春先は登山の季節......覚えておくべき遭難の防止策&してしまったときの対応策

更新:2016/07/15

社会人ライフ

■遭難した際は、とにかく焦らず冷静に!

——もし万が一遭難してしまった場合はどうすればいいのでしょうか? まずするべきことは何ですか?

若村さん 一つ目は「まず落ち着くこと」です。コップ一杯の水が効果的です。二つ目は「安全な場所への移動」。遭難者以外のメンバーは、落石・滑落の恐れのない場所へ移動して待機。

——他にはどんなことをするべきでしょうか?

若村さん 二次遭難の恐れがなくなったら、直ちにセルフレスキュー(自救力)とチームレスキューによる救助要請をしましょう。

●遭難者を安全な場所へ移動。慎重に、それ以上のダメージを与えないように動かしましょう。

●セルフレスキュー(自救力)で、止血、心肺蘇生(心臓マッサージ)、負傷部の保護(洗浄、包帯、副木固定)、保温を行いましょう。

●同時に、ためらわず救助要請(警察110、消防119)します。場所、遭難の概況、遭難者・通報者の情報を伝えます。メモを作っておくといいでしょう。特に、場所はできるだけ正確に伝えましょう。GPS・携帯の緯度経度、さっき通り過ぎた道しるべの表示、大きなランドマーク(高圧線・大きな山・沢・地形)などの位置情報。これらに注意しながら登山をしていると道に迷うこともありません。

●救助要請した後は、携帯電話は待機にします。警察・消防から頻繁に問い合わせがあります。メモを見ながら的確に答えましょう。このとき、家族・友人へは落ち着いてから連絡しましょう。携帯電話は「待ち」にしておきます

●携帯が通じないときは、他社の携帯も試しましょう。また、移動すると通じるときがあります。あるいは通り掛かった登山者に通報を依頼します。この時メモを忘れずに。

●近くの山小屋も頼れる救助者です。

——反対に、「遭難時にこれはすべきではない」という行動を教えてください。

若村さん すべきではない行動は、

●道に迷った際に沢を下ること

●同行者がいる場合、ばらばらになること。遅れた人を置いて行くこと

●負傷者を手をこまねいて見ていること

です。

——遭難してしまった際に役立つアイテムなどがあれば教えてください。

若村さん 携帯電話や雨具、防寒具、ヘッドランプはどんな登山でも必携。好天、日帰りでも必須です。他には三角巾や未開封の清浄水(200?、傷口洗浄用)、レスキューシート(アルミのシート)、非常食(高タンパク、高カロリー、おいしくて水なしで食べられる)、ツエルト(簡易テント)、小型ガスストーブなどです。そして、何よりも大事なのが「生きて帰るぞ!」という強い意志です。

——知識や道具だけでなく、強い気持ちも大事ということですね。

登山経験者も、未経験者も今回若村さんに伺った内容をぜひ覚えておきましょう。万が一の際は、この知識があなたを助けることになるかもしれません。

(中田ボンベ@dcp)

取材協力:日本山岳救助機構(jRO:ジロー)合同会社
http://www.sangakujro.com/

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