敬称略とは?正しい意味とビジネスで失礼のない書き方を解説【例文つき】

更新:2024/02/07

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ビジネスでもプライベートでも、文面でよく見かける「敬称略」。

「敬称略」について大体の意味は分かっているつもりでも、実際に名簿を作るとなると細かい書き方がわからずお困りの方は多いのではないでしょうか。

そこで今回は、「敬称略」の意味と失礼のない書き方・使い方を例文つきで徹底解説!

「敬称略にすると『さん』も省略できる?」
「役職はどうやって書けばいい?」
「名前は苗字のみでもいいの?」

このような疑問を全て解決していきます。

「敬称」のそもそもの意味から、「敬称略」が使われるシチュエーション、詳しい使い方など例文をまじえてご紹介します。この記事を読み終える頃には、失礼のない名簿リストや一覧表を作れるようになっているはずですよ。

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敬称略の「敬称」とは?

まずはじめに「敬称」とは何なのか解説したいと思います。

敬称とは、人名の下につけたり単独に用いたりすることで、相手に対する敬意を表す言葉のこと。例えば「様」「先生」などが敬称の代表的な例です。

敬称の種類と使い方

敬称の種類は、個人に対して使われる「様」や、組織に対して使われる「御中」など相手に合わせてさまざまな表現があります。ここでは、ビジネスシーンでよく使われる敬称の種類をご紹介しましょう。

<敬称の種類と使い方>

【様】
個人名に付けて使用する敬称。
例)山田花子様

【御中】
団体・組織名に付けて宛名として使用する敬称。
例)株式会社○○ 人事部 御中

【各位】
複数の個人を対象とする際に使用する敬称。
例)お取引先 各位

【先生】
医師・弁護士・教員その他指導的立場となる職業の人に使用する敬称。
例)弁護士 山田花子 先生

【その他】
個人名に対しては「殿」「氏」などを使用することも。
「さん」「くん」は話し言葉としての使用が多い。

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「敬称略」の意味とは

つまり「敬称略」とは、上記でご紹介したような「様」「さん」「先生」などの敬称を省略することを指します。

大人数の人名を読み上げる場合や、名簿などのように大人数の名前を記載するときに、1人1人に「様」が付いていたりすると煩雑な印象となることもありますよね。そのような場合に「敬称」をあえてつけないことを「敬称略」といいます。

そして、単に「省略します」というだけでなく「本来つけるべき敬称を省略させていただくことをお許し下さい」というニュアンスも含まれる言葉です。

敬称略はどんな時に使う?

敬称略という言葉が使われるシチュエーションをご紹介します。

冠婚葬祭にて

冠婚葬祭では、例えば葬儀に参列している人を名簿に記載する際や、読み上げる場合に使用します。また祝電や香典などを読む場合でも、あらかじめ「敬称略」と宣言し敬称を省略する場合が多いです。

ビジネスシーンで

ビジネスシーンでは、例えば会議の出席者名簿などで、記載する人数が多い場合に使用します。

<ビジネスシーンでの使用例>

・会議の出席者名簿
・表彰の受賞者一覧
・取引のあるパートナー企業一覧
・イベントなどの協賛一覧 など

このような何らかのリスト作成において「件名」のすぐ下あたりに「敬称略」と記載し、リスト内での敬称を省略する形となります。

「目上の人に対して敬称略を使うと失礼にあたるのでは…?」

「敬称略」を呼び捨てのように考えてしまい、使うことをためらう人もいるでしょう。しかし心配は無用です。「敬称略」とつけている以上は、「敬称を使用したいが略して申し訳ありません」という気持ちが込められており、目上の人に対しても失礼にはあたりません。

敬称略を使う際の注意点とポイント

敬称略 注意点とポイント

敬称略を使う際には、いくつか気をつけたいポイントがあります。

✔️ 人数が少ない場合は使用しない

✔️ 必ず「敬称略」と明記する

✔️「順不同」もあわせて記載する

✔️ 社外の人の敬称に注意

✔️ 役職の省略は状況に応じて

これらを順番に解説します。

人数が少ない場合は使用しない

リストに記載する人数が少ない場合には、敬称略は使用しない方が賢明です。

もともと敬称は、相手に対する敬意を表すために本来なら付けるべきもの。それが人数が多くなることで逆に分かりづらくなったりするために省略が行われます。

人数が少なければ煩雑になることもありませんし、大きな手間にもなりませんので、原則に戻って敬称を付けた方がいいのです。

「何人以上なら敬称略が使える」といった具体的な基準のようなものは特にありませんが、目安として数人〜5,6人程度のリストなら、1人ずつに敬称をつけた方が好印象です。

