Q1. 公認会計士を目指した理由・きっかけはなんですか?
A. とりあえず就活に有利になる資格を取ろうと思ったことです。
高校の卒業式の日、同級生と将来の話をしているときに「オレは公認会計士になる」と冗談半分で言っていた記憶があります。当時は公認会計士の仕事なんて何も知らなかったのですが、弁護士などいろいろなプロの職業がある中で、なぜか公認会計士という響きがいいなと感じたのだと思います。
大学は経済学部でしたが、入学当初は正直特に目標がはっきりしていませんでした。とりあえず就活に少しでも有利になるよう何か資格を取っておこうと思い、大学1年生のときに「公認会計士=簿記」かなと思い、勉強を始めました。1年生で順調に日商簿記2級に合格し、さらに上を目指したい欲が出て1級の勉強を開始した頃から、将来の職業として公認会計士を意識するようになりました。大学2年生で1級に合格できたときには、「よし、公認会計士になって会計のプロになるぞ」と決意したのを覚えています。
Q2. 現在の業務内容を教えてください。
A. アメリカのルイビルという都市で会計監査をしています。
大手監査法人で12年間働いた後に、アメリカ・ケンタッキー州のルイビルという都市に赴任しました。ここでは、アメリカに進出している日系企業の子会社の会計監査を主に担当しています。
マネジャーとして、監査現場のプロジェクト管理やクライアントとの意見調整がメインの仕事です。日系企業の子会社なので、日本人が多い会社もありますが、中には日本語が全く通用しない会社もあります。コミュニケーションの面で苦労することもありますが、英語が聞き取れなかったり、話の内容が分からないときには、何度も聞き返すなどコミュニケーションを取るための努力をしています。また、アメリカのような広大な土地ならではかもしれませんが、担当クライアントの所在地が自分の事務所から離れていて、一番近くても車で片道1時間、中には片道2時間以上離れていることもありました。1週間続けてホテル暮らしになる出張が頻繁にあるため、実は体力も求められる仕事です。
Q3. 仕事のやりがいはなんですか?
A. 担当している経営者の方から感謝されるときです。
Audit(監査)はAudio(聴取)から派生した言葉という説がありますが、経営者の意見や主張を聴いて、会計処理の適切性や合理性を判断する仕事です。人の話を聴くだけなら誰でもできそうですが、話を聴きながら、会計基準や監査基準、会社の置かれている環境や背景、さらには自分の経験などと照らし合わせ、経営者の主張に不足している検討項目はないか、経営者の意見とその他の情報とに矛盾することはないかなど、考えながら議論することが求められます。
国語が得意でない私にとっては大変な仕事ですが、経営者との議論の中で、相手が認識していなかった論点や自分の経験から考えられる意見を伝えられたとき、また、その議論の後に経営者から「新たな気づきを得られた」と感謝されるときには、この仕事をしていてよかったと実感します。
Q4. 学生時代の経験が現在の仕事に生きているなと思うことはなんですか?
A. 資格を取るためのスケジュール管理の癖は、生きています。
学生時代は、毎週末友達とテレビゲームをしたり、好きなサッカーチームの試合観戦で盛り上がったりと、特別なことはしていませんでした。強いて挙げれば、簿記や公認会計士試験のための「勉強のスケジュール管理」はしっかりやっていました。毎月1日、メモ用の余白が多い一ヶ月分のカレンダーが新聞広告と一緒に届いていたので、それを重宝していました。そのカレンダーに毎日「勉強すること」と「時間」を目標として書き記し、自分で設定したスケジュールを守れるように勉強を続けていました。遊びの予定が予め分かっている日の勉強時間は、かなり少なく設定していましたが、それ以外は自分のスケジュールの余白を埋めるように勉強の時間を入れていました。
マネジャーとしての今の仕事では、監査意見の提出のタイミングが遅れないよう、監査プロジェクトのスケジュール管理やタスク管理をすることが非常に重要になっています。そのため、学生時代からスケジュール管理の癖がついていたことは今の仕事にも少しは生きていると思います。
Q5. 海外で働くとき、公認会計士であるメリットはなんですか?
A. どの国に行っても「会計のプロ」として通用します。
公認会計士は会計のプロフェッショナルです。会計基準は日本基準の他に、主にIFRS(国際財務報告基準)や米国基準がありますが、どの会計基準であっても基本となる考え方は同じ。そのため、どこの国へ行ってもプロとして通用します。
また、会計のプロなのでクライアントも頼りにしてくれます。特に日系の海外子会社では、赴任して初めて経理業務を担当される従業員の方も多くいらっしゃるので、会計を相談できる相手として公認会計士が重宝されます。受けた相談にきちんと対応して信頼関係を築くことができると、会計とは直接関係のない話や会社の裏側の情報なども話をしてくれる関係にもなり、自ずと会計監査以外の新しい仕事のチャンスも増えてきます。新しいビジネスチャンスを生み出しやすいということも、公認会計士として海外で働く大きなメリットの一つだと思います。