学生時代から気を付けて! 国民年金保険料で6300万円も差が!

更新:2018/08/03

税金・年金

学生時代から気を付けて! 国民年金保険料で6300万円も差が!

皆さんは国民年金保険料を納付していますか? 学生であっても納付していた方がいいのです。それは将来のためでもあります。今回は、イロイロナゾの多い国民年金保険料の支払いについて、そのメリットなどをご紹介しましょう!

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ファイナンシャルプランナーの前野 彩先生にお話を伺いました。

——学生で、国民年金保険をきちんと納付している人は、あまりいないかもしれません。


前野先生 いざというときに役立ちますので、きちんとしておいた方がいいですよ。嫌な想像かもしれませんが、以下のような状況を考えてみてください。

●サークル仲間でドライブに出掛けて事故が発生。
全員車いすでの生活になるほどの重傷を負い、障害者1級と認定されました。
Aさん:20歳(国民年金保険料を納付)
Bさん:20歳(国民年金保険料は納めていない。ただし、学生納付特例を申請済み)
Cさん:20歳(国民年金保険料は納めていない)
Dさん:19歳(国民年金保険料は納めていない)

4人がそれぞれこのような状況だったとしましょう。
一定の条件を満たすと、障害基礎年金をもらうことができます。
4人のうち、20歳以降に障害基礎年金を受け取ることができるのは誰でしょうか?

答えは、A・B・Dの3人です。

Aは国民年金保険料を納めていますし、Bは学生納付特例(後述)の手続きをしています。Dはまだ10代で国民年金保険料の納付義務がないため、今は納めていなくても、20歳になったら障害基礎年金をもらうことができます。

でも、Cは本来払わなければならない国民年金保険料を納めていませんし、手続きもしていないので、障害基礎年金を受け取ることができません。20-85歳まで支給されると考えると、その差は、約6300万円にもなります!

——障害基礎年金を受け取れるということも知りませんでした。

前野先生 年金には、老後だけでなく、障害を持ったときの保障もあるんです。

■手続き一つで数千万円の差に!


——そんなに差が出るのですか。

前野先生 学生の皆さんはあまり意識していないかもしれませんが、20歳になったら国民年金に加入する義務が発生します。

——加入手続きはどうすればいいのでしょうか。

前野先生 誕生月の前月に「国民年金資格取得届」が届くので、必要事項を記入して、市区町村や年金事務所に提出します。そして、国民年金保険料約15000円/月を納めます(平成25年度は15040円、平成26年は15250円見込み)。

——学生の懐事情では、毎月15000円を出すのは正直キツイと思います。

前野先生 そうかもしれませんね。20歳を迎えた大学生の国民年金保険料の納付実態は以下の三つです。

納付
学生納付特例
未納(無視)

この納付実態によって、もらえるお金がどうなるかを見てみましょう。

⇒「納付」の場合
きちんと国民年金保険料を納めているから、もしも1級または2級の障害者となった場合でも、2級で約78万円/年、1級なら約97万円/年の障害基礎年金を、障害状態が続く限り受け取ることができます。
また、老後も納めた分の老齢基礎年金を一生、受け取ることができるので、一番安心な方法です。

⇒「学生納付特例」の場合
まず、学生納付特例とは何かを説明しましょう。
「学生で収入がない」、あるいは「アルバイトしているけれど目安年収が240万円(扶養家族なしで所得118万円以下)以下」の場合は、この「学生納付特例」を利用できます。
学生納付特例の手続きをすると、国民年金保険料の納付を「最大10年まで」待ってもらえる(猶予)のです。
ですから、国民年金保険料を納めていなくても、もしものときには障害基礎年金をもらうことができます。
ただし、届け出をしても「待ってもらっている」だけなので、10年以内に待ってもらっている国民年金保険料を納めないと(追納)、老後の年金はその分だけ受取金額が減らされます。

⇒「未納(無視)」の場合
やってはいけないのが未納(無視)です。毎月の国民年金保険料を納めていない点は、学生納付特例と同じですが、手続きを取っていないため、前述の例ではありませんが、もし障害者になってしまったとしても何の補償も受けられません。

■「学生納付特例」は大学でもできる!

——「学生納付特例」という制度については知らない人が多いかもしれませんね。

前野先生 後に知って後悔しないようにしましょう。

学生納付特例は市区町村以外に、大学でも手続きができます。現在、学生で保険料を納めるのが大変なら、大学の窓口で学生納付特例の手続きをしましょう。国民年金手帳と在学証明書や学生証の写しなどを持って、手続きに行くことをお薦めします。

いかがだったでしょうか。「転ばぬ先の杖」などと言います。いざというときのために国民年金保険料の納付をおろそかにしない方が良いのではないでしょうか。

⇒ファイナンシャルプランナー・前野彩先生の公式サイト
http://www.fp-will.jp/

⇒『書けばわかる!子育てファミリーのハッピーマネープラン』(日本経済新聞出版社より刊行)
http://amzn.to/HyoPyi

(高橋モータース@dcp)

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