最近よく見る【99%カット!】マスクの真相

更新:2018/07/04

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最近よく見る【99%カット!】マスクの真相

風邪予防に加えて花粉症やPM2.5対策など、季節を問わずマスクを身につける人が増えています。マスクの需要が高まるなか、最近よく見かけるようになったのが【99%カット】という表記です。「花粉や細菌・ウイルス飛沫を99%カット!」などと表記されたマスクを、コンビニやドラッグストア、果ては100円ショップなどで手軽に、格安で手に入れることができます。

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マスクを手にとったあなたはきっとこう思ったことでしょう。「99%カットなら、悪い物質を完全に防げるに違いない!」

......ちょっと待ってください。変だと感じませんでしたか?そんなに効果の高いマスクが、本当にそう簡単に手に入るものなのでしょうか。

【99%カット】の表示さえあれば、薬局で買った1枚1000円のマスクでも、1箱50枚入って100円の徳用マスクでも違いはないのでしょうか?

■【99%カット】ってなにをどれぐらいカットするの?


1.どのマスクも表示が「99%」なわけ

なぜ100%ではなく99%なのか......多くの人が疑問に感じる表記です。

国が定めた公的な基準ではないのですが、社団法人日本衛生材料工業連合会の取り決めで99%までしか表記できないと決められているため、どのマスクも表記できる範囲で最も大きい数値【99%】になっているようです。

2.「ウイルス用」「花粉用」違いはなに

市販のマスクでも、どれぐらいの大きさの粒子をカットできるかによって表記が異なります。空気中に漂う有害な粒子を小さい順に並べると次のようになります。

インフルエンザウイルス:約0.1-0.12μm
結核菌などの細菌:約0.5-0.6μm
PM2.5などの大気中に漂う物質:約2.5μm
せき・くしゃみで飛び散るウイルス:約3-5μm
花粉:約20-40μm  ※1μm=1mmの1000分の1

よって、「インフルエンザウイルス用」と書かれたのマスクのほうが、「花粉用」と書かれたマスクより細かい粒子をブロックできます。

また、ウイルス用マスクも、検査の方法によりいくつかの種類にわかれています。

「PFE基準クリア」

0.1μm以上の粒子を95%以上キャッチできるマスクの基準です。

「VFE規格クリア」

0.1um〜5um以上の粒子を95%以上キャッチできるマスクの基準です。

「BFE基準クリア」「N95規格クリア」

0.3μm以上の粒子を95%以上キャッチできるマスクの基準です。

ただし、これらは全て米国で定められた規格なので、国内では、各メーカが独自に試験を行い、その基準に達していると判断した自社の「99%カット」マスクに「〇〇基準クリア」という表記をしています。

■市販のウイスル用マスクは、本当にウイルスをカットできているの?

では、市販のマスクの中でも「ウイルス用」と書かれたものを選べば、完全にウイルスを防ぐことができるのでしょうか?

日本の国民生活センターが実験を行ったところ、「ウイルス対策」を掲げた9つの市販マスクのうち、95%以上の粒子をキャッチできたのはわずか3種類のみ。残り6つのマスクは微粒子を捕集する効率が80%以下という結果になりました。

さらに、9つのマスク全てに、着用時に鼻や頬にできる隙間からの空気漏れの問題がありました。空気漏れによって隙間から進入するウイルスを計算に入れると、性能の高かった3種類のマスクでも、実際のウイルスカット率は60%以下ということになってしまいます。

■じゃあマスクってつける意味ないの?

残念ながら、医療用ではない市販のマスクだけでは、空気中に漂うウイルスを99%防ぐことはできません。しかし、感染者の咳や唾で飛びちったウイルスによる飛沫感染には効果が見込めると言われています。

インフルエンザ、風邪症候群で最も多い感染経路はくしゃみや咳などで飛び散るウイルスによる飛沫感染が原因なので、これを防ぐだけでも感染のリスクをぐっと落とすことができます。

そこで、市販のマスクを使いながらしっかりウイルス予防をするためのコツを、現役のアレルギー・小児科医師で、All About家庭の医学ガイドを務める清益 功浩さんに伺いました。

—マスクの効果を少しでも高める方法を教えて下さい。

清益さん:

正しい装着として、3点に注意しましましょう。

1.鼻までしっかりと覆う(ウイルスは鼻からも侵入する) 
2.できるだけ顔にフィットさせる(隙間があれば、気密性の高いマスクほど、隙間から空気が流れて病原体が侵入する) 
3.できれば使い捨てを使用する(マスクも表側は汚染されていると考えるべき)

—マスク以外に有効な予防方法はありますか?

清益さん:

1.基本の手洗い、うがい

手洗いは、感染予防の基本です。身の回りのものには多くの病原体が付着していますので、触った手で食事や顔を触ることで感染してしまいます。マスクには顔を触れないことによる感染予防効果もあります。帰宅時と食事前には石鹸などを使って、様々な方向で20秒かけて、指と指の間もしっかりと洗うようにしましょう。うがいは、乾燥すると粘膜防御が低下するので、乾燥を防ぐ意味と、粘膜に付着したウイルスを減らす効果が期待されます。

2.免疫力を鍛える

病原体が侵入しても、発症しない方法として、やはり免疫力が重要です。ストレスのない規則正しい生活とバランスのとれた食事、適切な運動によって、免疫細胞を正常に増やすことができます。

3.予防接種と適度な加湿

インフルエンザなど予防接種のある場合は、流行前に予防接種を受けておきましょう。自分の周りの環境の病原体を減らす意味では、25℃前後の温度、50%前後の湿度を保つこと、さらに、空気清浄機も1つの方法です。

—ありがとうございました。

市販のマスクを使用するときには、【99%カット】という表記や値段の違い以上に、正しい使い方をして空気の漏れやウイルスとの接触を防ぐことが重要だとわかりました。マスクを過信しすぎず、正しい装着方法と他の予防法を併用することで、健康な体を保ちたいですね。

文●nagamami

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