仕事を辞めたい、は贅沢な悩み?……つまずいたときに考えてほしいこと【BSディムのお悩み相談室】

更新:2019/01/07

社会人ライフ

新社会人からリアルな悩みを募集し、独自の視点からアドバイスをもらうこの「新社会人のお悩み相談室」。今回は、「労働をやめて大学院に進学したい」というお悩みに、営業係長として活躍する傍ら、TwitterやWebサイトでは「しんどいオカマ」としてさまざまな悩みに答えるBSディムさんが回答します。

仕事を辞めたい、は贅沢な悩み?……つまずいたときに考えてほしいこと

どうも、みなさんごきげんよう。

昼間はマジメに営業係長として勤めるも、夜は勝手気ままに腰を振りながらネオン街をねり歩くアラサーのオカマです。
現代社会の荒波の中で、不本意ながら酸いも甘いも噛み分けてきた「中堅社会人オカマ」として、今回から新社会人のみなさんのお悩みをお聞きすることになったわ。

でも、いいこと? オカマに相談したからって、何でもズバリ解決できると思っちゃダメよ。
最後に道を切りひらくのは……あなた。
それではさっそく、最初のお悩みを見ていきましょう。

労働をやめて大学院に進学したい
労働をやめたいです。
大学院に進学したかったのですが、お金がなく断念しました。働くことは嫌いではないのですが、休みの日に本を読んだり勉強をしたりしていると、「もっとこっちに時間を割きたい」と思ってしまいます。また、うつ病を患っており、出勤日でも動けないことがままあります。
お金のためにと割り切って仕事をがんばろうとは思っていますが、給料が低く「このままだといつ学費の貯金ができるのだろう」と悲しくなります。最近は転職が決まって、給料は少し上がる予定ですが、やはり学費の壁は高いです。
大学にも行くことが叶わない人がいるなか、贅沢な悩みなのだろうとは思いますが、お叱りやご助言がありましたらいただきたいです。
(女性/24歳/食品・飲料)



今の気持ちに罪悪感を覚える必要はないわ


あら、学費を貯めようとしているのね。「まだ院に行くことを諦めていない」ということね。

そうねぇ、だけど、もし今から院に行ったとして、修了後にあなたがやりたいことって、いったい何? あなたは人生の先に、何を見据えているのかしら?
きっと、あなたは院に通うほんの数年先の未来のことしか、あえて考えないようにしているのではないかしら

そりゃそうよね。社会における役割を模索し、その役割に対して覚悟を決めることは、大変な体力と気力の必要な作業だから。
あなたがどうしてうつ病を患ってしまったのかはわからないけど、もしかすると、その疲労感や、先の見えない絶望感も一因なのかもしれないわね。

現在のあなたの状態は、「疲れ果てた社会人モラトリアム」とでも言おうかしら。海千山千の魑魅魍魎が跋扈する世知辛いこの社会を生きていくには、少々心もとない状態ね。

ただ、それは決して、甘えやわがままなどではないのよ。
何十年も先の未来を見越して今を生きられる人間なんて、この世にどれだけいることかしら。
アタシだってそうよ。半年先ですら自分の身がどうなっているのか想像できないのに。そんな状態で人生の明確なゴールなんて決められるはずもないわよね。

何の因果か、アタシはこうしてあなたのような新社会人のお悩み相談を受けさせていただいてはいるけど、正直言って、アタシはいまだに「天職」や「天命」には巡り合っていないと感じているの。
アラサーとなったいまでもそれらを模索し続けている状態だけど、残念ながら現状ではまったく見つかる気配がないわ。

あまりに見つからないから、「もう全てを投げ出して、南の島でハンモックに揺られてビーチのイケメンをただただ眺めていたい」と弱音を吐くことだってあるわよ。
だけどね、アタシはその状態を、エゴだとか贅沢だなんて思わないわ。

自分の使命を見つけようとあがいて、ときに現実逃避することの何が悪いのかと、むしろ開き直っているわよ。

だってそうでしょう? 世間の思う「真っ当で順当な、幸福な人生」に無理やり身を置こうとして苦しむだなんて本末転倒よ。

だから、あなたも大いに自分の使命を追求し、疲れたらたまに立ち止まって休めばいいの。現状に罪悪感を覚える必要はまったくないわ。いくつ歳を重ねたとしてもね。


お金はなんとかなる。ただしそのぶん苦労もあるわ

学ぶことって楽しいわよね。先人たちの紡いだ叡智に触れて、それを己のものとすることに興奮を覚える感覚はよくわかるわ。
オカマのアタシも、いっそ今の仕事を辞めて、知識と思考の融合にただ身を委ねていたいと思うし、ひたすら物事の真理を追求して生きたいという気持ちはあるのよ。 

あなたが今でも院に行きたいという思いはよくわかるの。修了のその先には、幸福な人生が待っているのではないかと希望を抱いていることも。
だから、「行きたいのならば行けばいい」というのがアタシの正直な意見。
「大学にも行けない人がいるのに~」なんて、勝手に誰かを被害者にすることで、罪悪感を覚える必要はないわよ。自分のために行く、ただそれだけのものなのだから。

ただ、そこでネックとなるのが、あなたも言っている通りお金の問題よね。
大学院生といえば、「お金もない、時間もない」がもはや当たり前になっているからね。

アタシとしては「未来を担う優秀な人間を養うためなんだから、授業料くらい国が無条件で全額負担しろや」と思うのだけど、それはまた別の話として……。
もちろん入学前にたんまりと貯金があれば問題はないのだけど、あなたの現状ではそうもいかないようだからね。

でも、日本には奨学金や奨学金の免除制度だってあるし、高時給な家庭教師や塾講師のアルバイトで、なんとか最低限の生活ができるレベルのお金を捻出することはできるわ。
院生になると生活水準は社会人である今よりもうんと、そりゃもううんと下がってしまうけど、これから先、死ぬまでの半世紀以上を後悔にさいなまれて生きることに比べれば些々たる苦労だと思うのよね。

現状と、お金と時間はないけど好きなことに没頭できる状態とを天秤にかけてみて、もしも現状のほうが辛いと思うのならば、そのまま院に進めばいいわよ。
もしも院に進むほうが辛いと思うのならば、院に進むことはきっぱりと諦めて、働きながら学問の道を究める方法を探すしかないわね。


まとめ


勤労・納税・教育は国民の義務。「労働をやめたい」というあなたも、働ける能力があるのなら、いずれは働かなきゃいけないのよね。

でも、いつかあなたの「やりたいこと」と「できること」が労働と結びつけば、あなただって労働の中に幸福を見出すことができるはずよ。
院へと進むことであなたがその環境を手に入れられる可能性が高まるのなら、その可能性に賭けてみるべきだとアタシは思うわ。

ただし、院での数年間を「ただ研究に没頭するだけ」で終わらせないこと。自分の生涯における幸福とは何か、その一片だけでも掴みとることが大切よ。
一生の後悔をしないために、どうか肝に銘じておいてね。

文・西のオカマ BSディム
中学2年生で周囲にカミングアウトし、以後、オカマとしての人生を送る。
係長として部下を抱える傍ら、稼いだ金の大半を酒につぎ込み毎月カツカツになっているちょっぴりダメなオカマである。
Twitterではオカマ仲間への愚痴とイケメンへの情念をツイートしていたら、いつのまにかフォロワー数が約8万人に。オカマならではの目線で、エッセイ・コラムの執筆を中心に活動中。
Twitter:@bs_dim
書籍:er-しんどいオカマのお悩み相談
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