社会人になると取引先や顧客など初対面の人と会う機会が多くなりますが、そこで好印象を与えられるかどうかは、その後の仕事にも大きく影響してくるもの。できれば先方に良い印象を与えたいけれど、どうすればいいの? 誰か教えて!
今回は、感動を生むサービスと究極のホスピタリティで有名な高級ホテル、リッツ・カールトン流の極意を紹介しましょう。悩める社会人の皆さん、もしかしたら足りないのは相手を思いやる「お・も・て・な・し」の心かもしれませんよ。
■あいさつで理想の自分を伝える
リッツ・カールトンのスタッフは、行動指針を明記した「クレド」と呼ばれるカードを常に携帯しているそうです。そのなかの一つ「サービスの3ステップ」には、こんな言葉が記されています。
1、あたたかい、心からのごあいさつを。お客様をお名前でお呼びするように心がけます。
2、お客様のニーズを先読みしおこたえします。
3、感じのよいお見送りを。さようならのごあいさつは心をこめて。できるだけお客様のお名前を添えるよう心がけます。
リッツ・カールトンでもサービスの基本として位置付けているのは、一見当たり前とも取れる「あいさつ」でした。体の向き、目線、姿勢、声のトーン......。思いを届ける「心からのあたたかい」あいさつは、なかなか奥が深そうですね。元リッツ・カールトン日本支社長の高野登氏は著書で「出会ったときのあいさつは、最高の自分を伝える、たった一度のチャンス」とし、「こういうイメージを持ってもらえたらうれしい」という理想の自分をイメージしてあいさつを続けることで、いつの間にかそれがその人の人格を作っていくと言っています。良い印象は気持ちの良いあいさつから、なのですね。
■相手のこだわりポイントを話題にする
会話を続かせようと一生懸命になって、しゃべりすぎていませんか? もしくは何を話していいのか分からなくて黙ってしまいますか? 高野氏によると、サービスを受ける側とサービスをする側の会話の比率は8対2くらいでいいそうです。まずは相手がこだわりを持っていそうなポイントに目を向け、それに関して素直に感想を述べ質問する。そして相手の話に真剣に耳を傾ける。それだけなのに、お客様から「話し上手ですね」と言われるのだそうです。
お互い対等な立場であっても「この人との会話は楽しい」「自分の話に興味を持って真剣に聞いてくれる」と相手に感じてもらえば、それだけでもう好印象ですよね。問題は、相手がこだわりを持っていそうなポイントをうまくくみ取ることができるかどうか。ここでは、自分の印象を気にするよりも、相手のことをよく観察し気を配る必要がありそうです。
■相手の心に寄り添い、相手の立場になって対話する
ちょっとした言葉遣いの違いも、印象を大きく変えます。例えば、「お茶とコーヒーどちらがいいですか」と聞かれたときの「お茶でいいです」と「お茶がいいです」。たった一字の違いですが、そこには自分の時間を使ってお茶を用意してくれる人の気持ちに応える言葉か否かの違いがあると、高野氏は言います。
「プロポーズに成功したカップルの部屋が100本のバラで飾られていた」
「どうしても必要な忘れ物を新幹線に乗って届けてくれた」
こんな感動を呼ぶ逸話に事欠かないリッツ・カールトンですが、そのホスピタリティの源は、相手の気持ちを考え、相手の立場に立って行動することのようです。初対面の相手に好印象を与え、人間関係をスムーズにする秘訣もここにあるのかもしれませんね。
文●エフスタイル
参考文献
「リッツ・カールトン 一瞬で心が通う『言葉がけ』の習慣」(高野登著、日本実業出版社)
「リッツ・カールトンが大切にする サービスを超える瞬間」(同、かんき出版)
「リッツ・カールトン 至高のホスピタリティ」(同、角川書店)
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