■これが大事! 水素積んでて危なくないの!?——「水素を積む」というと、「危なくないの?」と思ってしまう人がいますが、安全性は大丈夫なのでしょうか。
トヨタ自動車・広報部 トヨタは、
・水素を漏らさない
・万一漏れても直ちに水素の漏れを検知して水素を止める
・漏れた水素をためない
という安全の基本的な考えに基づいて、MIRAIを設計しています。
・「水素を漏らさない」については、
タンク・配管などの水素系(水素が通る、あるいは水素に触れる部分)の部品は、水素が金属内に入り込むことで水素脆化(材料がもろくなる現象)を起こす水素の特性を踏まえて材料を選択するとともに、材料の特性や接続箇所の構造を工夫して水素が漏れないように設計しています。
また車両点検時には、水素系の部品の接続箇所の水素漏れの点検を実施します。
・「水素の漏れを検知して水素を止める」については、
水素検知器を装着し、万が一水素が漏れた場合は、水素を検知して高圧水素タンクのバルブを閉じ、水素漏れを防止します。
また、衝突センサーを装着し、衝突を検知した場合は、高圧水素タンクのバルブを閉じて、水素漏れを防止します。
・「漏れた水素をためない」については、
タンク・配管などの水素系(水素が通る、あるいは水素に触れる部分)の部品は車室外に配置しており、漏れた水素は車室内には入らないし、車室外でもたまることはありません。
漏れた水素の流れを観察する試験を実施し、万が一水素が漏れた場合でも、漏れた水素が車外に拡散しやすい構造に設計しています。
なお、水素は、密閉空間にたまらない限り、爆発の危険性は低く、また拡散が速く滞留しにくいので、外部に漏れた場合は、すぐに可燃濃度範囲より希薄になるという特徴があります。
——なるほど。万が一のことを考えると対策は大変ですね。
トヨタ自動車・広報部 また、車両に搭載された状態では、ガソリンエンジン車と同様の日本の保安基準、および、米国の法規に準拠した各種衝突試験(例えば50km/hでの正面衝突、80km/hでの後突試験など)を実施し、基準を満たしています。
タンク単体としては、自動車技術標準で決められた基準に則り、充填放出のサイクル試験、火炎暴露試験、ガンファイヤ試験などを実施しています。
・充填放出のサイクル試験 ⇒ 水圧で繰り返し圧力を加えて耐久性を確認
・火炎暴露試験 ⇒ タンクを火であぶって安全弁の作動を確認
・ガンファイヤ試験 ⇒ 銃でタンクに穴を開け水素放出/爆発しないことを確認
これらにより高い安全性能を実現しています。
■MIRAIは若い世代にアピールするクルマ!?——最近の若者は「車離れ」なんていわれますが、今回のクルマの登場は若い世代にとって良い進歩でしょうか。
トヨタ自動車・広報部 MIRAIは、723.6万円[税込]という高価格帯のクルマですが、これからもっと研究開発を重ね、進化させていくべきクルマだと思っています。
MIRAIを出発点として、若い方々にも燃料電池自動車を選択肢に入れていただけるよう、この先、よりお求めやすいクルマを投入すべく今後さらに開発を進めていきたいと考えています。
燃料電池自動車は、地球環境への貢献やエネルギー多様化への対応を目的に、10年、20年以上先の時代を見据えた「次世代のクルマ」です。若い方々も同じく次世代を担っていく存在として、燃料電池自動車の長い長い挑戦を見守っていただければ幸いです。
また、MIRAIの登場によって、「水素」という新しい燃料や、「燃料電池自動車」という新しいタイプのクルマ、「水素社会」という新しい社会の可能性やクルマの未来について、若い方々にも関心を持っていただき、ひいては、クルマや自動車メーカーの存在価値にもあらためて目を向けていただければうれしいです。
——当サイトは若い読者が多いのですが、読者に『MIRAI』をアピールしてください。
トヨタ自動車・広報部 最初は、今のプリウスのように街中のどこでも見掛ける身近なクルマにはならないかもしれませんが、もし見掛けたら、「あ、MIRAIだ」と振り向いていただき、話題にしていただけるとうれしいです。
——ありがとうございました。
「水素社会」というのが一つのキーワードのようです。この水素社会という言葉は、インフラを担当する企業から多く聞かれるようになってきました。水素をインフラ基盤に置く新しい試みがこれから増えてくるかもしれません。
MIRAIは、その可能性を切り開く挑戦者でもあるのでしょう。
(高橋モータース@dcp)