「お悔やみ申し上げます」の正しい意味とは? シーンによって使い分けよう【例文つき】

2018/08/09

ビジネス用語

「お悔やみ申し上げます」は、「悔やみ」に「お」を付けて丁寧にし、下に「~申し上げる」を付けたものです。そこでまず「悔やみ」の意味を『広辞苑』で見てみましょう。

くやみ【悔み】
1.くやむこと。後悔。
2.人の死を弔うこと。また、弔うことば。「お――を申し上げる」
(『広辞苑 第六版』P.821より引用)

この場合の「くやみ」は2.の「人の死を弔う言葉」の意味ですね。「申し上げる」は、言うの謙譲語である「申す」と、申すを補助して尊敬の表現を強める「上げる」、丁寧語の「ます」から成る強い謙譲表現。そのため「申し上げる」は相手に対して強い敬意を含んだ「言わせていただきます」という意味です。

 「お悔やみ申し上げます」の正しい意味とは? シーンによって使い分けよう【例文つき】

つまり「お悔やみ申し上げます」は「(その人の)死について弔いの言葉を言わせていただきます」となります。ただ、このような文法上の意味よりも、「(その人の)死を大変悲しんでおります」という気持ちを表明する言い回しと考えたほうがよいでしょう。これは「ご愁傷さまです」などの常套句にも通じる点です。

社会人になると、お通夜の席やお葬式の場に参加することもありますが、その際喪主や家族のみなさんに「このたびは……お悔やみ申し上げます」などの言葉を掛けるでしょう。「お悔やみ申し上げます」は、人の死に際して使う言い回しですが、手紙やメールなどでも使うことができます。今回はこの「お悔やみ申し上げます」の正しい使い方などについてご紹介します。

▼こちらもチェック!
お葬式に着ていくコートの色や素材は? 喪服に合うコートの選び方

手紙に書く際の文例や注意点

「お悔やみ申し上げます」は、故人に関係の深い人に対して使います。故人の親、子ども、親戚などの関係者に「故人の死を悼んでいます」という気持ちを表明するために「お悔やみ申し上げます」と言います。

お通夜やお葬式の場で実際に言うだけでなく、メールや手紙に用いることもあります。メールなら、subjectに「お悔やみ申し上げます」と書いてもよいでしょう。相手に弔意を示すメールだとすぐに分かってもらえますからね。

<故人と比較的親しかった場合のテンプレート>

subject:お悔やみ申し上げます

○○ 様

お父上がご逝去された由、伺いました。

生前はお父上に大変お世話になりましたが、
何のご恩返しもできないままご訃報に接し、
我が身を情けなく思う次第です。心より哀悼の意を表します。

私にできることがあれば何でもお申し付けください。
心よりご冥福をお祈り申し上げます。


お悔やみのメールはできるだけ簡潔にまとめるのがいいですが、浅からぬつながりがあった人が亡くなった場合には、その人との関係を振り返り、悼む気持ちについて書いておいたほうがいいでしょう。

<故人との関係があまり深くなかった場合のテンプレート>

subject:心よりお悔やみ申し上げます

○○ 様

突然のご訃報に接し、大変驚いております。

私事にてご葬儀に伺うことができません。誠に申し訳ありません。
略儀ではありますがメールにてお悔やみ申し上げます。
心よりご冥福をお祈りいたします。


お通夜やお葬式に駆け付けることができず、メールでお悔やみを済ませる場合には、上記のようなシンプルな内容がおすすめです。取引先の人だけどよく知らない、などの場合には、訃報に接したらすぐこのようなメールを打っておくとよいでしょう。

お悔やみの手紙を出す場合に特に注意が必要なのは、普通の手紙ではマナーとされる「拝啓・敬具」などの頭語・結語が不要という点です。お悔やみの手紙では、いきなり本文に入るのが普通です。また、文章の中では、故人との関わりなどに触れ、哀悼の意を表現するのがよいでしょう。

<お悔やみの手紙の例文>

貴社取締役○○様ご逝去の連絡を賜り、驚きと悲しみで言葉も出ないようなありさまです。
○○様からは格別のご厚情を賜り、弊社の仕事上のことだけではなく、プライベートでも家族も含めてお付き合いをいただいておりました。○○様は情に厚く、筋の通った方で、どれだけ○○様に助けていただいたか、申し上げることもできないほどです。

ご遺族の方々、貴社のみなさまのご心痛はいかばかりかと拝察いたします。

本来であればすぐにお伺いすべきところ、私事にてままならず、略儀ながら書中にてお悔やみを申し上げる次第でございます。

○○様のご冥福を心よりお祈り申し上げます。


手紙で送る場合には、お悔やみを述べるのにふさわしいデザインであるかなど、封筒やはがきにも十分注意してください。茶封筒や年賀はがきの残りなどは非礼ですので、絶対に使わないようにしましょう。

「お悔やみ申し上げます」英語ではどんな表現になる?

「お悔やみ申し上げます」は英語だとどのような表現になるのでしょうか? お通夜やお葬式の場で、故人の関係者に対する「お悔やみ」の言い方としては以下のようなものがあります。

・I'm so sorry.
この場合の「sorry」は「ごめんなさい」「すみません」ではなく、「お気の毒に思う」「残念に思う」です。「so」が付くので「私は大変残念に思います」「私は大変お気の毒に思う」
⇒「お悔やみ申し上げます」となります。「ご愁傷さまです」と訳してもいいかもしれません。

・condolence
「condolence(コンドゥランス)」は「哀悼の言葉」「悔やみ」という意味の「名詞」です。「a letter of condolence」でそのまま「お悔やみの手紙」になります。海外のニュースやドラマで「My deepest condolences.」という記載を見たことがある人もいらっしゃるかもしれません。

これは「心から哀悼の意を表します」という意味で、弔意文の最後に使われたりします。「お悔やみ申し上げます」という意味にもなると考えてもいいでしょう。「deepest」(最も深い)ではなく、ほかの単語を使っても構いません。

・I am deeply saddened by the news of your loss. I pray that God will grant you the strength. My most sincere condolences.
あなたの訃報に接し、深い悲しみに打ちひしがれています。神があなたに力を与えてくれるように祈ります。心からの哀悼の意を表します。

これは「sincere(シンシアー)」(「誠実な」「正直な」)の前に「My most」(私の最も)を付けて「私のささげることのできる最も誠実な哀悼の意」という意味にした言い回しです。このように最後の文を「My deepest condolences.」「My most sincere condolences.」「My heartfelt condolences.」などとすると「お悔やみ申し上げます」として使えます。

まとめ

「お悔やみを申し上げます」は、お通夜やお葬式で使う言葉で、普段はあまり口にしません。しかし、正しい使い方を知っておかないと、いざというときにすっと言葉として出てこないでしょう。社会人なら突然の訃報に接しても、「お悔やみ申し上げます」は言えて当然です。みなさんも社会人のマナーとして、覚えておいてください。

(柏ケミカル@dcp)

関連記事

新着記事

もっと見る

HOT TOPIC話題のコンテンツ

注目キーワード

 ビジネス用語・カタカナ語80選

 キャリアロードマップの一歩目

  • ピックアップ