職場の飲み会参加費、男性が多く払うのは当たり前? #モヤモヤバスターズ

更新:2022/06/07

社会人ライフ

漫画家・瀧波ユカリ先生の人気連載「フレッシャーズサバイバル」が今回からリニューアル!
社会人のみなさんの、なかなか言えないモヤモヤを解決していく新連載 #モヤモヤバスターズ として再スタートします。春シーズンのテーマは、“ジェンダーに関するモヤモヤ”です。

今回の相談者のリッキーさんは、「職場の飲み会で、女性の参加費が安い」ことにモヤモヤしているているそう……。モヤモヤバスターズ隊長、瀧波ユカリ先生の回答は?

★今回のモヤモヤ(お相手:職場の同僚)
女性の参加費が安いことにモヤモヤしています。男性の方が食べるからという肉体的な差異は確かなものの、 食が細い男性もいるので、性別で分けるのはやめた方がいいと思う。上司が多く払うのはまだわかるが、“男性が多く払うのが当たり前”というロジックに当てはまると、女性より男性が上、というのを暗にほのめかしていてこそばゆい。
(リッキーさん・28歳)


こんにちは!モヤモヤバスターズ隊長の、瀧波ユカリです!

飲み会の参加費でモヤモヤ、ありますよね! 私も、3次会という名の始発待ちで最初から最後まで爆睡していて一切飲み食いしなかったにも関わらず4000円徴収された24歳の春の出来事がずっと忘れられません!

もうみんな満腹のはずの3次会でどうしたら1人4000円になるの⁈ ちょっとおしゃれな店だったから? 三軒茶屋、怖い!
……と私怨を垂れ流したところで、本題です。

モヤモヤの矛先、まちがわないで!


性別で分けるのはやめたほうがいいというリッキーさんの考え、まちがってないと思います! 私もそう思います。でもね、モヤモヤバスターズ隊長としては、ひとつ指摘したいことがあるんですよ。
それはね、モヤモヤの矛先をまちがっちゃいけない、ということ。

リッキーさんの場合、モヤモヤを感じた相手は「同僚」なんですよね。これはたぶん、安いお金で済む女性の同僚に向けられていると思うんですけれども。そこ、ちょっとちがうんです。本当は、こう考えるべきだと私は思うんですよ。

「上の立場の人たちが多く払わないの、モヤモヤする!」「会社の飲み会なのに会社の財布からお金が出ないの、モヤモヤする!」と。

モヤモヤを解きほぐして考えよう!


どうして女性ではなく、上司や会社に対してモヤモヤするべきなのか?それをわかりやすく解きほぐすために、ここからは私の別人格「モヤモヤバスターズ隊員・男性部下のモヤ男くん」と私のトークを聞いてください。

モヤ男「隊長、聞いてくださいよ。うちの職場、飲み会の時に性別で参加費に差をつけるんですよ」

「女性のほうが安いってやつだよね?そんな職場あるんだ。やだね〜」

モヤ男「はい。で、僕はそのことで、上司や会社に対してすごくモヤモヤしてるんです」

「どうして?」

モヤ男「部下って、上司や会社から飲み会に誘われたら断りにくいじゃないですか」

「そうだよね」

モヤ男「参加したところで、気を使わなければならないので上司ほどは楽しめないし」

「注文取ってこいとかもっと飲めとか、いろいろ言われるもんね」

モヤ男「はい。それに、給料だって上司より少ないわけで。だから上司が多く払うべきだと思うんです」

「うん、そのとおりだと思う。それか、会社の財布から出すかだよね」

モヤ男「はい。それなのに、上司は”男は多く払う”というルールを、合意もなく設けて男性部下に強いている!」

「世の中的にそうなってるから、みたいなね。年上が多く払うっていう常識はどこいったん?」

モヤ男「そうなんですよ。飲み会の参加費って、ワリカンの場合、性別で金額に差をつける場合、上下関係で差をつける場合、いろいろやり方がある。職場での飲み会だと、どのやり方がより適切か? 僕はやはり、最初に説明したように上下関係で差をつけるほうが適切だと思うんです。でもそういった議論がなされることもなく、自動的に男が多く払うということになっている。それはおかしい」

「うん。本当に理不尽だよね」

モヤ男「理不尽です。それに、実は搾取でもあると思うんです。本来は自分たちが払わなければならないぶんを、男性部下に肩代わりさせているわけですから」

「なるほど! 女の子は安くていいよ〜って、いい顔しながら男性部下の財布から金を抜いてるってわけか!」

モヤ男「隊長、言い方汚いっすよ⁈ でもそうなんです! 結果的に得をしているのは上司なんですよ。それなのに、女性の金額を安くすることによて、女性だけが得をしているかのように見せかけもしているんです」

「うんうん。男性部下としては、女は得してずるい〜ってなるよね」

モヤ男「そこで聞きたいんですが、男性部下からずるいという感情を持たれることは、女性にとっても不本意ですか?」

「もちろんだよ。安くしろと言ったわけでもないのに、恨みを買うなんて理不尽

モヤ男「そうですよね。本当にずるいのは上司なのに……」

「こういうのを、分断って言うんだよね。下にいる者たちの待遇に差をつけて、自分たちが得をしていることを見えにくくする」

モヤ男「そうです。彼らは、搾取してやる! 分断してやる! と意識してやっているわけではないと思います。それでも結果的に男性部下から搾取していることを自覚すべきだし、男性部下と女性社員を分断させていることに対して反省すべきではないでしょうか」

――どうでしょう?向けるべきモヤモヤの矛先、わかりましたか?

その状況はいつか変えられる


モヤモヤの矛先を定め直し、問題の根っこについて考える
。そうすると、その問題の見え方がだいぶ変わってくると思います。モヤモヤする状況はまだしばらく続くかもしれません。でも、問題の根っこが見えているならば、その状況はいつか必ず変えることができます。今回のことで言えば、あなたが上司になった時に「性別じゃなくて上下関係で金額に差をつける」というルールを適用すればいいのです。

無意識のうちに搾取したり分断したりしない、そんな上司にいつかリッキーさんがなれますように。応援しています!
そして3次会で爆睡している人はせめて半額にしてあげて!私の無念を晴らして!

文・瀧波ユカリ
漫画家、エッセイスト。北海道生まれ、日本大学芸術学部写真学科卒業。主な著書に『臨死!! 江古田ちゃん』『ありがとうって言えたなら』等。雑誌Kissにて『モトカレマニア』連載中。

Twitter:@ takinamiyukari
公式サイト:Takinami Yukari Official Site


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