実際どのくらい?新社会人の初任給の平均や年収・手取りの実態について

更新:2023/08/24

給料・年収


社会人となり初めての給料日。期待で明細を確認してみると、意外にもなんと少ないことか。4月は「こんなはずでは……。」と思う新人が多い月でしょう。実は、社会人のお給料は「額面」と「手取り」で大きな差があるのです。

今回は、新社会人の初任給の平均と、その額をもとにした年収や手取り額についてご紹介。平均的な初任給だった場合に、手取り額は果たしてどのくらいになるのでしょうか。生活でかかる必要経費についてもご紹介しますので、社会人ライフのお金の収支をイメージしてみましょう。

新社会人の初任給の平均

新社会人の初任給の平均を、大卒・高卒など学歴別にご紹介します。厚生労働省の「令和4年賃金構造基本統計調査」によれば、新規学卒者の所定内給与額は次のようになっています。

学歴 所定内給与
高校 18万1,200円
専門学校 21万2,600円
高専・短大 20万2,300円
大学 22万8,500円
大学院 26万7,900円

そして、全学歴の平均額が21万8,500円でした。

上記によれば、大学を卒業した新入社員の平均的な初任給は、およそ22万円ということになります。あくまで平均額であり、職種や業種、地域によってはこれより低くなることも多々あります。対前年でみるとおおむね上がってきており、例えば大卒の場合は1.4%UP、大学院卒の場合は5.7%UPしています。

初任給の平均を大手企業に絞ってみると?

では、上記の表を大手企業に絞ってみるとどうでしょうか。「企業規模:千人以上」を先ほどの表に加えて比較してみましょう。

学歴 所定内給与
企業規模:千人以上
所定内給与
全企業規模
高校 18万5,500円 18万1,200円
専門学校 22万100円 21万2,600円
高専・短大 20万4,800円 20万2,300円
大学 23万4,400円 22万8,500円
大学院 27万7,400円 26万7,900円

先ほどの企業規模を限定しなかったときと比べると、大手企業の方が、全企業規模よりも、わずかながら金額UPしていることが分かります。大学院卒になると、おおよそ1万円の差が出ていますね。

そもそも初任給とは

そもそも初任給とはどんな意味なのでしょうか。

【初任給】
初めて任官された人や就職した人に支給される給料。また、その金額。初給。

(引用:デジタル大辞泉)

簡潔にいうと、初任給とは「初めての給与」のこと。TVの街頭インタビューで「初任給は何に使いますか」といった質問をするシーンをご覧になったことがあるかもしれません。この初任給も「初めてもらうお給料」のことを指しています。

ところで初任給の大半は「基本給」で占められていますが、何らかの「手当」がある場合には手当も含む総額と考えてOKです。

先ほどの統計データも各種手当てが含まれていますが、超過労働手当(残業手当など)については含まれていませんので、そこはご注意ください。もし入社した4月からガッツリ残業するような場合には、残業手当が何万円かプラスされることになります。

基本給のほかに支給される主な手当

基本給のほかに支給される主な手当をまとめておきます。これらはそれぞれの会社の給与制度によって、もらえるものともらえないものがあります。

●時間外勤務手当(残業手当)
⇒通常勤務時間以外の時間に勤務したときに支給される手当

●深夜・休日手当
⇒夜間や休日に勤務したときの手当

●住宅手当
⇒住宅に関する家賃や住宅ローンの補助を目的とする手当

●家族手当
配偶者や子供などの家族に対する生活補助としての手当

●通勤手当
通勤で必要となる定期代やガソリン代などの交通費

このほかにも、遠隔地手当や寒冷地手当など会社の就業規則により定められた手当を支給される場合があります。

新社会人の場合は、一人暮らしをするときの住宅手当が出るかどうかが注目ポイント。例えば一律3万円のようにもらえると大きいですからね。また給与とは別の扱いで、会社で賃貸を借り上げてくれるケースもありますので要チェックです。

そして、忙しい職場となる場合には時間外勤務手当(残業手当)が給与額に大きく影響してくることでしょう。

なお、みなし残業という、実際の実労働時間にかかわらず、前もって一定時間の残業を行ったものとして、基本給に、固定残業代を含めて支払う給与制度もありますので注意が必要です。


初任給の平均から年収を計算

初任給の平均から年収を計算

初任給の平均が分かったところで、今度は1年分の「年収」を計算してみましょう。

サラリーマンの年収に大きく影響するものが年2回のボーナス(賞与)です。ボーナスは年齢や企業により異なり、支給ゼロから基本給の数か月分と幅があります。

しかし、ボーナスが基本給の数か月分支給される会社でも、新社会人にはまだ縁遠い話。新社会人が支給されるボーナスは夏には寸志程度、冬でも1カ月分くらいがおおよその目安です。

そもそもボーナスとは、前期の業績に応じて支給されるものです。新入社員は前年度にまだ働いていませんので、夏のボーナスは支給されないか、寸志あるいはお小遣い程度となるのが一般的。

さらに1年目は研修が主体であり、実質の労働として会社に貢献していませんので、冬のボーナスもあまり多くは期待できないでしょう。よって、夏は寸志として基本給の半額、冬は賞与として1カ月分支給されると仮定して計算してみます。

●年収の計算
※基本給21万円として

21万円×12ヶ月+夏(21万円×0.5)+冬(21万円×1)
=283.5万円

およそ283万円が、新社会人の年収目安ということになります!

