「かしこまりました」「承知しました」「了解しました」の使い方と意味とは

2018/12/25

対人マナー

日本語は語彙、表現方法が豊富だと言われています。例えば「かしこまりました」もそのひとつ。意味を伝えるだけであれば、「はい」と答えるだけでもいいはずですが、相手と自分の関係によって適切な言葉が違うのは、日本語のおもしろいところですよね。今回は、それぞれの言葉が持つニュアンスの違いについて勉強してみましょう。

かしこまりました

「かしこまりました」の意味と類語

「かしこまりました」は、動詞の「かしこまる」に、丁寧語の助動詞「ます」の過去形、「ました」が付いた言葉です。『大辞林』(三省堂)で、「かしこまる」を調べてみると、次のように説明されています。

(1)相手の威厳などを恐れて、つつしんだ態度をとる。
(2)正座する。
(3)(目上の人の言葉を)つつしんで承る。(依頼・指示などを)承諾する。
(4)お礼やおわびを言う。
(5)謹慎する。

紫式部の「源氏物語」や、清少納言の「枕草子」といった古典でも、「かしこまる」は頻繁に見ることができます。とても丁寧な「OK」の表現で、日本でも古来より使い続けられてきた、歴史ある言葉になりますね。

「かしこまりました」「了解しました」「承知しました」の違い

ビジネスシーンで、よく耳にする言葉に「かしこまりました」「了解しました」「承知しました」などがあります。それでは、ビジネスシーンで上司やクライアントに自分の意思を伝える際は、どの言葉を選ぶのが正しいのでしょうか。まずは「了解しました」の「了解」の意味をみていきましょう。

(1)事情を思いやって納得すること。理解すること。のみこむこと。了承。領解。領会。
(2)無線などの通信で,通信内容を受け取ったことを表す語。
(三省堂 大辞林)

「了解」には「事情を思いやる」「理解する」など、どちらかというと、自分が相手の立場にあわせていくというニュアンスが感じられます。ビジネスシーンにおいて、同期や後輩相手に使うのには問題ありませんが、「目上の人に対して使うのは失礼だ」と考える人も、意外と少なくはないので、そのあたりには注意が必要です。

それでは「承知しました」はどうでしょう。より丁寧な印象を与えるために、この言葉を選ぶ人も多いのではないでしょうか? 『大辞林』(三省堂)によれば、「承知」の意味は、次のとおりになります。

(1)知っていること。わかっていること。 「いきさつは-しております」
(2)聞き入れること。承諾すること。 「解約の件は-できない」
(3)許すこと。多く否定の形で「許さない」「勘弁しない」の意を表す。 「そんなことをしたら-しないぞ」

ビジネスシーンで使われる「承知しました」は、(2)の「聞き入れる」「承諾する」という意味になります。「承知しました」は、「わかりました」の丁寧な表現で、「かしこまりました」は、さらに相手への敬意が含まれると解釈することができます。

「承知しました」「かしこまりました」は、どちらも上司やクライアントに使っても問題のない言葉です。ただ「目上の人の言葉をつつしんで承る」「依頼や指示などを承諾する」際には、「かしこまりました」を選ぶと、より丁寧なニュアンスが相手に伝わるでしょう。

「かしこまりました」の例文

「かしこまりました」の使用例をいくつかご紹介します。

「この資料を明日までに仕上げておいてくれないか?」
「かしこまりました(承知しました)。さっそく取り掛かります」
「明日の打ち合わせの件なのですが、急な予定が入ってしまいまして、明後日の同時刻に変更でお願いいたします。」
「日程調整の件、かしこまりました(承知しました)。それでは明後日もどうぞよろしくお願いいたします」

「承知しました」には「理解をして受ける」という意味がありますが、「かしこまりました」には「目上の人の命令をうけたまわる」という意味も含まれるので、実際に使う際には、それぞれのビジネスシーンにあった言葉を選んでみてください。

「かしこまりました」英語ではなんという?

英語の場合、同じ「わかりました」という意味でも、「かしこまりました」から「あなたの言っていることはわかったけれども、その通りにするかどうかはわからない」まで、きちんと理解をしたうえで、「同意」や「賛成」を伝える言葉があります。

・OK:賛成、同意、承認の意味で使える汎用表現だが、頻発すると軽い印象を与える
・Noted:「確認」の意味で使われるため、実際にお願いしたことがそのとおり行われるとは限らない。日本語でいうと「確認しました」の意味に近い。
・ I get it:「理解する」「わかる」の意味ですが、これも依頼が実行されるかどうかは不明瞭
・I understand:何がわかったのかを具体的に伝える表現
・Certainly:相手の意図に同意し、賛成の意を伝えるときにつかうフォーマルな表現
・Absolutely:相手の意図に同意し、強く賛成の意を伝える
・Sure thing:「of course」同様、もちろんの意味でも使える言葉

上記の例を見てもわかるように、国は変わっても、相手やシーンに応じて、使う言葉を選ぶ必要性は変わらないようです。ちなみに「かしこまりました」を英訳すると、「Certainly」とされることが多いようですよ。同じ内容のことを伝えるのでも、最適な言葉を選べば、より相手の心に響くことでしょう。

・執筆:こにしこにし
編集者・ライター。広告代理店で約10年間営業を経験したのち、クリエイティブに転向。ハウスエージェンシーでのコピーライター、編集プロダクションでの編集・ライター職などを経て2018年2月フリーランスに。京都の観光記事や企業の採用ページのインタビュー記事などを手がける。

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