変動費率と損益分岐点はどのように求めればいい? 算出方法とグラフの作り方について解説

2020/09/24

お金の知識

企業の経営状況について分析するために押さえておく必要があるのが「変動費率」と「損益分岐点」です。ここでは、それぞれの値を算出する方法とExcelを使って「損益分岐点」をグラフで表現する方法について解説します。

【監修協力:資格の大原(社会人講座)

変動費率 算出方法

変動費と変動費率の算出方法について

「変動費」とは、生産高や売上高に比例して発生するコスト(費用)のことです。

変動費に分類されるものとしては、材料費や商品の仕入費用、運送費、外注加工費などが挙げられます。また、「変動費率」は、売上高に対して占める変動費の割合のことを指し、次の計算式で求められます。

変動費率(%)=(変動費÷売上高)×100

変動費率を計算することで、その企業におけるおおよその収益力を判断することができます。

「おおよそ」の判断となるのは、変動費率では「固定費」が考慮されていないからです。
固定費とは、売上とは関係なく一定の金額で発生する費用のことで、代表的なものとして事務所の賃貸料や設備の減価償却費などが挙げられます。

つまり、企業の利益を正確に測るには、売上高から変動費と固定費を差し引いた金額を算出する必要があるということです。

なお、変動費率は業種によって異なります。
例えば、製造業、運送業、飲食業など、生産設備や従業員などを多く抱えている業種は、設備の減価償却費などの固定費の割合が高く、変動費率は小さくなります。一方、小売業は売上高を増やすために多くの商品を仕入れて販売するため、仕入原価や輸送費といった変動費が高くなり、結果的に変動費率が高くなる傾向があります。

損益分岐点と、その算出方法について

「損益分岐点」は、売上から変動費と固定費を引いたときに利益がゼロになる点、つまり「売上=費用」となる点のことで、以下の計算式で求められます。

損益分岐点=固定費÷(1-変動費率)

例えば、家賃15万円の店舗で、仕入原価500円のカレーライスを1000円で販売するとします。このときの損益分岐点の計算式は、「150,000÷(1-0.5)=300,000」となり、損益分岐点は30万円です。
損益分岐点に到達する金額を売上げれば、企業は損失も利益も生み出しません。少なくとも現状維持ができるため、損益分岐点は売上目標の最低ラインということになります。

エクセルを使って損益分岐点をグラフにする

損益分岐点は、グラフにすることで視覚的にも捉えやすくなります。Excelを使ったグラフの作り方を見ていきましょう。

【1】以下の画像のように、グラフの元になる表を作成します。売上高の最小値は「0」、最大値は任意の金額を入力してください。ここでは前述のカレーライスの売上を例にして説明します。

変動費率 損益分岐点 エクセルグラフ

【2】表を選択し、Excelメニュー「挿入」→「おすすめグラフ」を選択します。

変動費率 損益分岐点 エクセルグラフ

【3】「すべてのグラフ」→「面」→グラフを選択→「OK」を選択。

変動費率 損益分岐点 エクセルグラフ

【4】グラフが作成されますが、このままだとグラフの面が塗りつぶされており、損益分岐点がわかりづらいため、塗りつぶしを解除します。グラフ部分を選択して右クリック→「データ系列の書式設定」→「塗つぶしと線」の設定で「塗りつぶしなし」/「線(単色)」を選択。

変動費率 損益分岐点 エクセルグラフ

【5】グラフが完成しました。売上高と変動費の線が交わる部分が損益分岐点です。

変動費率 損益分岐点 エクセルグラフ

まとめ

変動費率は売上高に対して占める変動費の割合、損益分岐点は売上目標の最低ラインとなる金額のことです。慣れないうちはそれぞれの数値の意味を捉えづらいかもしれませんが、実際に計算し、グラフ化してみることで理解を深めていきましょう。

(学生の窓口編集部)

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