陳謝とはどういう意味?正しい使い方、謝罪との違いを解説【例文つき】

更新:2023/10/13

電話・メール


ニュースや新聞などの見出しに「陳謝」という言葉を見ることがあります。同じような場面でも「謝罪」「深謝」などさまざまなバリエーションがあるため迷ってしまいますよね。

実は一つ一つ意味が違うので、意味をしっかり把握していないと恥ずかしい思いをしてしまう可能性も。今回は、迷惑をかけた相手に謝る際に使われる「陳謝」について解説します。

陳謝とは?意味と読み方

陳謝の読み方:ちんしゃ
陳謝の意味:「おわびする」「事情を述べながら謝る」

「陳」の字には「並べる」「申し立てる」という意味があります。そのため「ごめんなさい」と言うだけでなく「こうした理由でこんな状態になってしまい、ごめんなさい」と事情とともに謝ることを「陳謝」と表現することが多いです。

ちなみに陳謝は一見中国語のようにも見えますが、そのまま中国語としては使えませんのでご注意を。中国語に訳すと「道歉」となります。

どんな時に使う?陳謝の使い方

陳謝は話し言葉としてよりも、どちらというと新聞をはじめとするメディアやSNSなどの文章や見出しの中で幅広く使われています。一般のビジネスのほか、政治的な文脈の中でも多く登場する言葉です。

よくある使い方としては、「◯◯と述べ陳謝しました」のように本文中で用いたり、「A社長が◯◯に言及し陳謝」のように見出しに使ったりします。つまり、陳謝する当事者ではなく第三者的立場の人が使用するケースが多いです。

とはいえ、まれに陳謝する当事者が「陳謝させていただきます」と表現することも。迷惑をかけた相手に書く「お詫び状」のことを「陳謝状」と呼ぶケースも見られます。

陳謝の例文をチェック!

陳謝の使い方 例文

具体的に陳謝の使い方を見てみましょう。

「陳謝した」とあれば、どうしてこうなったのか理由もつけて謝罪した、というニュアンスで捉えることができます。

<例文1>
従業員逮捕で、社長が会見の中で陳謝した。
<例文2>
いじめ問題を受け、教育長が「対応不十分」と陳謝

例文2のように、陳謝を文末に持ってくるケースはとても多いです。

またビジネスの現場で使うなら、

<例文3>
上司「今回のクレームについて早めに陳謝状を出しておくように」
部下「はい」

という使い方もOK。陳謝状なので、理由も必要であるという指示になります。

「陳謝いたします」という使い方はあり?

上記の例文に「陳謝状」とありましたが、陳謝状の中で実際に「陳謝いたします」と表現するのは果たして適切なのでしょうか。

冒頭でお伝えしたとおり、陳謝には「おわびする」という意味があります。ですから「陳謝いたします」とおわびするのは意味としては間違いではありません。実際に陳謝を使った例文で「ご迷惑をおかけしましたことを深く陳謝いたします」といった文章も見受けられます。

ですが、実際のビジネスシーンで当事者が「陳謝いたします」と表現しているケースはまれです。具体例をご紹介しましょう。

一部の香料に、無許可の原材料が使われていることが発覚。その香料を食品に使用していた会社が一斉に製品の回収とおわびをするという出来事がありました。

その際、食品大手各社がメディアに掲載したおわび文によれば、

「大変ご迷惑をお掛けし、心よりお詫び申し上げます。」
「大変ご迷惑をおかけし申し訳ございません。」
「心より深くお詫び申し上げます。」

といった表現が並んでおり、陳謝という言葉は見られません。


陳謝は「事情も説明しながらきちんと謝る」という行為全体をまとめて指す言葉なので、やや客観的なニュアンスがあります。

自分自身のおわびを「陳謝いたします」と表現するケースは少ないため、積極的に使うのは控えた方がいいでしょう。「深くお詫びいたします」「謹んでお詫び申し上げます」など、他の言い回しを使うのが適切です。

陳謝の言い換え表現と違い

陳謝の言い換え表現として意味が似ている類語をピックアップし、微妙な意味の違いについても解説します。

類語(似た意味の言葉)は何がある?

●謝罪
⇒罪やあやまちをわびること。

●深謝
⇒深くわびること。心から感謝すること。

このほかの類語としては「詫びいる」「謝る」「詫び言」「謝辞」「弁明」などが挙げられます。ここではよく使われる「謝罪」「深謝」の2つの言葉を取り上げ、陳謝との違いを解説します。

「陳謝」と「謝罪」の違い

陳謝も謝罪も、基本的に「おわびすること」という意味がある点では同じ。そのためこの2つは非常によく似た言葉です。ではどこに違いがあるかというと、ずばり「事情を一緒に述べているかどうか」という点です。

陳謝の方には「おわびする」とあわせて「事情を述べながら謝る」という意味もあります。つまり、謝罪会見できちんと理由を述べ、謝罪しているならそれは「陳謝」という表現がベター。ただ泣きながら「ごめんなさい」だけを言っているようなら、それは「謝罪」といった具合に使い分けされることがあるのです。

「陳謝」と「深謝」の違い

陳謝と深謝も、やはり「おわびすること」という意味がある点は共通しています。しかし深謝の方は「感謝する」という意味も持っているのが、陳謝と異なるポイント。陳謝の方に「感謝する」という意味はありません。

深謝はむしろ「深く感謝します」という意味合いで使われることの方が多くなっています。

▼こちらもチェック!
意外と知らない! 深謝の意味と使い方、陳謝との違いは?【例文つき】

まとめ

陳謝には「おわびする」「事情を述べながら謝る」といった意味があることが分かりました。ビジネスシーンで相手に迷惑をかけた場合、相手が納得する理由でなければ信頼関係を損ねてしまう可能性があります。

言い訳ばかりというのは問題ですが、やはり事情を相手にきちんと伝えることは大切です。もし詫び状を作るなら、事情も含めて陳謝する内容にするのがビジネスマナー。トラブル発生で慌ててしまい、余計に心象を悪くしてしまわないように気をつけましょう。

(マイナビ学生の窓口編集部)

関連記事

新着記事

もっと見る

HOT TOPIC話題のコンテンツ

注目キーワード

 ビジネス用語・カタカナ語80選

 キャリアロードマップの一歩目

  • ピックアップ