「拝受」は、「受領する」という意味をもつ言葉です。ビジネスシーンで上司や取引先など目上の人に対して使われています。
ビジネス用語は、意味と使い方を押さえておかないと思わぬ恥をかいてしまうことがあります。「拝受」もその一つ。自分が使用する場合と自分が使用された場合の対応について覚えておきましょう。
この記事では「拝受(いたしました)」の意味や使う際の注意点、ビジネスメール例文や言い換え表現についても紹介します。
▼目次
1.「拝受」の意味
2.拝受・拝受いたしましたを使うビジネスシーン
3.拝受・拝受いたしましたを使う際の注意点
4.拝受・拝受いたしましたを使った例文
5.拝受の類義語・言い換え表現
6.まとめ
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「拝受(はいじゅ)」は「受領する」という意味をもつ敬語表現(謙譲語)です。
「拝受」に使われている「拝」には、拝んだり、おじぎをしたりという意味が込められています。これ自体が目上の人に対して自分がへりくだる意味合いを持つ漢字です。つまり「拝受」とは「受領」の謙譲語であるということです。
そして、受領という言葉は「品物やお金を受け取る」という意味を持ちます。受領という言葉を分解すると、
となります。目上の人から大切なものをかしこまって受け取る、これが「拝受」です。
「拝受」は「拝受いたしました」までをワンフレーズとして使われることが多いです。この「拝受いたしました」には次のような敬語表現が含まれます。
つまり「謙譲語I」兼「謙譲語II」の敬語表現ということになります。意味としては「拝受」+「いたしました」で「つつしんで受け取りました」という敬意のこもった意味となります。
また、もう少し短く「拝受しました」という表現もありこちらも間違いではありませんが、上記のとおり「拝受いたしました」の方がより敬意を示すことができる表現です。目上の人や取引先には「拝受いたしました」を使うと、ワンランク丁寧な印象となるでしょう。
拝受と一緒に使われる言葉「貴信(きしん)」の意味もあわせてご紹介しておきます。
「貴信」とは「あなたからの便り」という意味。
このように使われます。見かける頻度は少ないものの、相手からの便りを敬う言葉であることは覚えておきましょう。
「拝受」は、日常会話ではなくビジネスシーンでよく使われます。具体的にどんなときかというと、ずばり「目上の人からの大事な書類・メール・荷物などを受け取ったとき」。
例えば大切なクライアントから送られてきた書類に対し、相手方からメールで「あの書類、届いたでしょうか?」と問われた場合に「拝受しました」「確かに受領いたしました」とメール返信します。
もちろん「届きましたか」と聞かれなくても使えます。大切な書類が到着したことを相手に共有した方がいい場合には「確かに拝受いたしました」と伝えましょう。相手から問われる前に、自ら率先して連絡する方が好印象です。
連絡方法ですが、「拝受」は書き言葉として使われることが多いです。ビジネスメール、文書、チャットツールなどの文章上で使うといいでしょう。
このとき「拝受しました」+「ありがとうございました」のようなお礼の一言も添えるとベターです。
「拝受(いたしました)」を使う際の注意点を解説します。
前述のとおり、「拝受」は自分の側がへりくだる表現なので、上司など立場が上の人に対して使います。部下や後輩など、立場が下の人には使用しないという点を覚えておきましょう。
身近な人や親しい人に使用すると、逆におかしな表現に聞こえることもあります。その場合、代わりに「確かに受け取りました」「受領しました」といった表現の方が自然です。
「では、社外の人に対してはどうなる?」
ビジネスシーンでは、基本的に社外の人全員に対して敬意をもって接することが求められます。よって、社外の場合には皆に「拝受」を使うことができます。
最も注意したいのが、拝受は「自分が受け取る側」のときに使えるということ。拝受は自分がへりくだる謙譲表現ですから、「相手が受け取る側」のときに使うと失礼にあたります。
一見丁寧なように見えますが、これでは立場が逆転してしまいますね。「どうぞお受け取りください」が正解です。
たとえば、資料を送付したお客様から「資料ありがとうございました。拝受いたしました」とメールで返信があった場合、さらに返信が必要かどうか悩むケースがあります。
結論からいうと「拝受いたしました」の連絡に対する返信は必須ではありません。
例えば相手がいわゆる「顧客」の立場なら、メールをもらいっぱなしにするより再度返信した方がいいでしょう。一方、日頃から親しくやり取りしている取引先なら、さらなる返信は必要ないこともあります。
つまり返信の要・不要はケースバイケースで判断することになります。もし返信をするとしたら、次のような簡潔な文面がおすすめです。
このように「拝受の連絡をしてくれたことに関するお礼」「資料などについての補足や今後についてのフォロー」を伝えるといいでしょう。
「拝受(いたしました)」を使った例文を何点かご紹介しましょう。主にビジネスメールでの使用を想定した例文となります。
取引先に対するビジネスメール例文です。発注書に限らず大切な書類が先方から届いたら、受け取り確認の意味で上記のようにメールで伝えるといいでしょう。
「ご査収ください」には「受け取って内容ご確認ください」という意味が込められています。「ご査収ください」の返事として「承知いたしました」と返信してしまう人もいるのではないでしょうか?
例文のような「拝受いたしました」や「受領しました」の方がより正しい返信の仕方となります。
「拝受いたしました」の類義語や言い換え表現をご紹介します。
最後に紹介した「拝領(はいりょう)いたしました」は、「大切なものをもらうこと」という意味なのですが、使用頻度は高くありません。
「頂戴しました」「受領いたしました」「賜りました」の中からその場に適した表現を選ぶといいでしょう。特に電話口など話し言葉の場合には「頂戴しました」が聞き取りやすいためおすすめです。
「拝受」の反対語は「拝辞(はいじ)」で「お断りする」「辞退する」という意味です。
のように使います。
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「拝辞」とは? 正しい意味と使い方【例文つき】
「拝受」は「はいじゅ」と読み、「受領」の意味で使われます。目上の人から大切なものをかしこまって受け取る、といったニュアンスがあります。
自分の側がへりくだる謙譲表現なので、相手がものを受け取る際に使うと失礼にあたりますので注意が必要です。あくまで自分がものを受け取るときに「拝受いたしました」と使うようにしましょう。
ビジネスシーンでは意外に間違って使われている敬語がたくさんあります。「ご健勝」「承服」「拙宅」ーー日常ではあまり使わない敬語こそ、ビジネスシーンで間違ってしまいがち。この機会に、自分が使用している敬語が正しいのか見直してみてはいかがでしょうか。
(マイナビ学生の窓口編集部)
学生の窓口編集部
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