手取りとは? 額面との違いや手取りの簡単な計算方法を解説

更新:2023/10/11

給料・年収

手取りとは額面とどう違う?

「給与は手取りだと〜」
「額面で言うと〜」
こんな会話に直面すると、「手取り」や「額面」の正しい意味を把握しておきたくなりますよね。

給与の手取りとは、もろもろ差し引かれた後の「実際の受け取り額」のことをいいます。

手取りの金額は、社会人生活に直結する重要なポイント。就職活動をしている人も理解しておかないと、実際に就職してから「あれ? 給料が約束と違う……」なんてことになりかねません。

今回は、手取りとはどんな意味か、額面との違い、大まかな計算方法などを解説します。

額面と手取りの早見表も掲載しましたが、「こんなに差があるのか!」と愕然としてしまうかもしれません。ぜひ参考にしてみてください。

▼こちらの記事もチェック!
実際どのくらい?新社会人の初任給の平均や年収・手取りの実態について

手取りとは

手取りとは、給与の中で「実際に受け取ることができる金額」のことを指します。

給与は、会社から支給された金額がまるごと口座に振り込まれるわけではありません。給与明細を見ると、保険や税金などさまざまな「控除項目」があることが分かるでしょう。

給与はこうした控除項目が差し引かれ(=天引きといいます)、最終的に残った分が口座に振り込まれます。

この実際に振り込まれる金額が「手元に入ってくる金額」という意味合いで手取りと呼ばれているのです。給与明細では一番最後の方に「差引支給額」として記載されることが多いです。

手取りとは可処分所得のこと

手取りと同じような意味で使われる言葉として「可処分所得(かしょぶんしょとく)」があります。

可処分所得も、税金や社会保険料など差し引くべきものを差し引いた後の収入分を指しており、「自分の意思で好きなように使えるお金」というニュアンスで使われることが多いです。国の統計情報を閲覧するときにもよく出てくる言葉です。

手取りと額面の違い

給与の額面(がくめん)とは、保険や税金といった「控除項目」を差し引く前の金額であり、会社があなたに支給する金額そのものを指します。

●手取り
会社の支給額から、社会保険や税金などを差し引いた後の「実際の受け取り額」
給与明細上は「差引支給額」と表記されることが多い

●額面
社会保険や税金などを差し引く前の「会社の支給額」
給与明細上は「総支給額」と表記されることが多い

額面は、給与明細で見ると「支給項目」としてまとめられることも多いです。基本給・時間外手当・各種手当などが列記され、それらの合計が「総支給額(=額面)」となります。

ここまでの内容をまとめると、手取りと額面の関係は次のようになります。

ーーー

「手取り」=「額面」ー「控除項目(社会保険料など)」

ーーー

自分の額面からどれくらいの保険料や税金が引かれているのかは、給与明細に書かれています。お手元の給与明細を早速チェックしてみましょう。

【参考】月給と月収の違い

給与に関連する言葉として「月給」と「月収」の違いについても触れておきます。この2つの言葉は似ていますが、厳密には意味が異なります。

●月給
⇒基本給+毎月固定で支払われる手当

●月収
⇒年収を12ヶ月で割ったもの

「月給」は「1カ月という単位で定められた給与」という意味を示しており、基本給と毎月固定で支払われる手当のことを指します。注意点としては、役職手当などは毎月固定されている給与として含みますが、月ごとに異なる残業手当などは「月給」には含まれません。

「月収」は、簡単に説明すると「年収」を12カ月で割ったものです。年収にはボーナスや臨時収入なども含まれているので、当然ですが月給よりも月収の方が金額は大きくなります。

手取りの大まかな計算方法

給与の手取り金額を算出するには、さまざまな控除項目を差し引いていく必要があります。代表的な控除項目には次のようなものがあります。

・健康保険料(+介護保険料)
・厚生年金保険料
・雇用保険料
・所得税
・住民税 など

税金は扶養親族の有無によって変わったり、そのほか会社ごとの規則で定められた「◯◯会費」などが控除されたりすることもあり細かな計算が必要です。同じ額面20万円でも、人によって厳密な手取り金額は変わってくる可能性があります。

一例として、こちらの記事では一般的な初任給から手取りを実際に計算していますので、よろしければ参考にしてください。
実際どのくらい?新社会人の初任給の平均や年収・手取りの実態について

「大まかな手取り金額だけでも知りたい!」という場合、実は次の計算式で簡単に算出することができます。

ーーー

手取り=額面 ✖︎ 0.8

ーーー

社会保険料や税金などの引かれる金額は、大体2割程度と言われていますので、おおよその手取り金額は額面金額に0.8をかけたものになります。

たとえば初任給の額面が20万円だとすると、健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料が差し引かれ、さらに所得税分を引くと、手取りはおよそ16万円ほどになります。

 ※社会人1年目は住民税が引かれません。2年目は住民税が引かれるので初任給よりも2年目の手取りが減る可能性があります。また、年齢が上がる、扶養家族が増える、お住まいの地域が変わるなど、条件が変わると手取りの金額が変わりますので、あくまで独身新社会人の概算ととらえていただき、正規の計算ではないことにご注意ください。

手取り金額の月収・年収別早見表

上記の計算式にもとづき、大まかな手取り金額の早見表を月収・年収別にまとめました。

【月収と手取りの概算 早見表】

額面月収 大まかな手取り金額
20万円 16万円
25万円 20万円
30万円 24万円
40万円 32万円


【年収と手取りの概算 早見表】

額面年収 大まかな手取り金額
250万円 200万円
300万円 240万円
400万円 320万円
500万円 400万円

金額が上がれば上がるほど、額面と手取り金額との差は広がっていくことが分かります。年収が500万円あったとしても、実質の可処分所得(手取り)は400万円程度になってしまうということです。

尚、こちらは前提の通り、概算ですので、細かい数字の計算は実際の状況により変わることを忘れないようにしましょう。

求人票に記載されるのは手取りではなく額面

初めての給与をもらった際に、「求人票の金額よりも大幅に少ない」と感じる人がいますが、求人票に記載されている金額は、額面です。手取りではありません。

額面よりも2割程度少なくなっているのが普通ですので、落ち着いて確認してみましょう。

これから転職活動をする予定がある場合、転職エージェントに「希望年収」「希望する給与金額」を尋ねられたら額面で答えましょう。額面は理想とする手取りをおおよそ2割り増しにすれば計算できますよ。

まとめ

手取りとは、給与の中で「実際に手元に入ってくる金額」のこと。給与明細では一番最後の方に「差引支給額」として記載されるパターンが多いです。

実際にはこの手取り金額の中でやりくりしなければならないため「給与明細は手取りのところしか見ていない」という人も多いようです。

ですが、自分の給与明細を理解することは、社会人として最低限の常識でもあります。社員だけでなく、アルバイトでも同様です。

月々の給与明細書は必ずチェックし、手取りや額面の細かな内容も理解できるようになりましょう。

(学生の窓口編集部)

【監修】宮本誠之(FP Office株式会社)

外食上場企業、医療機器商社に勤務の後、2012年から外資系大手金融機関に勤務し、ライフコンサルティングに長年従事。プランニングは机上の理屈だけにとらわれず、顧客の感情や現実・未来に寄り添う相談が好評。 特に、個人事業主・経営者との接点を多数持ち、専門家と協力して顧客の問題解決に最大限の労力を払うべく日々精力的に活動中。 また、個人事業主のコンサルティングをライフワークとし、セミナーや個別相談にて社会保障制度の解説や老後の安定のための秘訣を日々伝えている。 現在高校生・中学生・小学生の三児の父。

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