嘱託社員とは?パートや契約との違い、待遇、雇用形態について解説

更新:2024/01/29

ビジネス用語

求人広告などで「嘱託社員」という言葉を目にして何だろうと思った経験はありませんか。そもそも嘱託の意味は?契約社員と違うの?こんな疑問も出てくるでしょう。

そこで今回は「嘱託社員」とはどういう働き方なのかについて、わかりやすくご紹介します。

就職・転職活動において、雇用形態がどうなっているのかは会社選びの重要なポイント。契約社員や正社員・パートとの違いについてもご紹介しますので、今後自分がどんな雇用形態で働いていくか迷いや不安を感じている人は参考にしてみてくださいね。

嘱託の意味とは

【嘱託】(しょくたく)

・仕事を頼んで任せること。
・正式の雇用関係や任命によらないで、ある業務に従事することを依頼すること。
(引用:デジタル大辞泉)

嘱託には「頼んで」「任せる」といったニュアンスがあるのがポイント。企業においては正規従業員ではないものの、何らかのスキルや実務経験などを有している人に対して業務を「お任せします」とお願いする意味合いが強いです。

嘱託と委託の違い

上記の「嘱託」の意味に対して、「委託」はどのように違うのでしょうか。

【委託】(いたく)

・ゆだね任せること。
・人に頼んで代わりにやってもらうこと。
(引用:デジタル大辞泉)

嘱託と委託は、「任せる」という意味を持つ点で意味が良く似ていて区別しづらいかもしれません。

違いとしては、「嘱託」の方は「正式の雇用関係によらず」と雇用形態に関連するような意味をもつのに対して「委託」はそうした意味合いはありません。「委託」はもっと幅広く「人に依頼する」という意味で用いられています。

嘱託社員とは?わかりやすく解説

「嘱託社員(しょくたくしゃいん)」とは非正規社員の立場をとる雇用形態の1つです。

正社員とは異なり、契約社員のように有期の労働契約となっているのが特徴です(1年契約、2年契約など)。

実は、嘱託社員という言葉に法律上の定義はありません。ですが、嘱託の「頼んで」「任せる」という意味合いから分かるとおり、何らかの業務を「お任せする」ような人を嘱託社員と呼ぶケースが多いです。

嘱託社員として働く具体例

実際に嘱託社員として働くのはどんなケースなのか、具体例をご紹介します。

定年退職後の再雇用による嘱託社員

嘱託社員という呼び方は、定年退職後の再雇用で働く社員を指すことが一般的です。

例えば定年が60歳だった場合でも、本人が希望すれば全員65歳まではその企業が引き続き雇用するという「継続雇用制度」が「高年齢者雇用安定法」で義務付けられています。この「継続雇用制度」(再雇用制度)により嘱託社員となる人が増えているのです。

定年を迎えた社員たちは長年その企業で働いてきたため、その会社のことは熟知していますし、実務経験も豊富です。そのため単に「契約社員」と呼ぶよりも「嘱託社員」という呼び方が一般化したと考えられます。

医師など専門職としての嘱託社員

医師や弁護士のような特殊な技能や技術を持っている人が仕事を依頼された場合も「嘱託社員」と呼ぶことがあるため、覚えておくと便利です。

専門職の人が嘱託社員になる場合は、雇用契約ではなく業務を行うことで報酬をもらう業務委託契約という働き方になることも多くあります。

公務員としての嘱託職員

地方公務員の求職情報を見ると、嘱託職員という雇用形態を目にすることもあるでしょう。公務員における「嘱託職員」は非常勤職員のうちの1つに分類されます。

この嘱託職員の詳細については職場により異なりますが、期間は最大3年程度で短時間勤務となることが一般的です。また、採用時も面接のみのケースも見られるなど、正職員とは異なる採用方法であることがわかります。

嘱託社員で働くメリットとデメリット

企業が若者に対して嘱託社員という雇用形態の門戸を開いていれば、定年退職後の再雇用を待たずに嘱託社員になることも可能です。

嘱託社員のメリットとデメリットをあらかじめ知ることで、自分の雇用形態の選択肢が増えるでしょう。

嘱託社員で働くメリット

嘱託社員の場合、フルタイムで働けなくても条件が合えば自分に合った労働時間で働けるということが最大のメリットだと言えます。

自身のスキルや経験・能力を活かして働けるという点から、士業を目指す人にとっても無理なく働ける新しい働き方の選択肢となるでしょう。

また、自身の労働日数や労働時間も契約を結ぶ際に調整できますので、ワークライフバランスを考慮した働き方が実現できると言えます。

嘱託社員のデメリット

嘱託社員は契約社員と同様、決められた契約期間のなかで働く雇用形態であるため、本人が勤務する会社でずっと働きたくても契約更新ができなければ職場に留まれないことが最大のデメリットです。