初任給の平均から手取りを計算

ここまで解説してきた初任給の額とは、実は「支給総額」であり、実際に手元に入ってくる金額とは異なります。支給総額は「額面」とも呼ばれ、そこから税金や社会保険料が差し引かれて実際に手元に入ってくる金額は「手取り」と呼ばれます。

ここからは、初任給を21万円と仮定して、気になる月々の手取り額を計算してみましょう。差し引かれる主な項目を順に説明します。

社会保険料

まず「健康保険料」「厚生年金保険料」です。料率は都道府県や加入する健保、そして年度によっても異なりますが、ここでは「協会けんぽ・東京都・R5年度」を例にとってご紹介します。

●健康保険料
⇒11,000円
●厚生年金保険料
⇒20,130円

社会保険料はこれだけではありません。「雇用保険料」もあります。雇用保険料の料率は厚生労働省が定めており、2023年度(令和5年度)の料率(一般の事業)は6/1000。

●雇用保険料
⇒1,260円

まとめると、差し引かれる社会保険料は合計32,390円が目安です。

所得税

所得税は、所得が多ければ多いほど税金が高くなる累進課税制をとっており、下記のようになります。 例えば、所得が195万円以下であれば、所得税率は5%ですが、所得が330万円を超えると、20%にのぼります。

所得195万円以下 5% 控除額0円
所得195万円を超え
330万円以下
10% 控除額97,500円
所得330万円を超え
695万円以下
20% 控除額427,500円

ですが、この税率を適用する前段階にはさまざまな下準備が必要です。詳しい計算は年に1回、年末調整が行われて所得税が確定するしくみです。

そこで、毎月差し引かれる所得税の目安を知るには国税庁から出ている早見表「源泉徴収税額表」を利用しましょう。

初任給210,000円ー社会保険料32,390円
=177,610円
この金額を「源泉徴収税額表」に当てはめると…

●所得税(源泉徴収税)
⇒3,980円

※税金には市県民税もありますが、こちらは前年度の所得に対して課せられます。社会人1年目では通常引かれませんので割愛します。

手取りの計算結果は?

以上、初任給を21万円と仮定して、主な控除項目を計算してきました。果たして手取りの計算結果は…?

初任給210,000円
ー社会保険料32,390円
ー所得税(源泉徴収税)3,980円
=173,630円

このような結果となりました。およそ17万円といったところでしょうか。手取りの計算は複雑な計算になるため初任給においては「額面のおおむね8割〜8.5割」と覚えておくと便利です。

生活にかかるお金と自由に使えるお金

社会人として独立して暮らしていくには学生時代と違い、いろいろな経費がかかり自分自身で工面することになります。生活する上で必要な項目を何点か挙げてみましょう。

●家賃 5万円
●水道光熱費 約1万円
●食費 2〜3万円
●スマホ・Wi-Fi代 1万円
●その他生活用品や保険など

※家具・家電は初期費用として別途必要

ここで部屋代は5万円としましたが、もし会社が寮を備えていて寮生活をすることになると、部屋代が1万円程度で済むことも!個人でマンションなどの部屋を借りるより圧倒的に安くなります。

ここでは家賃を5万円とすると、上記のとおり生活にかかるお金は10万円近くになります。先ほどの手取り17万円から差し引くと、約7万円が自由に使えるお金ということに。

もちろん上記は最低限の項目ですから、ほかに洋服代や美容代、交際費(飲み会など)、場合によっては医療費もかかるでしょう。趣味のためのお金や大きな買い物はボーナスをあてることも考えられますが、就職直後の場合大きく期待できない額といえますので、日常的な生活費用はできるだけ月々の給与で賄いたいものです。

まとめ

新入社員の1年目は研修や勉強に打ち込んで仕事を覚えることを優先させることで、不要な出費を抑え、将来の年収アップを目指すのがよいかもしれません。

社会人として給与をもらうようになると、これまでアルバイトでお金を稼いできたときとは違い、税金や社会保険などの控除額が大きくなってきます。さらに付き合いが広くなり諸経費もかかるため、いざというときに困らないよう使いすぎに注意して、計画的にお金を管理していきましょう。

(マイナビ学生の窓口編集部)

【監修】渥美功介(FP Office株式会社)

ファイナンシャルプランナー。外資系金融機関、最大手保育所運営会社、外資系コンサルティング会社を経てFPに転身。FP相談のほか、執筆や社内外の研修担当、セミナー講師としても活動する。一般社団法人未来家計研究所の代表理事を兼任し、小中学校の金融教育に携わり、授業実績多数あり。大学と家計に関する共同研究を実施しており、大学にて講義も担当している。 

関連キーワード:

関連記事

新着記事

もっと見る

HOT TOPIC話題のコンテンツ

注目キーワード

 ビジネス用語・カタカナ語80選

 キャリアロードマップの一歩目

  • ピックアップ