「幸いです」とは? ビジネスシーンでの意味と使い方【例文付き】

更新:2022/11/28

対人マナー


「幸いです」は、「それが叶えられたらうれしいです」「ありがたいです」という意味でビジネスシーンでよく使われる言葉です。この「幸いです」というフレーズ、取引先など社外にも使っていいのか?ちゃんとした敬語なのか?心配になることはありませんか。今回は「幸いです」のビジネスシーンでの意味と使い方、そして注意点や言い換え表現もあわせて紹介していきます。

ビジネスで使う「幸いです」の意味

「幸いです」の「幸い」にはいくつかの意味がありますが、ここでは、

【幸い】(さいわい)
・その人にとって望ましく、ありがたいこと。
・しあわせ、幸福。

といった意味で使われています。そこに「です」という丁寧表現がついて、「しあわせです」「ありがたいです」といった意味を表します。

「幸いです」は、自分が相手に対して、何かお願いしたいときに使う丁寧な表現です。「(○○していただけると)しあわせです。」といったニュアンスになるため、柔らかい印象で相手にお願いをすることができます。

例えば大学でも、教授に向かって「○○してください。」という直接的な表現は使いづらいのではないでしょうか。

「実験結果について、アドバイスを下さい。」
「実験結果について、アドバイスをいただければ幸いです。」

このように比べてみると、教授に対しての表現としては後者の方が適切です。「幸いです」はやんわりとお願いしたい時に便利なフレーズとして、ビジネスシーンでも頻繁に使われています。

「幸いです」の使い方を例文で見てみよう

「幸いです」の使い方としては、

・〜いただければ幸いです。
・〜いただけますと幸いです。

が鉄板フレーズとなります。
そのほかの使い方バリエーションを例文で見てみましょう。

<「幸いです」の例文>


・明日予定の会議を、2月26日に変更していただければ幸いです。
・国際見本市の会場でお会いできれば幸いです。
・コンペですが、B案で推せれば幸いです。
・○○の件につきまして、ご教示いただければ幸いです。
・こちらお引き受けいただけますと幸いです。
・新しいイベント企画の際のヒントになれば幸いです。


ちなみに、2021年5月に星野源さん、新垣結衣さんが結婚報告をされた際の関係各所あて文面には次のように書かれています。

「未熟な二人ではございますが、温かく見守っていただけますと幸いです。」

「〜いただけますと幸いです」を使っていますね。細かい部分ですが「〜いただければ幸いです」よりもさらに丁寧な印象となっています。

「幸いです」は取引先や目上の人にはNG?

幸いです 取引先や目上の人

実は、この「幸いです」は取引先や目上の人に使うときの敬語表現としては不十分という見方もあります。それは何故なのでしょうか?

最初にお伝えしたいのは、「幸いです」は取引先や目上の人に使ってはいけないNGワードではありません。「幸いです」は取引先に対しても使うことができますし、実際にビジネスの現場でも目にすることの多いフレーズです。

ですが、厳密に敬語表現として考えた場合には、謙譲語にはなっていないのです。

冒頭でお伝えしたとおり、「幸いです」には「です」という丁寧な表現がついています。実はこの「です」というのは丁寧な表現であると同時に「断定」の意味を示す言葉でもあります。「幸いです」と断定的に言い切ってしまうと、やや一方的な表現とも捉えられてしまいますし、また謙譲語も含まれていません。

そこで、目上の人に対して謙譲語として自分をへり下って表現するには「幸いに存じます」という形に変えるとベターです。「存じます」というのは「思う」の謙譲語「存じる」に丁寧な「ます」がついた言葉。謙譲語が含まれるため、敬語としても適切な表現となります。

ただし、繰り返しになりますが「幸いです」を取引先や目上の人に使うこともできます。よりフォーマルな文面にしたい時などに「幸いに存じます」も使っていくといいでしょう。

「幸いに存じます」の使い方例文

「幸いに存じます」は基本的に先ほどの「幸いです」を単純に言い換える形で使うことができます。一例を挙げておきましょう。

<「幸いに存じます」の例文>


・明日予定の会議を、2月26日に変更していただければ幸いに存じます。
・国際見本市の会場でお会いできれば幸いに存じます。
・コンペですが、B案で推せれば幸いに存じます。

「幸いでございます」はどうなの?

