がらないことはありません。僕自身がエンジニアとYouTubeというまったく畑違いのパラレルキャリアを築いていますが、プレゼンテーション能力をはじめ、それぞれの仕事には何かしら共通する部分があるので、それを見つけて伸ばしていくことが大切だと思います。
パラレルキャリアを築く上で大切なのは、何事もこだわりすぎないこと。何か始めたいと思っていてYouTubeに興味があるなら、最初は低クオリティでいいので、1、2時間で動画を制作してみてください。1日中時間を使えるとなると意外と何もできないので、短い時間でできることを小さく始めてみるのが一番大事です。それを繰り返していくと、気がついたら自分のコンテンツができ、チャンネル登録者も増えて、パラレルキャリアになっていると思います。とりあえず小さいことから始めてみてはいかがでしょうか。
何を始めていいかわからないときは、幼い頃に好きだったことや趣味を思い出してみてください。まったく何も思い浮かばない人はおそらくいないはずです。本当にくだらない趣味であっても、それをブログで発信したら反響があるかもしれません。例えば、今人気のソロキャンプも少し前はごく一部の人が楽しむ趣味でした。しかしそれを誰かが発信することでコミュニティとして広がっていく。昔やっていたことをまたやってみるのもいいと思います。
フレッシャーズはとにかくいろんなことに興味を持ってみること。今、僕の本職であるAIエンジニアという仕事に出合ったのもアメリカ滞在中に人工知能に興味を持ったのがきっかけ。僕自身、そもそもパソコンを触ることも苦手でしたし、英語も話せなかったですが、興味を持って飛び込んでみることで新たな生き方や働き方を広げることができました。興味を持つことに、出会ったら迷わずチャレンジしてみてください。
▼TOMOKINさんのYouTubeチャンネルはこちらから
https://www.youtube.com/channel/UCVh1FLIJi0GxI_nLQcz1sNQ
取材・文:安藤茉耶
編集:学生の窓口編集部
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