W杯後もラグビーが親しまれるように、乙武さんが夢見るスポーツの未来

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2020年のオリンピック・パラリンピックを控えて、いろんな競技団体が「自分のスポーツのファンになってよ!」とアピールを繰り広げています。前回の記事でラグビーの面白さの一端に触れましたが、新しいスポーツをイチから覚えて楽しむのって大変ですよね。

昨年はいろんなスポーツ団体で問題が発生したこともあり、純粋に応援できない競技もあるかもしれません。3回にわたったインタビューの最後に、日本のスポーツが抱える問題について、乙武さんのホンネを聞いてみました。

目次

1.1つの部活しかやれないのは問題
2.「体育」からの脱却、本来の「スポーツ」へ
3.学生スポーツだからこそ、学生が決めていくべきでは?
4.最後に


1つの部活しかやれないのは問題

――ラグビーに限らないと思いますが、新しくスポーツを盛り上げようとすると、ほかのスポーツとのパイの奪い合いになりますよね? そこに問題はないんでしょうか?

乙武さんが思うあるべき大学スポーツの形

日本で小学生の人気スポーツと言えば、野球、サッカー、バスケとかですよね。そこから中学、高校とかに上がるタイミングでほかのスポーツに興味が移って始めると。

日本は基本的に部活文化で、1個しかスポーツをやらせないですよね。そこは変えていくべきかと思っています。多様性があるほうがいいと思ってるんですよ。

――アメリカだと季節ごとにやるスポーツが違うとかは聞きますね。

そういうふうに専門種目が複数あるのはいいですよね。

日本だと野球の大谷翔平選手がピッチャーとバッターの二刀流で騒がれていますが、かつてアメリカには、ディオン・サンダースという、MLB(野球)とNFL(アメフト)で活躍してた選手がいたんですよ。昼間のアメフトの試合のあと自家用ヘリに乗って違う会場に行って野球の代打で出るとか。

――そんな選手がいたんですね……スケールが違う。

彼はかなり特殊な例ですが、アメリカには、複数のスポーツのドラフトにかかっていて、どのスポーツでプロになるかわからなかったって選手はごろごろいるんですよね。

乙武さんが思うあるべき大学スポーツの形

だから、日本ではラグビー側から柔軟になって、週1,2回の練習と試合に来てくれたらOKみたいなとこから始めるのがいいのかなって思いますよね。

極論を言えば、学校の部活は2つ以上入らなきゃいけないようにするとか。そしたら、いろんなスポーツに触れられて、多様な人間関係も育めるのでは?

「体育」からの脱却、本来の「スポーツ」へ

日本は2019年のラグビー、2020のオリパラを通してレガシーを残すって言い方をしていますけど、僕ははやく体育から脱却してちゃんとスポーツになることをずっと望んでいます。

――体育からの脱却とは、どういう意味でしょうか?

体育ってのはドイツ軍隊で兵士を錬成するために作りあげたもので、上の者が命令して下の者にやらせるのが基本です。

乙武さんが思うあるべき大学スポーツの形

よく大学スポーツって呼んでいますが、僕からすればほとんどは大学体育であって、スポーツにはなれていないと僕は思ってます。軍隊がやる運動の延長なんですよね。

――確かに競技スポーツほどそういう傾向が強いように思います。

スポーツの語源って「楽しむ」とか「余暇」のことで、原型は釣りとかハンティングといったルールもないし勝負もしない、自分が”日常から離れて楽しむこと”なんです。

なので、今大学でやっているのは全然スポーツじゃない。体育なんですよね。

知り合いで、「学生時代の体育は嫌いだったけど、大人になってランニングやってみたら楽しかった、体動かすの楽しいんだね」と口にする人は意外に多くて、こういう例は完全に教育の失敗だなって思います。

学生スポーツだからこそ、学生が決めていくべきでは?

日大アメフト部のタックル問題があったころに、ふと思いついたこととして「今後日大は、学生監督しかおきません」なんてアイディアは面白いんじゃないかなって思ったんですよね。

普段の練習もスタメンも学生同士で決めていきますっていうのが、教育活動の一環として行われるスポーツにはいいかなって思ったんですよ。

選手・監督ともに学生で、技術指導とかは大人のコーチがつくみたいに、主体は学生にあって、足りない部分は大人に補ってもらう。大人がやらせるんじゃなくて、学生がやりたいようにやれるように切り替わったら……

乙武さんが思うあるべき大学スポーツの形

不幸な事故ではありましたけど、そういうふうにスポーツ界が動いたらいいなと思いますね。

――自分たちで選手から監督までやってこその学生スポーツって感じもしますね。

日本人がスポーツと体育の違いを認識し、本来の意味のスポーツに立ち返ること。この2年続くビッグイベントを通してそういうレガシーが出てきてくれたらいいなって思います。

最後に

乙武さんの言葉にあったように、今の日本ってたったひとつのスポーツに打ち込みがちです。それが悪いことではないのですが、たくさん楽しいスポーツがあるなかで、ほかのスポーツを知らずに育つのってやっぱりもったいないと思うんです。

やればやるほど面白い。それって、ゲームも芸術も学問もっていうようになんでも同じかなと。

今年はぜひ、世界一が集うラグビーワールドカップで、学窓読者のみなさんとも一緒に盛り上がりたいです。そしていつか、みなさんが海に遊びに行くときに、「ビーチボール持った?」「スイカ割は鉄板でしょ」「浜辺だからタグラグビーもしよう!」そんなふうになったらいいな。

<了>

取材・文・撮影/学生の窓口編集部

バックナンバー

第1回:にわかのあなたと楽しみたい。乙武さんと探る「ラグビーW杯2019」の新視点
第2回:乙武さんが全力で推したい、ラグビーの見どころ「まるで重戦車のように」

編集部:ベッシー

編集部:ベッシー

昔ながらの大学生活でイメージされるような大学生活を謳歌し、就職活動はちゃんとやらず、社会人のスタートではつまづき、いろんな会社を転職しながらキャリアビルド。学生や若い人のチャレンジを応援したい、頑張れる場を提供したいという想いを持って編集部で活動中。伝えたいメッセージは「自分で考え、自分で動き、人にはどんどん頼りましょう」

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