【ビジネスの筋トレ】STEP6:「言いにくいことを言う」練習

更新:2015/06/25

スキルアップ

名刺交換のやり方とか、日々の仕事のこなし方など、職場で必要となる知識や技術は入社後に教わればよいことです。今は、どんな場面でも役立つ基礎的な力を付ける時期。体育会でいえば"筋トレ"の段階。ヒット商品を創った人、できる営業マン、すご腕経営者に、入社前だからできるトレーニングを聞きました。

STEP6:「言いにくいことを言う」練習

とあるオモチャの卸の社長に座右の銘を聞いたら「一線を引き、そこから退かないこと」と言いました。



彼の会社の従業員は約300名。売り上げは約200億円。毎春、全社員でバーベキュー大会を開くような、家族的な雰囲気の会社です。



「しかし、創業社長が亡くなり、現社長が会社を引き継いだ時、私は家族同然の社員たちの1割以上をリストラしました。売上が低迷し、年商の5分の1に及ぶ40億円分の不良在庫まで見つかり、創業以来の膿を出すときが来たと覚悟したんです。社内の反発を恐れ、一時は夜に電話が鳴るのも怖かったですよ」


■「一線を引き、退かないこと」の意味

リストラで泣く泣く社員の首を切る、皆さんがそんな仕事に直面するのは何十年も先のことでしょう。しかし、これに似た事態にはすぐにでも遭遇する可能性はあります。

お得意様に何か頼まれ「できません」
上司に頼まれた仕事で「失敗しました」

言いたくないですよね。でも「言いにくいことを言う」って、すごく重要な能力なんです。

前回、「仕事を頼まれたら、何をやればいいか徹底的に聞くべし。分かったフリはしない!」とお伝えしました。しかし、仕事を頼んできた相手が非常に忙しそうとか、「そんなことも知らないの?」と言われそうとか、思わず尻込みをしてしまう場面って多いはずなんです。


そんな時、どうするか?


気まずくても、聞くんです。あとで何か失敗したらもっと気まずい。分からないことを言われたあなた自身が、「その指示では分かりかねます」という強い意志を持って聞かなければならないのです。

先の社長は、こんな話をします。
「昨日までの仲間が私の敵に回るかもしれない、と考えると辛かったですよ。しかし"会社を守る"と決めていたから引けませんでした。
人には、おごらず、謙虚な姿勢が必要です。しかし同時に、絶対に引かない一線を決めることも大切だと思います。そこがないと、流され大局を見誤ってしまいます」

「一線を引き、そこから退かないこと」という座右の銘には、こんな意味が込められていたのです。

■聞けない時、気まずい時、言えない時こそ、力が試される時

信頼関係にせよ、仕事にせよ、すぐに結果が出るものより、時間をかけて結果を出す者の方が重みがあります。相手が快く思わないことを言えば、その場は気まずくなるでしょう。短期的にはあなたの評価は下がるかもしれません。しかし、社会人はこのような体験を、誰もが、日々、しているのです。私は「言いにくいことを、申し訳なさそうにであれ、ズバッとであれ、言える人間を信用します」

逆に、申し訳ないから言えない、というのは目先の人に優しいばかりで、大局的に見れば、「一時の感情で大きな何か、大切な何かを見失っている」と言えるでしょう。

そこで、今日の筋トレです。

「言いにくいことがあれば言う。気まずいことも言う。言ってお叱りに耐え、厳しい言葉を浴びた向こうに信頼関係があると心得よ」

と言いつつ、くれぐれも、親に「留年した」などと言うことがないよう、最後の学生生活を充実させてくださいね(笑)。

「言いにくいことがあれば言う。気まずいことも言う。言ってお叱りに耐え、厳しい言葉を浴びた向こうに信頼関係があると心得よ」

プロフィール
夏目幸明(なつめ・ゆきあき) 1972年、愛知県生まれ。早稲田大学卒業後、広告代理店『アサツーディ・ケイ』に入社し、その後、雑誌記者へ。現在、小学館『DIME』にヒット商開発秘話「UN・DON・COM.」を、講談社『週刊現代』の「社長の風景」を連載中。『資格の学校TAC』の『マスコミ・就活対策』の講師もつとめる。Wセミナー講師陣 twitterアカウント@natsumedayo facebookアカウント「夏目幸明」


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