「東京特許許可局」は存在しない!? 一攫千金を狙う人は知っておきたい「特許」取得のあれこれ

更新:2018/02/21

社会人ライフ

「東京特許許可局」は存在しない! 一攫千金を狙う人は知っておきたい「特許」取得のあれこれ

「東京特許許可局」という早口言葉にも登場する「特許」。よく「特許を取得してお金持ちに!」なんて夢を抱く人がいますが、そもそもこの「特許」を取得するにはどうすればいいのでしょうか? 今回は特許を取得する際のプロセスをご紹介します。

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■特許の取得にはとにかく時間がかかる......


特許を取得するまでには、大まかに

・「出願」⇒「出願公開」⇒「審査」⇒「登録」

という4つのプロセスがあります。

●出願

まずは「出願」をしないといけませんが、その前に自分が考えたアイデアや発明品が、新しいものか調べないといけません。もし似たような機能を持つものや、類似するものが先に出願されていれば、特許取得は不可能です。特許庁のホームページですでに出願されているものが確認できるので、アイデアがかぶっていないかチェックします。ここで見逃してしまうと、この後の行動は全て意味がなくなるので、じっくりと調べないといけません。かなりの時間を必要とする作業です。

もし他に似たものが見つからなければ、出願の準備です。特許庁が定めた形式に沿って、どういったもので、どんな機能があるのかを書類にまとめます。書類は「願書」「明細書」「図面」など複数あり、文章の作成も独特なものになっています。自分で作ることも可能ですが、特許事務所などに依頼するのが確実でしょう。

出願に必要な書類を作成したら、いよいよ出願です。出願は特許庁に直接持ち込むか、郵送、またはオンラインでの申し込みが可能です。出願時に必要な費用は「1万5,000円」。持ち込みや郵送の場合は「1,200円+書面枚数×700円」が必要です。もし書面枚数が10枚なら8,200円の手数料になります。提出したらひとまず「出願」は完了です。

●出願公開

出願してから1年6カ月が経過すると、出願した内容が一般に公開されます。これが「出願公開」です。「自分のアイデア」として世に公表されるので、類似品が登録されたりすることがなくなります。

よく目にする「特許出願中」というのは「出願はしているけど公開はされていませんよ」というアピールなのです。自分のアイデアが特許取得した場合、自分の出願後に同じアイデアを出した人に対して差し止めや損害賠償の請求を行うことができます。

さて、出願公開はされましたが、これだけでは「特許権」は発生しません。特許を得るためにはさらに審査が必要なのです。

審査

特許権を得るには、特許庁の審査官による「審査」を受けないといけません。審査を受けるには、出願から3年以内に「出願審査請求書」を提出します。もし3年以上経過してしまった場合は審査請求を行うことができなくなります。

出願審査請求には「11万8,000円」の費用が掛かります。けっこうなお値段です。また、出願審査請求書が提出されても、審査の結果が通知がされるまで約2年もの時間が必要です。すぐに結果が出るわけではないのです。

出願内容に問題がない場合は「特許査定」という段階に進みますが、審査で駄目だった場合はなぜ駄目だったかの「拒絶理由」が通知されます。拒絶理由を確認し、修正可能だった場合は修正し、通知から60日以内に再提出します。このやりとりを経て、「特許査定」に進むケースも多いそうです。

●登録

「特許査定」という判断が下ったら、いよいよ登録です。特許査定の謄本が送られてきてから30日以内に、特許庁に最初の3年分の「特許料」を納付します。特許料は3年目までは1年につき「2,300円+請求項の数×200円」なので、最低でも7,500円が必要です。

特許料を納付したら特許登録原簿に登録され、「特許権」が発生します。特許権は出願から最長で20年間(薬品は最長25年間)有効です。ただし、特許権が発生している間は、決まった特許料を納めないといけません。特許料は例えば10年目以降だと最低でも6万6,400円(6万1,600円+請求項の数×4,800円)が必要となり、かなり高額です。取得した特許権による利益なども考慮して、特許権をどうするか決めないといけません。

特許を取得するには、大まかにこうしたプロセスになっています。同じようなアイデアが出ていないかたくさんの資料から調べる労力、安くない費用、そして取得までの時間、ハードルはかなり高いようです。

ちなみに「東京特許許可局」という機関は存在しません。お気を付けください(笑)。

(中田ボンベ@dcp)

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