ところで敬称をつける場合に気をつけたいのが「様」の扱い方です。つい丁寧にしようとして「社長様」や「部長様」としてしまいがちですが、二重敬語となり失礼にあたりますので注意しましょう。

必ず「敬称略」と明記する

敬称略と記載がなければ、呼び捨てをしている形になってしまいマナー違反です。敬称略の記載は意外と忘れてしまいがちですので必ず確認しましょう。

「順不同」もあわせて記載する

敬称略で名前を羅列する際は、並び順も重要。高い役職者やお客様を末尾に記載してしまうと、やはり失礼になってしまいます。

どの人を上に書くべきかあやふやな場合は「敬称略、順不同」と記載しておくのがポイント。「敬称略」と「順不同」はセットで用いられることが多いので覚えておきましょう。

社外の人の敬称に注意

特に気をつけたいのが、社外の方に対しての敬称の扱いです。社内は身内同士のやり取りとも言えますが、社外の方は言ってみればお客様です。

社外の方に対しては基本的に敬称をつける方向とし、敬称略を使うのは人数が多いときのみに限定するという線引きをすることが大切です。

例えば社外・社内の人が混在するような会議の議事録においては、大人数の場合を除き、社外の人には役職や敬称をきちんと記載するよう気をつけましょう。

<敬称を省略しないパターンの例>

出席者
ABC社 営業部 部長 田中様、高橋様
DEF社(弊社)
システム部 部長 武田、鈴木、橋本(書記)

このように、相手先の会社への提出を前提としている議事録などの場合、社内メンバーは敬称を省略することが一般的です。

役職の省略は状況に応じて

「社長などの役職は省略できる?」

原則として、敬称略と記載すれば役職も省略することができます。ですが実際のビジネスシーンでは、フルネームのみを並べるケースよりも、役職つきで記載するケースの方が多い印象です。

実際に、社長・部長などの役職者を名前のみで表記しようとすると、何だか抵抗を感じるという方は多いのではないでしょうか。その場合、役職は残して記載し、一般社員のみ敬称略にすることもできます。

そこはケースバイケースですので、職場のこれまでの書類を確認するなどして、慣習に従うようにするといいでしょう。

敬称略の書き方を例文でチェック!

では敬称略の書き方を実践していきましょう。まず敬称略の使い方ですが、文面ではそのまま「敬称略」で構いません。冠婚葬祭などで名前を読み上げる場合も「敬称略」でも問題はありませんが、『お時間の都合上、敬称を省略させていただきます』などの言い方がお勧めです。また、二重敬語の例文も紹介しますので確認しておきましょう。

【例文1】社外の人が含まれる場合

出席者一覧 (敬称略、順不同)

氏名 会社名 役職
山田 太郎 ××株式会社 人事部長
佐藤 花子 株式会社○○ 人事グループ長
高橋 次郎 株式会社△△ マネージャー

上記は一覧表スタイルの例文です。 「様」という敬称は省略していますが、役職については記載しています。

名前については、上記のような一覧表スタイルではフルネームで書くケースが多いです。

ただし議事録などでは下記のように苗字のみでOKとなるケースも。苗字のみはNGというわけではありませんので、書類の形式によって適切な方を選ぶようにしましょう。

【例文2】社内文書の場合

出席者一覧
堀江社長、田中部長
佐藤、鈴木、内田、高橋(敬称略)

社内文書で敬称略にする場合、役職も全て省略することができますが、役職者を呼び捨てで書くのに抵抗があるという方も多いのでは?

そういった場合は、役職者に対しては「堀江社長」「田中部長」といった記載方法に統一し、一般社員については敬称略を用いるとよいでしょう。

【例文3】二重敬語のNG例

山田 太郎 代表取締役社長様
佐藤 花子 部長様
高橋 次郎 課長様

上記のように「役職+様」と書くのは二重敬語となり、失礼にあたるので要注意。その代わり「代表取締役社長 山田 太郎様」「部長 佐藤 花子様」のように「人名+様」にすれば二重敬語とはならず正しい表現となります。

まとめ

ビジネスシーンでも多用される敬称略の意味や正しい使い方、使用上の注意点などをご紹介しました。敬称略とは「様」「さん」といった敬称を省略することを指します。

そして、単に省略するという事実だけでなく、「本来ならつけるべき敬称を省略させていただくことをお許し下さい」といったニュアンスも含むことを覚えておきましょう。

社会人として敬称略の基本的な使い方を理解したら、さまざまな状況に応じて使い方を考えてみましょう。最後に、敬称略を使用する場合は必ず「敬称略」と記載することをお忘れのないように。

(マイナビ学生の窓口編集部)


学生の窓口編集部

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