また、求人広告などに「嘱託社員」と書かれていた場合でも、会社によっては本人が思っている「嘱託」の雇用形態とは微妙に違っていたり、給与や待遇面が正社員・正職員よりも限られてしまったりする場合があることも考慮しなければなりません。

契約を結ぶ前に、待遇についてはよく確認することをオススメします。

契約社員・正社員・パートと嘱託社員の違いは?

契約社員・正社員・パートなど、さまざまな働き方と嘱託社員との違いを見ていきましょう。

嘱託社員と契約社員の違い

契約社員とは期間の定めのある労働契約により働く社員のことをいい、嘱託社員は契約社員の一種であると言うことができます。

あえて違いを挙げるとしたら、両者の労働時間が挙げられます。

契約社員はフルタイム契約が多いのに対して、嘱託社員の労働時間は週◯日といった非常勤となることが多いです。もちろんフルタイム契約もありますし、時短労働の場合もありさまざまです。

ちなみに、フルタイム契約の嘱託社員のことを「常勤嘱託」と呼ぶこともあります。

嘱託社員と正社員の違い

嘱託社員と正社員を比べると、雇用期間の定めがあるか無いかというのが大きな違いでしょう。嘱託社員は正社員とは異なり期間の定めがあり、契約の更新が必要です。

契約期間の満了をもって契約終了かもしれない、という不安定な就業状況に置かれがちであることは留意しておいたほうが良いでしょう。

嘱託社員とパートの違い

嘱託社員とパートについては両者とも法律上は短時間労働者ではありますが、嘱託社員は月給制が多いのに対してパートは時給制という点に違いがあります。

それから嘱託社員は短時間労働者に限らず、フルタイムで勤務する人も存在します。その場合は労働時間の面でもパートとは異なるということになるでしょう。

嘱託社員と派遣社員の違い

嘱託社員と派遣社員の違いは雇用先です。

嘱託社員は実際に勤務する企業が雇用先であることに対し、派遣社員の場合は派遣先の会社に雇用されておらず、派遣元の派遣会社に雇用されています。

▼こちらも合わせてチェック!
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嘱託社員の給与体系や待遇は?

「嘱託社員」と聞くと、正社員に比べて給料が低いというイメージを持つ人もいるでしょう。嘱託社員の給与体系や待遇は会社によって様々であるため、必ずしも悪いとは限りません。

嘱託社員の契約をすることがある場合は、きちんと待遇面や給与面など契約書の見落としがないようにしましょう。

給与は業務や会社次第

給与は会社ごとの契約内容や業務次第で変動するため、一概に高い・低いと断定することはできません。

しかし、企業によっては嘱託社員の基本給を「正社員の基本給を基準にして何割」などのようにパーセンテージで決めることもあるようです。

退職金は基本ないが、ボーナスの有無は会社による

嘱託社員は、企業によってボーナスがある場合も無い場合もあります。

また、退職金はつかないことが大半ですが、それ以外は正社員とほぼ同条件というケースもあるようです。

待遇面や福利厚生

待遇面を見ていくと、労働時間や雇用期間などの条件を満たせば、正社員と同じように社会保険に加入可能です。

また、福利厚生についても嘱託社員だから良い悪いなどの決まりはありません。

さいごに

「嘱託社員」の意味やメリット・デメリット、他の雇用形態との違いなどを解説してきました。最近では若者でも嘱託社員を目指せるなど、雇用の選択肢の幅が広がりつつあります。

ただし、嘱託社員は契約社員と同様に有期労働契約であり、同じ会社でずっと働けるという保証がありませんので、その点には十分留意する必要があります。

もし求人広告で「嘱託社員」を見つけたら、雇用期間や更新の有無、その他の条件面をよく確認することが大切。後になって「こんなはずではなかった…!」と後悔することのないように注意しましょう!

(マイナビ学生の窓口編集部)


学生の窓口編集部

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