さらに似た表現で「幸いでございます」はどうなのでしょうか。「ございます」は「ある」という意味の丁寧語です。つまり「しあわせである」を丁寧にした表現ということですね。

丁寧表現といえば、先ほどからの「幸いです」も同じ丁寧表現に分類されますので、この2つは同じ仲間ということになります。どちらが間違いということはありませんが、実際のビジネスの現場では「幸いです」がポピュラーなので、そちらで覚えておくといいのではないでしょうか。

「幸いです」のビジネスでの言い換え表現

ここからは、「幸いです」の言い換え表現を3つご紹介します。

・幸甚に存じます
・ありがたいです
・助かります

このうち取引先や目上の人に使う表現として適切なのはどれでしょうか。
順番に見ていきましょう。

幸甚に存じます

「幸甚(こうじん)に存じます」とは、「幸いに存じます」からさらに丁寧の度合いを高めた表現となります。謙譲語も含まれますので、取引先に使うのにも適しています

ただし「幸甚に存じます」は目でみるとその意味をイメージしやすいですが、音だけでは相手が理解できないことも。「こうじん」という音はあまり日常的には使われないためです。

よって丁寧なフレーズではあるものの、「幸甚に存じます」は口頭では使うことを避け、メールや書面に限って使うようにするといいでしょう。

ありがたいです

「サンプルのご回答、お早めにいただけると非常にありがたいです。」

この「ありがたいです」の使い方はどうでしょう。

実は、先ほどからの「幸いです」にも「ありがたいです」というニュアンスがありました。ですが、直接的に「ありがたいです」というと「自分の都合の方を中心に考えている」と捉えられてしまうおそれがあります。

そのため取引先に「ありがたいです」は避けた方が無難、ということになります。一方で「幸いです」の方は取引先にも使えます。同じような意味を持つフレーズでも、微妙なニュアンスの違いで対応が分かれるのは難しいところですね。

ちなみに「ありがたいです」は同僚など自分と同等の相手なら、使って差し支えありません。LINEで「〇〇してもらえるとありがたいです」などと気軽にやり取りすることもあるかもしれませんね。

助かります

「サンプルのご回答、お早めにいただけると助かります。」

ではこの「助かります」はどうでしょうか。

例えば大学なら、教授に「できれば今週中にお返事いただけると助かります。」とメールするとどうでしょう。教授からすると「こちらだって忙しいのに、なぜ急かされなければならないのか」と感じてしまうかもしれません(極端な例ですが)。それに、どこか「上から目線」な感じがしませんか。

このように、「助かります」も前項の「ありがたいです」と同様で、自分の都合中心のニュアンスを感じさせるフレーズです。そのため同僚に使うのは構いませんが、取引先に使うのは避けた方がベターです。

ちなみに、教授へのメールを適切に直した文例は次のとおりです。

「できましたら今週をめどにお返事いただくことは可能でしょうか。お忙しいところ誠に恐れ入りますが、ご対応いただければ幸いです。」

まとめ

「幸いです」はビジネス文書やビジネスメールではおなじみのフレーズ。文章としてだけでなくスピーチなどで使われることもあります。取引先や目上の人にも使うことができますが、よりフォーマルな文面では「幸いに存じます」「幸甚に存じます」を使うといいでしょう。

他に言い換え表現として「ありがたいです」「助かります」もご紹介しました。この2つは「幸いです」と意味が似ているにもかかわらず、取引先には使用を避けた方がいい言葉。

このように考えると、「幸いです」はより柔らかい印象を持つ便利な言葉なのですね。ビジネスシーンでは鉄板のフレーズとして、是非覚えておきましょう。

文:マイナビ学生の窓口編集部

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