変動費と固定費の違いって? 勘定科目の具体例とともに解説

2020/09/24

お金の知識

事業には、必ずコスト(経費)が発生し、これを管理するうえで、コストを「変動費」と「固定費」に分類することがあります。あなたは、さまざまなコストがどちらに属するか悩むことはありませんか。今回は、変動費と固定費にあたる勘定科目を具体的な例を挙げながら解説していきます。

【監修協力:資格の大原(社会人講座)

変動費 固定費

変動費について

変動費とは、生産高や売上高に比例して発生するコスト(費用)のことです。生産量や販売量の増減に影響を受けて変動するので変動費と呼ばれています。変動費は、可変費と呼ばれることもあります。また、企業活動によって発生するコストであることから、活動原価(アクティビティコスト)とも呼ばれることがあります。

生産高や売上高に比例して発生するコスト(費用)としては、原材料費、仕入原価、包装費、燃料費、販売手数料などが挙げられます。

固定費について

固定費とは、生産高や売上高の増減とは関係なく発生するコスト(費用)のことを言います。売り上げの影響を受けず、常に固定の金額を支出しているので固定費と呼ばれています。

生産高や売上高の増減とは関係なく発生するコスト(費用)としては、たとえば、オフィスを借りている間は必ず固定の金額を支払わなければならないため、固定費に分類されます。ほかにもソフトのリース料、広告宣伝費などが挙げられます。

変動費と固定費の分け方について

原則として、変動費は売上げの増減に連動して変化するコスト(費用)が分類され、固定費は売り上げの増減とは関係なく、常に一定の金額が発生するコスト(費用)が分類されます。しかし、コスト(費用)のなかには、変動費と固定費のどちらにも属するものが数多くあります。

実は、変動費と固定費を分類する絶対的な基準がありません。そのため、変動費と固定費のどちらに分類するか判断に悩む勘定科目は、企業ごとにどちらの性質が強いかで判断するなどの方法をとります。
業種によって異なる分類の仕方もあります。それらについては、下記の中小企業庁の費用分解基準を参考にすればよいでしょう。

製造業

固定費

直接労務費、間接労務費、福利厚生費、減価償却費、賃借料、保険料、修繕料、水道光熱費、旅費、交通費、その他製造経費、販売員給料手当、通信費、支払運賃、荷造費、消耗品費、広告費、宣伝費、交際・接待費、その他販売費、役員給料手当、事務員(管理部門)・販売員給料手当、支払利息、割引料、従業員教育費、租税公課、研究開発費、その他管理費

変動費

直接材料費、買入部品費、外注費、間接材料費、その他直接経費、重油等燃料費、当期製品知仕入原価、当期製品棚卸高―期末製品棚卸高、酒税

卸・小売業

固定費

販売員給料手当、車両燃料費(卸売業の場合50%)、車両修理費(卸売業の場合50%)販売員旅費、交通費、通信費、広告宣伝費、その他販売費、役員(店主)給料手当、事務員(管理部門)給料手当、福利厚生費、減価償却費、交際・接待費、土地建物賃借料、保険料(卸売業の場合50%)、修繕費、光熱水道料、支払利息、割引料、租税公課、従業員教育費、その他管理費

変動費

売上原価、支払運賃、支払荷造費、支払保管料、車両燃料費(卸売業の場合のみ50%)、保険料(卸売業の場合のみ50%)
注:小売業の車両燃料費、車両修理費、保険料はすべて固定費

建設業

固定費

労務管理費、租税公課、地代家賃、保険料、現場従業員給料手当、福利厚生費、事務用品費、通信交通費、交際費、補償費、その他経費、役員給料手当、退職金、修繕維持費、広告宣伝費、支払利息、割引料減価償却費、通信交通費、動力・用水・光熱費(一般管理費のみ)、従業員教育費、その他管理費

変動費

材料費、労務費、外注費、仮設経費、動力・用水・光熱費(完成工事原価のみ)運搬費、機械等経費、設計費、兼業原価

中小企業庁「損益計算書の内訳の作り換え」

まとめ

変動費と固定費がそれぞれいくら計上されているのかを把握することは、どの企業においてもコスト削減が常に課題となりますので必須です。不要なコスト(費用)を削ることは、利益を増やすことにつながりますので、変動費と固定費の意味の違い(業種や企業ごとの捉え方も含めて)をしっかりと理解しておきましょう。

(学生の窓口編集部)

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