「席次(席順)」とは座る場所・順番のことで、席次には目上の人やお客様に敬意の気持ちを表す上で知っておきたいマナーがいくつかあります。

目上の人が座るべき場所に誤って座ってしまった……などといったことがないように、会議室やエレベーター、さらにはタクシーの車内などさまざまなシーンでの「席次」について正しく学んでいきましょう。

  • 上座・下座とは? 図解でわかる席次のきほんを解説

    上座・下座とは? 図解でわかる席次のきほんを解説

上座と下座とは?

席次には「上座」と「下座」があります。

「上座」とは、メンバーの中で一番目上の方や年長の方が座る席のこと。通常は、出入り口から一番遠い席とされています。

一方「下座」とは、上座に座る人をおもてなしする人が座る席で、一般的には、出入り口から一番近い席のことを指します。

古来より日本では、出入り口から一番遠い部屋の奥に、床の間や神棚を設ける習慣があります。部屋の一番奥は神聖な場所ということで、今でもその習慣が続いているのでしょう。

また、部屋の出入り口は、人の出入りが激しく落ち着かないため、目上の人を、落ち着いて過ごせる部屋の奥にお通しするという意味もあります。「上座」と「下座」の位置を忘れてしまったときは、なぜ「上座」と「下座」があるのかを思い出してみてください。

個室の上座と下座

「上座」と「下座」の基本的な定義がわかったところで、ビジネスシーンで一番知っておきたい、会議室や応接室などの「席次」についてご説明します。

会議室や応接室の場合は、基本ルールの通り、出入り口から一番遠い席が「上座」、一番近い席が「下座」となります。

  • 出入り口から一番遠い席が「上座」、一番近い席が「下座」

    出入り口から一番遠い席が「上座」、一番近い席が「下座」

図1

来客があった場合は、部屋の出入り口から遠い(1)の席が「上座=お客様」が座る席になります。そして、出入り口から近い(3)と(4)の席に、自社の人間が座るようにします。

  • 長い机に片側3名以上で座る場合は、中央の席が「上座」となるケースもあります

    長い机に片側3名以上で座る場合は、中央の席が「上座」となるケースもあります

図2

ただし、長い机に片側3名以上で座る場合は、中央の席が「上座」となるケースもあります。たとえば、来客が3人の場合、出入り口が遠い、真ん中の(1)が一番の「上座」。続いて(2)、(3)の順になります。

  • メンバーが社内の人間だけの場合はこのような席次になります

    メンバーが社内の人間だけの場合はこのような席次になります

また、メンバーが社内の人間だけの場合は「図3」のような席次になります。

また、自分が他社を訪問した場合は上座に通されますが、その場合は固辞せずに進められた席に座りましょう。その際、相手が着席するまで立って待つのがマナーです。

エレベーターの上座と下座

「席次」があるのは、会議室や応接室だけではありません。来客を案内する際に利用するエレベーターにも「席次」があります。

  • 来客を案内する際に利用するエレベーターにも「席次」があります

    来客を案内する際に利用するエレベーターにも「席次」があります

エレベーターの上座は(1)→(2)→(3)→(4)の順になります。エレベーターも会議室同様、出入り口から遠い場所が「上座」で、操作パネルの前が「下座」です。

自分が「下座」に立つ場合、真後ろの「上座」の方にお尻を向けることにならないよう、できるだけ背中を壁に向けるようにすると、失礼にあたりません。

最近では、操作盤が左右にあるエレベーターもありますが、その場合は「図4」と同じく、(1)が「上座」、(4)が「下座」となります。

タクシーの上座と下座

タクシーにも「席次」があります。もしも、お客様や上司と一緒にタクシーに乗ることになっても、慌てることがないよう「席次」を覚えておきましょう。

  • タクシーにも「席次」があります

    タクシーにも「席次」があります

タクシーのように運転手がいる場合、道案内をしたり、料金を払ったりするのに便利な助手席が「下座」で、一番安全な運転席の真後ろが「上座」となります。

また社用車など、同乗するメンバーの誰かが運転する場合は、助手席が「上座」。「下座」は、後部座席の中央となります。

まとめ

「席次」に関するマナーは、人間関係を良好にするためのコミュニケーションに必要なビジネスマナーです。席次の基本をおさえた上で、状況に応じて臨機応変に対応できるよう、この機会にしっかりと覚えておきましょう。