生命保険の契約者・被保険者・受取人について解説

2020/08/25

保険

生命保険を契約するとき、契約者はもちろん、被保険者と受取人の指定も必要となります。今回は、この重要な3つの定義を解説します。それに加えて受取人にはどのような人を指定できるのか、あるいは、それによって変化する税金の種類や計算方法についても解説します。
※2020年8月現在
(監修協力:恩田 雅之)

生命保険の契約者・被保険者・受取人について

生命保険の受取人とは?

生命保険を契約するときには、契約者、被保険者、受取人と、それぞれの指定が必要となります。それぞれの定義については以下の通りです。

契約者

保険会社と保険契約を結び、契約における権利(契約内容の変更請求権など)を持つとともに、契約に関する義務(保険料の支払いなど)を負う。

被保険者

保険の対象となり、例えば死亡保険の場合、契約者ではなく、この被保険者が死亡した場合に死亡保険金が保険会社から受取人に対して支払われる。

受取人

死亡保険金など、保険金を保険会社から受け取る。死亡保険に関しては、被保険者と受取人を同じ人物に指定することはできない。

死亡保険の場合、被保険者が死亡したときに保険金が発生するので被保険者と受取人を同一人物に指定することはできません。しかし、医療保険などの場合には被保険者と受取人を同一人物に指定することができます。

誰もが受取人になれるわけではない

ほとんどの保険会社では、原則死亡保険金の受取人になれる人を、被保険者の戸籍上の配偶者または2親等以内の血族、と限定しています。しかし、その範囲内に親族が存在しない場合、あるいは存在していても受取人として指定できない理由がある場合などは、その他の人を受取人に指定できる可能性もあります。

また、近年の社会情勢の変化により、事実婚のパートナーや同性パートナーを受取人に指定できる保険会社も増えてきています。このように、受取人として指定することが可能な範囲や、その手続き方法、必要な書類などは保険会社によって異なります。それぞれの保険会社に直接問い合わせてみることをおすすめします。

さらに、親が2〜3人の子どもを同時に受取人に設定したり、受け取る割合を細かく指定したりすることもできます。これも詳しくは各保険会社に確認してみてください。

受取人によっては課税対象が変わる

契約者と被保険者が同一人物の場合、受取人が受け取る保険金は相続税の課税対象となります。死亡保険金には、法定相続人1人あたり500万円の非課税限度額があります。非課税限度額を差し引いた保険金額が相続財産になります。他の相続財産と合算して後に、基礎控除3,000万円+(600万円×法定相続人数)を差し引いた金額が相続税の課税対象となりますので、非課税の範囲はかなり広くなります。

契約者、被保険者、受取人がすべて異なる場合は贈与税の課税対象となり、受け取った保険金から基礎控除110万円を差し引いた金額が課税対象となります。このとき、保険金以外にも受け取った財産があれば合算して計算します。

契約者と死亡保険金受取人が同一人物の場合、一時所得として所得税の課税対象となります。死亡保険金から払った保険料の累計を差し引き、さらに特別控除額50万円を差し引いた金額を一時所得として計上します。課税対象となるのは、この金額をさらに1/2にした金額になります。

まとめ

生命保険には契約者、被保険者、受取人を指定することになります。死亡保険では被保険者と受取人を同一人物に指定することができません。受取人は原則として被保険者の配偶者や2親等以内の親族ですが、事実婚や同性のパートナーを指定できる保険も昨今は増えてきています。

(学生の窓口編集部)

監修協力:恩田 雅之
1959年、東京生まれ。専修大経営学部卒業後、16年間パソコン業界の営業の職業に携わる。CFP®資格を取得後、札幌にて「オンダFP事務所」を開業。初心者向け資産運用に関するセミナーと投資信託など資産運用を中心としたコラムの執筆やローン関連を中心に記事の監修などを中心に活動中。
http://onda-fp-jimusho.com/

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