身元保証書の記入時・提出時のトラブル対処法

更新:2019/09/10

入社準備

入社の際には、企業からさまざまな書類の提出が求められます。それぞれの企業で指定される種類は異なりますが、誓約書、住民票、年金手帳、マイナンバー通知カードのコピーなど重要書類の提出が必要である場合も。それらの提出物の中には「身元保証書」が含まれることがあります。では、この身元保証書とは一体どんな書類なのでしょうか。ここでは基本事項に加えて、記入や提出時に生じそうなトラブルへの対処法をご紹介します。

身元保証書の記入時・提出時のトラブル対処法

身元保証書とは?

入社時、企業側から身元保証書の提出が求められる理由としてあげられるのが、入社する人物(あなた)がその企業にふさわしいかどうかを身元保証人に保証してもらうためです。万が一企業に何らかの損害を与えた場合、身元保証人も入社した人物とともに賠償責任を負う可能性があることに同意したものとして、身元保証書を書いて提出するのです。

身元保証人は、お金を借りる時の連帯保証人とはまったく異なるもの。保証人が保証する期間は、一般的に3年とされています。長くても5年で、その場合は身元保証書内に「保証期間を5年とする」と明示する必要があります。そして、期間が過ぎると身元保証の契約は自動的に消滅します。

身元保証人は、「身元保証に関する法律」によって損害賠償責任の範囲が制限されています。たとえ問題が起こり損害賠償を請求されることになったとしても、まず全額請求されることはなく、大幅に減額されます。また、損害賠償が発生しそうな場合、企業から通知を受けた保証人はその時点で契約を解除し、賠償責任を免れることもできます。

とはいえ、損害賠償責任の一端を担うわけですから、遠い親戚や友人に身元保証人を頼むのはなかなか難しいもの。やはり身元保証人は親に頼むのが一般的で、保証人が2人必要な場合は、両親で構いません。ただ何らかの事情で両親に頼めない場合は、独立して一定の収入のある成人した親族であれば、身元保証人を依頼することもできます。

身元保証書の書き方は?


身元保証書は個人で作成するものではなく、それぞれの企業の書式に合わせて記入します。ほとんどの場合は、契約内容が印刷された用紙が渡され、そこに“直筆で”記入していくことになります。

記入は黒のボールペンか、万年筆を使います。まず、契約内容(特に身元保証期間)を確認し、不明な箇所があれば記入する前に会社に確認しておきましょう。次に、入社の日付と、働く本人(被保証人)の名前と住所、そして身元保証人の名前と住所を記入し、それぞれの印鑑を押します。

提出前には必ず見直すようにしましょう。記入漏れや押印漏れがあれば、再提出が必要になり、身元保証人の方にも迷惑をかけることになります。身元保証書は折っても特に問題ありませんが、本来契約書は折らずに、大きな封筒で渡すのが一般的です。できるだけ折らないようにクリアファイル等に入れて提出しましょう。

記入ミスをした場合の対処法

企業に出す大切な書類であり、今後の仕事や社会人生活に関わるものですから、誤字・脱字がないように注意して丁寧な字で書きましょう。

万一書き損じた場合は、二重線を引き必ず訂正印を押します

印鑑は代理で押してもいい?

印鑑は認印で問題ありませんが、シャチハタを使うのは避けましょう。さらに、印鑑は個人の同意を表すものなので、たとえ両親に身元保証人をお願いする場合も、本人と両親はそれぞれ別の認印を押す必要があります。代理で印鑑を押すことは、法律で禁じられた行為です。絶対にしないようにしましょう。

また、金融関係や機密文書を扱うような企業では実印を指定される場合があります。その際は印鑑証明が必要となり、発行に時間がかかる場合も。身元保証人が必要になった時点、できるだけ早く依頼するようにしましょう。

身元保証書の代筆はOK?

さまざまな理由で両親や親族に身元保証人が頼めない場合は、必ず企業に相談しましょう。「本来は2人必要だが1人でもよい」「友人でもよい」などある程度融通をきかせてもらえることもあるので、企業側の判断を待ちます。安易に身元保証書の代筆業者に頼むと、それが企業に発覚した場合、有印私文書偽造として訴えられる可能性があります。

提出期限に間に合わないときの対応

地方に住んでいる両親や親族に身元保証人をお願いする場合、書類の郵送時間が予想以上にかかる場合があります。あらかじめ提出日から逆算して、早めに書類を送り、何日までに戻してほしいかを伝えておきましょう。もし、提出期限に間に合いそうにないと判明したら、企業にあらかじめ連絡をし、事情を説明して提出が遅れても大丈夫か尋ねるとよいです。そのとき、確実に提出できる予定日を伝えておくと、より丁寧な対応になりますね。

提出拒否した場合は?

身元保証書は労働基準法で定められたものではなく、企業が就業規則で定めたものです。したがって提出を拒否しても法律的には何の問題もありません。しかしながら、就業規則で定められている以上、提出を拒否した場合は企業として規則を守れない人物と見なし、入社を取り消すこともあります。事実、身元保証書の提出を拒んだ結果、解雇された前例もあります。

まとめ

企業にとって身元保証書は、保証人と損害賠償の契約を結ぶことよりも、入社する社員の人物像を第三者に保証してもらうことが目的といえます。記入ミスやトラブルがあった際にはきちんと対応し、疑問に感じたことがあればあらかじめ企業に質問しておくと確実です。できるだけ期限内に提出できるよう、早め早めの対応をとるとよいですね。

(学生の窓口編集部)

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