まんだらけに聞いた! 高額で取引されるセル画ってどんなもの?

更新:2018/11/01

社会人ライフ

まんだらけに聞いた! 高額で取引されるセル画ってどんなもの?

アニメに関するアイテムで、コレクターに根強い人気があるのが「セル画」と言われるもの。セルアニメに使用される、アニメの1シーンを作画されたセルライト製のシートのことで、人気アニメ作品のセル画となると、大変に高額で取引されることもあるそうです。今回は、このセル画についてプロに取材しました。

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株式会社まんだらけ 今入重一さんにお話を伺いました。今入さんは、まんだらけでセル画を担当されている、おそらく日本でも有数の専門家の一人です。

■セル画は捨てるものだった

——セル画を集めている人はたくさんいるのでしょうか?

今入さん 本来、「セル画」というのは、アニメ製作が終了したら捨ててしまうものです。撮影したらもう使わないものなので。実際、昔は普通に捨てられていました。ですが、好きな人にとっては、その作品を構成する大事なものなのです。

昔は一部の好事家が集めていたのですが、今や日本のアニメは世界中で視聴されていますので、世界中にコレクターがいます。最近ではびっくりするほど高い値段の付くセル画もあります。

■どんなアニメのセル画に人気がある?

——どんなアニメ作品のセル画に人気が集まるのでしょうか?

今入さん やはりジブリ作品、中でも宮崎駿監督の作品は人気が高いです。『風の谷のナウシカ』『天空の城ラピュタ』『となりのトトロ』......、特に人気の高いのは『もののけ姫』のセル画です。

——『もののけ姫』の人気が高い理由は何でしょうか?

今入さん まず、大ヒットした作品で多くの人が見ていることから、欲しがる人が多いことです。また、この作品がジブリ最後のセル画を使用したものであること。これより後は色を塗られたセル画は出てこないのです。

セル画のある最後の宮崎駿さんの作品ということが、高額で取引される一つの要因なのでしょう。

——ジブリ作品以外で人気のあるアニメ作品はありますか?

今入さん 『宇宙戦艦ヤマト』『銀河鉄道999』などですね。また、長く続いているシリーズ、『機動戦士ガンダム』などはその代表格ですが、こちらも根強い人気があります。

——セル画を集めている人はどのような人でしょうか。

今入さん 基本的に自分の好きな作品のセル画を集めている人が多いので、ヤマトならヤマト世代、ガンダムならガンダム世代の人たちです。40代、50代の方々、また日本の戦後アニメの洗礼を受けた60代の人ですね。

『新世紀エヴァンゲリオン』のセル画を集めている人もいますが、こちらは30代の人が中心です。

——やはり、世代によって作品が違うのですね。

今入さん 各世代に大ヒットしたアニメがあって、その作品に感動して好きになった人が、その作品の一部としてセル画を集めている。そんな感じではないでしょうか。

■昔はジブリもセル画を売っていた!

——取引されるセル画はどこから出てくるものなのですか?

今入さん 大本は製作に携わったスタジオですね。元々は捨てちゃうものですから、スタッフがごみ箱に行くぐらいだったらと持っていたものなどです。他にもいろいろなルートで一般に流れてきます。

例えば、昔手塚治虫先生の『虫プロ』が倒産したときに、セル画を販売していました。債務返済の一環だったのかもしれません。当時、実際に私も虫プロに行って買いました。袋に入って中が見えなくなっていましてね。その袋にタイトルだけ書いてあるんです。

——福袋みたいですね。

今入さん 私は『リボンの騎士』と書いてあるものを買いましたが、中は「フランツ」でした。

——レアな経験ですね。

今入さん そうかもしれないですね(笑)。昔は、ジブリもセル画を売っていたんですよ。『となりのトトロ』までは、製作に使ったセルは、徳間書店を介してアニメージュショップで販売されていたのです。その当時のセル画がマーケットに登場することも珍しくはありません。

■最も高額だったセル画は『もののけ姫』のあのシーン

——高額で取引されるセルは、どのくらいの価格なのでしょうか?

今入さん 現在、セル画の取引価格は上昇しています。先述したジブリの宮崎監督の作品は、外国にも欲しい人が多く、オークションでは50万-60万円といった価格で取引されます。

——今入さんの扱われた中で最も高額だったセル画は何ですか?

今入さん そうですね、私が見た中では、『もののけ姫』の、最後にサンがほほ笑むシーンのセル画です。

作品を見た方は分かると思いますが、サンというキャラクターはいつも難しい顔をしています。この最後のシーンでだけ柔らかな表情を見せるのです。このセル画は、『もののけ姫』の中でも印象的なカットだと思います。ですので、欲しい人がたくさんいたのでしょうね。

——価格はいくらでしたか。

今入さん 100万円でした。

——高額になるセル画はどんなものでしょう。

今入さん やはり欲しい人がたくさんいる人気の作品、人気キャラクターのカットであること、また背景が付いていて、それとマッチングしていることですね。

■高額なセル画のジャンル

第1位 ジブリ作品
第2位 新世紀エヴァンゲリオン
第3位 ドラゴンボール
第4位 聖闘士星矢
第5位 ルパン三世(ファーストシリーズ)

■セル画にはその作品の魅力が現れている!

——セル画の魅力とは何でしょうか?

今入さん アニメというのは、時間に沿って流れていくものですが、セル画を取り出したときに、流れていくそのアニメを象徴するような、結晶化させたように思えることがあるわけです。1枚のセル画がそのアニメを代表しているような感じといいますか、それがセル画の魅力ではないでしょうか。

——ありがとうございました。

⇒『まんだらけ』の公式サイト
http://www.mandarake.co.jp/

(高橋モータース@dcp)

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